2024年3月25日月曜日

No.162_お蔭さまで開店3周年を迎えることが出来ました


いろどりこーひーは3年前の2021年3月25日、開店しました。そしてこの度、お蔭さまで3周年を迎えることが出来ました。本当に、本当にお蔭さまです!お客さま、そして気に掛けて下さった全ての皆さまに感謝申し上げます。

今まで、1周年、2周年を経て来たわけですが、実は僕にとってこの3周年はそれらとはまた異なる特別な思いがあります。

と言うのも...

開店に先立つことその数年前から(会社勤め時代) 、自家焙煎豆店を始めたいと言う思いを少しずつ具体化してきたわけですが、始めると決断するにあたり「先ず3年は必ずやる!」、そう自身に誓いスタートしました。

この「3年は必ずやる!」と言うのは、どんなことがあっても、どんな状態であってもと言う意味です。裏を返せば「3年やってダメならやめる!」、その覚悟も併せ持ってスタートしました。

「ダメならやめる!」これは、決して呑気なセリフではなくて、自身が持つスキルも人生経験も全てのパワーを注いで3年間取り組んだ結果、その時の店が置かれている状態を、そして僕自身の心持ちを自身が客観的に評価して、進むかやめるか決めると言うことです。

その判断に当たり、評価軸が必要なわけですが、売上や利益と言うのは「気にしていない」は言い過ぎかもしれませんが、特に決めた数字はありません。では、何を...

それは店のホームページ内、“店主のごあいさつ”にも掲載している「地域の皆さまから必要とされる店になる」と言う目標に向かっているか?と言うことです。

その一つのバロメータとしてリピートして下さるお客さまの数は、本当に少〜しずつではありますが、この3年間、増加傾向を感じながらやって来れました。

この“店主のつぶやき”では、いつも【いろどりこーひーは珈琲豆を通して、皆様の心豊かな生活に“彩り”をお届けします。】と結んでいます。そんなお役に立ちたいという思い、皆さまから必要として頂けると感じられること...それが僕がこの店を続けて行ける原動力です。

3周年という(僕にとっては)大きな節目を経て、4年目がスタートすることになりました。

今後ともどうぞ宜しくお願いします。

 

いろどりこーひーは珈琲豆を通して、皆様の心豊かな生活に“彩り”をお届けします。 

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2024年3月19日火曜日

No.161_マティス展、素敵でした


国立新美術館でマティス展を観てきました。マティス展は、昨夏の東京都美術館で開催されたものも鑑賞しましたが、その時はパリのポンピドゥー・センター所蔵作品が中心で今回は南仏ニースのマティス美術館所蔵作品が中心となっていました。且つ、展示コンセプトも異なり、マティスの魅力をまた違った側面から感じることが出来て、とっても楽しめました。

今回はどちらかというとマティスの画家人生の後半から晩年にかけての作品が充実していて、切り絵のJAZZシリーズも全20作、観られました。また、“花と果実”と名付けられた高さ4.1m幅8.7mの巨大な切り絵も圧巻でした。(今回の写真、左上)

そして昨夏の東京都美術館では映像で紹介されていた南仏ヴァンスのロザリオ礼拝堂が今回は原寸で再現されていて、その空間を少しだけ実感出来ました(今回の写真、右下)。マティスは、『冬の午前11時に陽がステンドグラス越しに差し込む情景が一番美しい』と言ったそうですが、そんな光まで再現されていてとても和やか、穏やかな気分になりました。

オキシトシンでしたか?ドーパミンでしたか?幸せを感じた時に脳から分泌される神経伝達物質は...とにかく今回のマティス展を観ながら相当分泌された気がします(笑)。そんなことを思ってしまうほど、本当に癒される体験でした。

さっ!これでまた、明日からの焙煎も優しく、穏やかに進められそうです。^ ^(焙煎中は何かをチャカチャカ操作するのではなく、淡々と進める必要があります。静と動で言うと動作も心持ちも“静”が求められます...)

 

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P.S.

“マティス 自由なフォルム ” 国立新美術館にて5/27まで開催中です(YouTube)

2024年3月12日火曜日

No.160_酸が甘さに包まれているデコポン、そしてコーヒー


熊本のデコポン(今回の写真)は僕にとって春の訪れをいの一番に感じさせてくれる、そして大好物のフルーツです。

デコポンの美味しいところは、質の良い酸が甘さに包まれているところです。

実はこの “質の良い酸”、そしてそれが “甘さに包まれている”は、コーヒーの美味しさにも当てはまる大切な要素です。

と、聞いても『フルーツの美味しさとコーヒーの美味しさの要素が同じ??全然違う味じゃない!?』...そう思われた方も多いですね。

コーヒーはコーヒーノキに実る(さくらんぼの様な)赤い果実の種子です(中には黄色く熟す樹種もありますが)。そういう意味で、『コーヒーはフルーツ!』とも言えるわけです。

コーヒーもフルーツと捉えると前述の “質の良い酸” は、以下の様な条件下で育まれます。①適正に施肥された肥沃な土地で、②太陽の陽を適正に浴びてしっかり光合成し(熱すぎる直射も良くないので、シェードツリーと呼ばれる日陰を作る木が添え植えされる例も多いようです)、③風通しが良く、④適度な寒暖にさらされ(年中、そして昼夜の寒暖差は15℃〜25℃程度が理想で、10℃を下回ったり、30℃を超える日が多いと不作になるようです)、⑤適度な降雨(年間降水量1500〜2500mm程度)、そして⑥収穫時に真っ赤な完熟実だけを選別収穫(コーヒーノキは開花後、小さな実が結実し、その後更に8〜9ヶ月掛けてその実がだんだん大きくなり、且つその色が緑→黄→オレンジ→赤と熟して行きます。実によってその生育度(熟すタイミング)にバラツキがありますが、収穫時は真っ赤な完熟実だけを選別収穫することが求められます。仮にもそこに未熟実、過熟実が混ざるとコーヒーの風味は途端に損なわれてしまいます。)

コーヒーは、言ってしまえばタネですが、それを取り出す果実をそのまま食べられるフルーツの如く、丹念に育て、収穫することが美味しいコーヒーに繋がっているってスゴイこと、素晴らしいことだなって思ってしまいます。

このように “質の良い酸” 作りは、生産者に委ねられている側面が大きいですが、方やそれが “甘さに包まれている” の実現は焙煎に委ねられています。“質の良い酸” を活かすも無駄にするも焙煎次第、焙煎人はそんな重要な役割を負っているわけです。そして、そんなことを胸に、日々の焙煎に取り組んでいます。

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P.S.

後段の “甘さに包まれている”の実現に必要な焙煎手法について、宜しければ『No.155_焙煎は科学』、『No.156_焙煎は化学』辺りをご参照ください。

2024年3月5日火曜日

No.159_行き着くところ(目的地)は、「味」


前回のつぶやきNo.158で『焙煎コントロールのよりどころは、温度、時間、そして出来上がった豆の味ですが、その中で更に一つに絞り込むとするなら、それは間違いなく「味」です。』と結びました。これはどう言うことか...が、今回のテーマです。

ここで突飛な例えなのですが...焙煎を車の運転になぞらえてみます。

昨今の車にはナビゲータがほぼ搭載されています。ナビゲータは、行きたい目的地をセットすると数通りの経路を示してくれます。そして運転手が、時間優先とか距離優先とか、有料道路使用有無を考慮して経路を選択すると、あとは導かれるまま操作、運転するだけで自ずと目的地に到着します。

ここで逆にこの車の運転を焙煎になぞらえるなら、差し詰めナビゲータは焙煎プロファイルです。そして目的地が、味(美味しい風味)と言うことになるでしょうか。

前回のつぶやきで、焙煎中の所作を記述しましたが、これは車の運転におけるナビゲータに沿ったハンドル、アクセル、ブレーキの操作と重なります。

(当たり前のことですが)焙煎中の所作は目的ではなくて、単なる手段です。最終的な目的は味(美味しい豆を作る)です。

それが冒頭記述した『焙煎コントロールのよりどころは、温度、時間(焙煎プロファイル)、そして出来上がった豆の味ですが、その中で更に一つに絞り込むとするなら、それは間違いなく「味」です。』の意味合いです。

ところでこの“焙煎プロファイル”ですが、この世で共通認識されているもの、公開・共用されているものはありません。それぞれの焙煎人(又は焙煎会社)が、独自に研究、作り上げているものです。車のナビゲータは既に搭載されていたり、より性能が優れた最新式のものを購入出来ますが、焙煎プロファイルは、そうは行きません。

来る日も来る日も焙煎(≒運転)を重ね、都度カッピング[味チェック]しながら、より美味しい味(≒目的地)を求めて焙煎プロファイル(≒ナビゲータ)の微調整を続ける旅は果てしなく続きます。

 

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