2024年2月27日火曜日

No.158_焙煎コントロールの拠りどころ


前回のつぶやきNo.157で「焙煎コントロールで豆の色は見ません」と記載しました。では、何を見るのか?(拠りどころにするのか?)で、「温度と時間、そして出来上がった豆の味です。」と記載しました。という訳で、今回はその続きです。

温度とは、ドラム内(窯内)の温度なのですが、もう少し補足すると...豆を焙煎するドラムの中には温度計(金属の棒状で熱電対温度センサーと呼ばれます)が付いていて、それを介してドラム内の温度が逐次デジタル温度計で0.1℃単位で把握出来ます。ここで「ドラム内の温度」と表現しましたが、焙煎中このドラムは回転し続けていて、豆は宙をバラバラと舞いながらヤカレて行きます。その間、豆は前述の金属の棒状温度計にコツコツ当たり続けていますので、僕はこの温度を便宜的に「豆の表面温度」→「豆の温度」→「豆の状態」と捉えています。

実は焙煎は豆を同じ温度でずーっとヤイテいる訳ではなくて、ある温度で投入した後、200数十℃まで上昇させ続けながらヤイテ行きます。ここで前述の「表示される温度を豆の状態と捉える」と「温度上昇に合わせて豆の状態が変化して行ってる」と捉えられるわけです。そしてロースティングポイント(=煎り止め温度)に達したときに窯の扉を開放し、ザーッと外に出し、空冷します。(「豆の状態変化をそこで止める」と言うことです。)

焙煎中は、豆投入のタイミングで起動させたストップウオッチのデジタル表示と前述のデジタル温度計を両睨みしながら、5℃ごとの経過タイムを記録し続けます。そして予め定めた目標通過タイム(これが焙煎プロファイルと呼ばれる物です)と比較しながら、発生する数秒の誤差をガス圧調整しながら、焙煎は進行します。

この様に焙煎の進行管理は、「豆の状態」を「温度」と言う間接的な指標を頼りに秒単位で把握、判断、対応していく作業です。仮にもこのコントロールの判断基準を『豆の色で判断する』としたらどのようなことになるでしょうか?多分進行は何十秒も、場合によっては分単位でブレるかもしれません。「豆の色が何色になったらこんな味になる」では、安定した味作り、美味しい味作りは不可能です。他にも豆が爆ぜる(ハゼる)音のタイミングとか香りの変化のタイミングを取り上げる手法もあるようですが、これらは全て結果、若しくは副次的な事象であって、焙煎コントロールの拠りどころにはならないと僕は考えています。

ところで冒頭、焙煎コントロールの拠りどころは「温度と時間、そして出来上がった豆の味です。」と記載しましたが、この中で更に一つに絞り込むとしたなら...それは間違いなく「味」です。

焙煎コントロールの拠りどころが「味」!?って、どう言うこと?ですね...

と言う訳で今回も長くなってしまったので、これまた次の機会のテーマにさせて頂きますね。to be continued ^ ^/

 

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2024年2月19日月曜日

No.157_焙煎の進行と豆の色


焙煎前の生豆(ナママメ)は、白っぽい色をしています。(この白っぽさは豆種によって薄くベージュ掛かっていたり、薄緑色掛かったりしています。)

これが焙煎とともに茶色掛かってきて、さらに進行するとこげ茶色、黒褐色と色が濃くなっていきます。

この段階を進行に応じて浅煎り、中煎り、深煎りと称することもありますし、アメリカで唱えられ始めた8段階の呼称を利用して、①ライトロースト→②シナモンロースト→③ミディアムロースト→④ハイロースト→⑤シティロースト→⑥フルシティロースト→⑦フレンチロースト→⑧イタリアンローストと称することもあります(①→⑧に向かって焙煎が深まる=豆色が濃くなる)。因みにSCAJ(日本スペシャルティーコーヒー協会)の教本には8段階それぞれの色目に対して参考L値が掲載されています。(L値は国際照明委員会が定めた明るさを表す数値です。)

そして焙煎機には、焙煎中、ドラム内(窯内)の豆の様子が見られるように耐熱ガラスが入った小窓があったり、サンプルスプーン(今回掲載した写真)で焙煎中の豆を少量取り出して色を見たり、香りを嗅ぐことも出来ます。

と、ここまで書いておきながら...ではありますが、僕は焙煎中、豆の色を見ることはありません。これは「焙煎中のコントロールにおいて豆の色は頼りにしません。」という意味ですが。

では、何を頼りに焙煎をコントロールしているのか?ということですが、温度と時間、そして出来上がった豆の味ということです。

それは...

これを書き始めると“つぶやき”1話、2話分程、話が長くなってしまうので、また次の機会のテーマにさせて頂きますね。(^^;

 

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2024年2月12日月曜日

No.156_季節のブレンド“春かすみ”のご紹介


2月も中旬となり、少しずつ日差しも春を予感させてくれる季節となってきました。

今回はいろどりこーひーの季節のブレンド“春かすみ”をご紹介させて頂きます。実は1年前にブレンド“かすみ”をご紹介させて頂きましたが、コンセプトはそのままに配合する豆をリニューアルしましたので、今回は“春かすみ”のネーミングでご提供させて頂きます。

【柔らか〜な飲み口、優しく、穏やかな風味】

『春の山野に立ち込めるかすみ(霞)、万物の姿がほのぼのと薄れて、のどかな春の景色になる』そんなイメージがコンセプトのまろやか系ブレンドです。

酸味も苦味も抑えられたソフトな風味は、後味の余韻まで甘さの感覚として広がります。

新緑が待ち遠しいこの季節、どうぞ “春かすみ”で一足早い春気分をお楽しみ下さい。

 

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2024年2月5日月曜日

No.155_焙煎は化学!


前回のつぶやきは『焙煎は科学!』がテーマでしたが、実は焙煎には『化学』の側面もあります。それは『焙煎とは何ぞや?』の話でもあります。

結論を先に言ってしまうと『焙煎は乾熱調理』と言うことなんです。

とっても大雑把な表現になってしまいますが、【美味しい料理】=【良い素材】×【上手な調理】のような関係があるんじゃないかと思っています。(「【良い素材】、【上手な調理】のどちらかに(又はその両方)にマイナスポイントがあるとそのまま【美味しい料理】へのマイナスポイントになってしまう」と。)

そしてこれを焙煎になぞらえると、【美味しい珈琲豆】=【良質な生豆】×【適切な焙煎】と僕は捉えています。

一般に調理と言うと、湯で煮る、油で揚げる、炒める、火で焼く(ボイルする)、水蒸気で蒸す等を通じて色々な味付け、味作りをして行くわけですが、焙煎はただ熱を加えるだけ...とも言えます。

そこで【適切な焙煎】の部分を【乾熱調理】と捉えることで、『焙煎の進捗に合わせその時々で丁度良い熱量を与え、然るべきタイミングで豆の組織に化学反応を起こさせ、美味しく魅力的な豆作りをしていく』と言う様に具体的且つ論理的なアプローチが可能になります。そしてこれは『美味しさ作りは積み上げられる』と言うことにも繋がるのです。

生豆は加熱される過程で種々の化学反応を起こしますが、主要なものは以下の3つ、①糖分のカラメル化、②糖分とタンパク質(アミノ酸)のメイラード反応、③油分(脂肪分)のディープフライフレーバー化です。

生豆は窯に投入されて煎り止めされる200数十℃まで加熱される間、前述の化学変化が凡そ165℃〜180℃辺りで集中的に起きます。この変化には多くのカロリーを要しますので、その間、火力も凡そ3倍に強めて、化学反応を促進させます。

そうすることで美味しい風味、魅力的な香気が作り出されるわけです。

『焙煎は科学であり、化学である!』実に興味深いです。^ ^

 

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