2023年4月24日月曜日

No.114_コーヒーの余韻を楽しんで頂きたい


 “コーヒーの風味”は、舌で感じる味覚のほか、鼻から入ってくる香り(アロマ)、コーヒーを口にしたとき鼻に抜ける香り(フレーバー)、またこうした味覚、臭覚だけに止まらず口触り、舌触りと言った触覚、更には飲み終えた後に感じる(感じ続ける)“余韻”も合わせてその“コーヒーの風味”が形作られる(=捉えられる)のではないかと思います。

そして今回のテーマはその『余韻』にスポットライトを当ててみたいと思います。

コーヒーを飲んだ後に残るもの...イイものは余韻。悪いものは(ネガティブな)後味と表現出来るかもしれません。

ネガティブな悪い後味は雑味が悪さをしている可能性が高いです。雑味は生豆起因または焙煎起因(もしくはその両方)が考えられます。平たく言うと生豆起因はその質がよろしくなかったり、焙煎起因はそれに不完全さ、不十分さがあると雑味(エグ味やコゲ感、苦味)のあるコーヒー豆が出来てしまいます。

雑味のあるコーヒーを飲むと舌の奥の方にニガニガした嫌な感触が長く残り続けてしまいます。この感触はとても余韻なんて呼べるものではなく、ヘタすると水でウガイでもしたくなってしまうかもしれません。

これに対してクリーンな(雑味のない)コーヒーは、まろやかで柔らかで甘ささえ感じる心地よいコーヒー感が長〜く楽しめます。例えば朝出勤前に家で飲んだコーヒーの心地よい余韻が通勤中もそして会社に着いてさえ感じられることがあります。

余韻は前述の舌の味覚や鼻の嗅覚を通じて感じられるものですが、それも脳への信号を通して感じられるわけですから、心地よく素敵な余韻が脳に刻まれると場合によっては次の日になっても脳がそれを記憶していて、今日もまたそれを飲みたくなる!なんてことさえ起き得ます。(心地良い余韻は日を跨いでさえ続くのです。)

このように余韻はとても淡いものですから、雑味が同居する中ではそちらに印象が支配され、感じることは不可能です。言い方を変えると『クリーンな(雑味の無い)豆でしか、真の余韻は楽しめない』と言うことですね。

世の中『コーヒーが苦手!』とおっしゃる方は一定数いらっしゃいますが、そう言った方々は前述の雑味を含んだコーヒーで文字通り『苦い思い』をされて、そうなってしまった可能性が高いと思われます。その方々は『私はコーヒーがダメな体質なんです』ともおっしゃいますが、僕は全員が体質起因ではなく、過半の方はクリーンなコーヒーであればお楽しみ頂けるはずだと思っています。

コーヒー好きな方にもそうで無い方にも、『コーヒーってこう言うものだったんですね!』、『余韻が心地良い!』とおしゃって頂けるような、そんな豆作りを目指して日々焙煎を続けています。

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2023年4月18日火曜日

No.113_思考の肉体化・身体化


今まで100回を越える“店主のつぶやき”を投稿してきて、『今だと、こう言うことは書かないな...』ということは基本的には無いのですが、実は一つだけ有りまして...(^^;;

それは2021年5月18日に投稿した『No.11_焙煎中はF1カーレースのドライバーの心持ちなんです』に記載した内容です。実は今は全くそんな心持ちは無いのです。

その時書いた凡その内容は、『焙煎中は刻々と上昇する釜内温度を表すデジタル温度計と焙煎開始からの経過時間を示すデジタル時計を交互に見比べながら、10℃毎の目標経過タイムとの誤差を±10秒以内に収めるため、都度頭の中でグルグル計算しながら、ガスの火力調整を進めています。そしてちょっとでも対処のタイミングがズレたり、対処する内容(火力)にズレがあると、誤差がさらに広がったり、±(早過ぎ、遅過ぎ)が逆転したり、F1カーレースに例えるとコースアウトや他の車との接触事故を起こしかねない事態を招くので、一瞬たりとも気が抜けません』といった内容でした。

一方今は...実に落ち着いた様相で焙煎しています。頭の中でグルグル考えることもないですし、バタバタ慌てたり、あたふたすることも一切ないです。それでいて進行5℃毎に自身で設定した目標経過タイムを全セクション±6秒以内で制御出来る様になりました。(操作の加減は豆種に依って、そして日に依って全て異なります。)

これは大雑把に言うと2つの改善の成果です。一つは焙煎記録表の改善。同じことを何百回も続けているので『ここをしっかり把握して対処して行こう』と言う気付きが色々出てきます。それを管理表に反映して行ったバージョンアップは数十項目に上ります。2つ目は焙煎というものを体で感じ、体で考え、体が動く(操作する)様になったことが大きいです。【思考の肉体化・身体化】ですね。No.11の投稿をしたのが開店後未だ2ヶ月も経っていないときでしたが、今や2年以上毎朝同じことを繰り返している中で到達した世界です。(ここに至るまでにはパイロットが着陸時制御する心持ち[No.47]や、はたまたすごく重たい機関車の運転制御の心持ち[No.75]にも重ねながら、焙煎中の心持ちに取り込んで来ました。)

しかしながらこの域は全くもって到達ポイントではなく、スタート地点に立ったに過ぎないと思っています。と言うのも完璧な再現性があってこそ、更に美味しい、更に魅力的なコーヒー豆作りの為の微妙な調整と挑戦が続けられると考えるからです。仮にも再現性が乏しくいつも微妙に風味がブレていたのでは、更なる魅力的な豆作りなんて夢の話です。味の世界には、ある意味到達点(これでいいと言うもの)はありません。『No.99_不器用の一心』に記載した思いを貫き、自身の味覚をもっと研ぎ澄まし、更なる 魅力的な豆作りに取り組んでいきます。

 

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2023年4月11日火曜日

No.112_グァテマラ・マイルド/サンアグスティンのご紹介


いろどりこーひーのグァテマラが2種類になりました。

いろどりこーひーで既に発売しているグァテマラ(ウエウエテナンゴ)は、『完熟ベリーの華やかな明るさ』が持ち味ですが、この度ご紹介するグァテマラ(サンアグスティン)は、キャラメルを思わせるまろやかさが魅力です。サンアグスティンは産地名ですが、少々呼び辛さもあって、グァテマラ・マイルドという名でご案内させて頂きます。

因みにサンアグスティンは、グァテマラ中東部、シエラ・デ・ラス・ミナス山地に位置し、その標高は1,600m前後で昼夜の寒暖差がしっかり有り、コーヒー栽培にとても適しています。そして良質で魅力的な風味のSHB(ストリクトリー・ハード・ビーンズ[格付け最上位])を生産しているエリアです。 

話は少し変わりますが...いろどりこーひーでは、風味の傾向によって豆袋の色を3色使い分けています。華やか系は赤い袋、まろやか系は白い袋、しっかり系は黒い袋です。

そしてグァテマラ/ウエウエテナンゴは、華やか系の赤い袋ですが、このグァテマラ・マイルド/サンアグスティンはまろやか系の白い袋を使用しています。

『白いグァテマラ』として多くの皆さまに親しんで頂けると嬉しいです。

 

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2023年4月4日火曜日

No.111_味作りで作らない味


今回の写真は、葛西臨海公園の桜です。満開の桜は理屈抜きにサイコーですが、ピークを過ぎて、花びらがひらひらと、そして逆光の中キラキラ舞い行く様もなんともイイものです。さらに明るい新緑のオーバラップも絶妙の美しさです(ブレンドの妙でしょうか!苦笑)。因みに撮影したアングルは、敢えてこのつぶやきNo.18と同じアングルとしてみました。(No.18の時期は既に“緑のトンネル”になっています。)

さて、このつぶやきNo.109で『お客さまと作って行くいろどりこーひーの味づくり』をテーマにしましたが、今回は『味作りで作らない味』がテーマです。作るんだか?作らないんだか?どっち〜?と言うようなテーマですが...

『作る』の意味合いはNo.109で述べた通り、主に商品ラインナップに関わる話といろどりこーひーオリジナルブレンドの風味が目指す方向性についての話です。

一方で『作らない味』ですが、それを説明するためにもネガティブな意味の『出来ちゃう味』について少し触れてみます。

いろどりこーひーがお客さまにご提供しているコーヒー豆は、仕入れた生豆を店内の焙煎機で焙煎することによって出来上がります。したがってその風味の良し悪しは仕入れた生豆がどうか?と、焙煎がどうか?に掛かっています。

仕入れる生豆については一言で言うと『良質な生豆を仕入れて』となるのですが、方や焙煎については『生豆が持っているポテンシャル(風味)を100%引き出すこと』が肝要です。100%というのは過不足無くという意味です。焙煎では『過ぎたことも』、『足りないことも』それが起きては、豆本来の美味しさをお伝えする妨げになってしまいます。

例えば焙煎前半で生豆の水分抜きが不十分だとウォータリーな(重たい)風味になりますし、豆の中心部までしっかり焙(や)けていないと、その部分の化学変化も不完全となり、エグ味(嫌な味)の原因になります。また焙煎中、仮にも火力が強すぎるフェーズ(局面)が一瞬でもあると(煎り止め温度だけの問題ではありません)、表面焦げからくる苦味感、ひいては後味の悪さに繋がってしまいます。このように不十分な、不完全な焙煎で出来てしまうネガティブな味=『出来ちゃう味』をゼロにしたい!これが僕の目指している『作らない味』の意味合いです。

焙煎は(当たり前ですが)塩コショウの味付けはしませんので、言い方を変えると『何も足さない。何も引かない』、究極の乾熱調理の世界です。

この作らない味が実現出来れば、あとそこに残る風味は真にその豆が持っている風味ということですので、お客さま(飲む方)は、安心してその豆の風味を楽しめますし、そこで初めてお好みも見つけられる様になると思うのです。(前述の『出来ちゃう味』が重なっては、楽しめるわけ無いですね...)

是非、そのような豆をご提供してコーヒーを日常生活の中で存分に楽しんで頂きたい。それが僕の切なる思いであり、僕の使命でもあると思っています。

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