2023年6月27日火曜日

No.123_店内試飲アイスコーヒーの淹れ方


今月『いろどり特上アイス』発売以降、店舗でご提供している2種類の試飲コーヒーの内一つは、そのアイスコーヒーをお出ししています。

既に多くの方から『このアイスコーヒーはどうやって淹れてるんですか?』と、ご質問を頂いているものですから、このつぶやきでもそこでお応えした内容をご紹介させて頂きます。

結論を先に申し上げると急冷式で淹れています。

 ①濃いめ(HOTで飲む時の約1.3倍)のHOTコーヒーをコーヒーメーカーで淹れる。

 ②湯が全て落ちてからコーヒーメーカーのステンレスポットに大きな氷を入れて約30秒攪拌して急冷

 ③出来上がったアイスコーヒーは別のガラスカラフェに移し、冷蔵庫で保管(ステンレスポットに余った氷は捨てる)

 ④試飲は冷蔵庫から取り出したガラスカラフェからカップに注ぎ、氷無しでご提供

この手順を毎日くり返しています。以下、補足ですが、

①のコーヒーメーカーは風味がしっかり出るよう金属フィルタータイプのものを採用し(つぶやきNo.42)、且つ豆は細かめに挽いています。また、①で1.3倍の濃さにした根拠は、初回試作時、投入した水量に対して、氷が溶けて出来上がったアイスコーヒーのカサが約3割増していたので、それを見越して粉量も3割増しで濃く淹れています。(若しくは豆同量、水量3/4で淹れて頂いても1.3倍の濃さのHOTコーヒーが出来上がります。)

 ②の氷は(ウォーターサーバーの)水をタッパーに入れて凍らせた大きな氷を使用しています。(大きな氷の方が扱いやすく、③でサッと取り除きやすいためです。)

③はアイスコーヒーが出来上がったら氷を取り除いて冷蔵庫保管するのがポイントです。前述の通り、店での試飲は直ぐお飲み頂くので氷なしでご提供していますが、ご自宅で氷を入れたグラスにアイスコーヒーを注いで飲む場合や、氷入りの保冷ポットで持ち歩く場合は、この間も氷が溶けて行きますので、①の1.3倍の濃さと言うところは、お好みで1.4〜1.5倍にしても良いかもしれません。因みにカフェで飲むアイスコーヒーに氷が入っているのは当たり前として、ご自宅で飲むときは冷蔵庫保存したアイスコーヒーを氷無しで頂くと言うのも良いのではと思っています。そうすれば氷が溶けて味が変化する(薄まる)こともないですし、何より風味の再現性に優れています。

つぶやきNo.19でも触れましたが、この急冷式はHOTで淹れた風味がアイスでもしっかり感じられることが特徴です。

ここまで店内のアイスコーヒーの淹れ方と言うことで急冷式をご紹介させて頂きましたが、水出し式もまた異なる風味をお楽しみ頂けますので、もし宜しければつぶやきNo.21もご参考にそちらもお試しください。

ところで急冷式と水出し式はそれぞれに風味の特徴があります。言い換えると別物のアイスコーヒーと僕は捉えています。そしてこれはどちらがいいとか、どちらかをお勧めすると言うものではなく、飲む方のお好みだと思っています。そう言う意味でも、一度両方お試し頂いて、お好み、そしてライフスタイルに合う方をご選択頂ければと思います。もちろんその両方をシーンに合わせて使い分けて頂くのも有りです。コーヒーが寄り添うライフスタイル、素敵です。^ ^/

 

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もし宜しければ、アイスコーヒーに関する以下、つぶやきのバックナンバーもご参照ください。

・アイスコーヒーの淹れ方/急冷編 → No.19

・アイスコーヒーの淹れ方/水出し編 → No.21

・華やか系コーヒーで作るアイスコーヒー → No.67

2023年6月19日月曜日

No.122_深煎りなのに苦くない、酸味豊かなのに酸っぱくない


『深煎りなのに苦くない、酸味豊かなのに酸っぱくない』、今回の妙なテーマですが、実はこれがいろどりこーひーの全てのコーヒーに共通して目指しているテーマなんです!

ん?それだけ?と聞かれると...それだけ!なんです。^^;

でも、それが真に実現出来ると、あとに残るのはそれぞれの産地のコーヒーが固有に持っている風味(=テロワール)だけとなり、そしてそれが存分に楽しめる!と言うことになるからです。ブレンドも先ずはシングルがしっかり焙けた上でのブレンドですから結局全てのベースとなります。

因みに『深煎りのコーヒー』と聞くと、どんな印象を持たれますか?若しかしたら『苦い、ダーク、濃い』みたいなイメージでしょうか...これらは必ずしもネガティブな風味表現ではないとは思いますが、僕が考える深煎りコーヒーは、苦いものではなくて、コクという形でしっかりしたコーヒー感を楽しめるコーヒーだと思っています。そのコクがうまくバランスすると甘ささえ感じることが出来ます。その実現のために焙煎工程の全てのフェーズでカロリー超過にならない様(コゲ感が出ない様)、生豆の投入温度、火力、排気量、進行時間、煎り止め温度を慎重にコントロールしています。

もう一つの『酸味豊かなのに酸っぱくない』、正直、こちらを端的にお伝えするのはとっても難しいです。そのためにも一旦、果物の話に脱線してから戻ってきます...

くだもの...りんごでも、みかんでも、いちごでも皆んなそれぞれ酸味を持っています。それは果物毎にそして同じ果物でも品種、産地によってそれぞれ違った酸の質と量を持っています。これが糖度と相まってその個体のおいしさが形作られているのだと思います。仮にも酸がなくて(乏しくて)、砂糖甘いだけでは、決してあの美味しさは楽しめません。

コーヒーも言うなれば農作物です。それぞれのコーヒー豆には大なり小なりの酸を含んでいます。果物がそうであるように美味しいコーヒーにも酸が必須なんですね!

方や良質ではない酸を含んだコーヒーがあることも事実です。それは生豆起因(収穫時に未完熟の実が混入していたり、種子[生豆]を乾燥、脱殻する段階の品質管理不足)だったり、焙煎起因だったりしますが、その両方のネガティブな酸(嫌な酸っぱさ)を排除するのは僕の役割です。

漢字の“酸”の字をみて『酸っぱいの“酸”』という印象が想起されるのもやむを得ないですが、僕としては酸っぱさの度合いではない、前述の美味しい果物に通じる良質な“酸”を理屈抜きに【美味しさ】と言う形でお伝えしたい!と思っています。

そうなんです。理屈抜きに...。ここまで少々理屈っぽいことを書いてしまいましたが、コーヒーを飲む方にとっては要は美味しければいい!と言うことですから。

僕が思う理想は、お客さまはそれが深煎りなのか、実は酸味豊かなのか、そんなことは一切気に掛けず、『わぁ、美味しい!』そう感じて頂けることだけなんです。それには淹れるための特別なテクニックも不要な、お手軽に美味しく頂ける、そんなコーヒー豆作りにこれからも努めて行きたいと思います。

 

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2023年6月12日月曜日

No.121_“いろどり特上アイス”のご紹介


6月に入り、『アイスコーヒーに向いている豆はどれですか?』とお声掛け頂くことが増えて来ました。

昨年までは『アイスコーヒーには深煎りのコーヒーが合いますので、当店ではこれら黒い袋に入れた深煎りしっかり系のコーヒーをお勧めします。』とお伝えすることが多かったです。

一方で『すると他の赤い袋、白い袋はあまり向いてないんですね?』とご質問頂くこともあって、『いえいえ、赤い袋は華やか系のコーヒーなので、アイスで飲むとアイスティーの様な感覚で楽しめます。』とお応えすることもありました。

ただ、これでは『どのコーヒーもアイスにしてもそれぞれの美味しさが楽しめますよ。』とお伝えしている様なもので、お客さまの質問にちゃんとお応えしたことにならないのでは?と思うところもあり、『先ずはこれをお勧めします。』と言える、いろどりこーひーの“オリジナル・アイスコーヒー”を今年は作ろうと思いたったわけです。

アイスコーヒーを作るに際して先ずイメージしたことは、『しっかりしたボディ感』です。これは単に濃いとか、ダークとか、苦いとは違う風味で、これが備わることにより、アイスにしてもコクと円やかさがバランス良く感じられ、暑い夏であっても(夏であるからこそ)、後味もキレは良く、爽快感を味わえるものにしたいと思いました。

丁度前回のこのつぶやきNo.120で『深煎りに向いている豆』をテーマにしましたが、正にそれらを使用して色々な豆種の組合せ、そして同じ組合せでもその比率の異なる組み合わせをホットでもアイスでも風味チェックをして前述のイメージに一番近いものに絞り込んでいきました。

ほぼ絞り込んだ段階でミルクとの相性もチェックしました。実はこの『しっかりしたボディ感』はもう一つの産物として、ミルクとの相性が抜群に良いものとして仕上がりました。ボディがあることで少量のミルクを入れても、はたまた牛乳と半々のカフェ・オ・レにしてもホント美味しく頂けるものとなりました。

いろどりこーひー3年目の夏にしてようやく登場しました “いろどり特上アイス” 、どうぞお楽しみください。

 

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もし宜しければ、アイスコーヒーに関する以下、つぶやきのバックナンバーもご参照ください。

・アイスコーヒーの淹れ方/急冷編 → No.19

・アイスコーヒーの淹れ方/水出し編 → No.21

・華やか系コーヒーで作るアイスコーヒー → No.67

2023年6月6日火曜日

No.120_深煎りに向いている豆


今回の写真、2週間前このつぶやきに掲載したものと同じ株ですが、綺麗な満開を迎えていました。

さて、今回のテーマ、深煎りに向いている豆、向いていない豆についてです。

深煎りにするか浅煎りにするかは、僕が『こんな味にしてやろう!』と決めているわけではなく、あくまでも出来あがった豆が(飲むコーヒーがという意味ですが)美味しいか!魅力的か!で自ずと決まってくるものです。(そこにはつぶやきNo.118119で触れた味覚で判断、絞り込んで行くステップが必須ですが...)

では、冒頭の『深煎りに向いている豆』とは、どういう豆でしょうか?

結論を先に申し上げると『固い豆』と言うことになります。(ここで言う『豆』は、焙煎前の『生豆』を指しています。)

『固い豆?なにそれ?』ですね...(苦笑)

先ず物質的な観点ですが、豆は焙煎が進むと成分変化と共に膨張して行きます(つぶやきNo.78に書いた通りです)。体積で言うと1.5〜1.7倍になります。一方、重さは凡そ0.8倍、2割軽くなります。ミクロ的には豆表面は亀裂だらけになり、豆の中はスポンジのように小さな空洞だらけになります(すなわち脆くなる)。固い豆でないとこの変化がより早く起きて、自ずと焙き(やき)進められなくなります。それを超えると焦げる以前にスカスカ、パサパサになり、コーヒーの本来の風味も崩れてしまうからです。

そもそも『固い豆』、『柔らかい豆』は、どうして出来るのでしょうか?

それは一つの例を出すと分かりやすいと思うのですが、寒冷地の針葉樹はゆっくり育つので年輪も細かく固いのに対して、熱帯地域のラワンはすくすく育ち、年輪も広く、柔らかく、軽いことと似ています。

固い豆は柔らかい豆より概ね高地産です。高地は昼夜の寒暖差がしっかりあり、温暖な低地に比べゆっくり成長します。このゆっくりが前述の寒冷地の針葉樹の如く、固い豆を作るわけです。

実は固い豆が深煎りに向いている理由はもう一つあります。昼夜の寒暖にさらされながらゆっくり生育することによりその果実、そしてその種(種=生豆です)に上質な酸が醸成されます。この上質な酸が深煎りのコクとバランスして、とっても魅力的な風味をもたらすのです。この酸が無い(少ない)ものを深煎りしてもそのコクはボディ感に欠ける風味となってしまいます。

と言うわけで『固い豆』は、深煎りに耐える強度を持ち、且つ深煎りで深まるコクとバランスする(響き合う)魅力的な酸を持っている故、深煎りに最適な豆と言えるのです。

 

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