2021年10月27日水曜日

No.36_焙煎機の熱源


『それガスですか?電気ですか?』とご質問頂くことがたまにあります。『豆を焙く(焼く)焙煎機の熱源はガスの火力ですか?電気の熱ですか?』とのお問い合わせの意味です。

回答を先に申し上げると、ガスを使用しています。僕の地域では都市ガスですが、プロパンガスを使用することも可能です(本日のサムネイル写真にその燃焼状況を掲載しました)。

僕が使用している焙煎機は、ドイツのPROBAT(プロバット社)製のものです。この焙煎機は、『半熱風式』と言いまして、【熱風】とドラム鉄板との【接触熱】とそのドラムを覆う熱く熱せられた厚い鉄(鋳物)の【輻射熱】の3種類の熱を使って豆を焙いて(やいて)行きます。

なんだか難しい話になってきました...そうですねぇ...側面投入する『ドラム式洗濯機の様な』と言うとイメージし易いでしょうか?

もしお時間が許せば、『No.28_チャフ』の投稿のサムネイル写真に焙煎機の全体写真を掲載していますので、そちらも眺めて頂けると分かり易いかと思われますが、焙煎機最上部のじょうご状のところから生豆をドラム内に投入します。その時既にドラムの中は100℃近い高温で、且つドラムが回転している状態です。ドラムの内側には羽状の板が取り付いていますので、正にドラム式洗濯機の如く、回転しながら豆を跳ね上げ、豆は宙をバラバラ、ジャカジャカ舞いながら焙煎が進みます。

ドラムの突き当たり(円柱の底面に当たる部分ですね)には穴が空いていて、そこから熱風が勢いよく流れ込む構造になっています(煙突手前のサイクロンで空気を強力に吸い込んでいるため、この熱風の流れが発生します)。

因みにPROBAT社製焙煎機はドラムの曲面部分の鉄板には穴が空いてなく、且つ熱風を通して焙煎するので半熱風式と言われますが、他社ではドラムの円筒部分に(パンチング状の)穴が空いている焙煎機もあります。これは豆に火が直接当たるので直火式と呼ばれています。

うーん、文書だけでは、なかなか伝わり切らないですね...Power Point資料が作りたくなりました(笑)

纏めましょう(笑)...僕が使用しているPROBAT社製焙煎機は熱風や輻射熱を利用する焙煎機なので、豆の芯から優しく、そして表面に焦げ感も出すこと無く、且つしっかり焙きあげることが出来る点が優れています。これはいろどりこーひーが目指す味『優しく、柔らかな甘さに包まれた、そして余韻まで楽しめるコーヒー』作りに最適なマシンで、これを使って毎朝焙煎に取り組んでいます

いろどりこーひーは珈琲豆を通して、皆様の心豊かな生活に彩りをお届けします。 

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2021年10月19日火曜日

No.35_まちたんけん ゲスト・ティーチャー


定休日の今日、丁度良くお向かいの葛西小学校からお声掛けを頂いたので、小学2年生の子供たち宛、ゲスト・ティーチャーとしてお話をしてきました。

これは“まちたんけん”がテーマの学習で、『学校周辺の地域を知る、地域の人たちを知る、そして地域に親しみを持つ』ことがその狙いとのことでした。

子供たちは既に何度かまち探検をしたそうですが、その上で子供たちから『話を聞いてみたい』との候補にいろどりこーひーが上がり、お声掛け頂いたとのことで、大変有り難く、嬉しいことです。

先生との事前打ち合わせで『概ねこのような内容を』と、お話し頂いていましたので、自己紹介、コーヒー豆店を始めようと思った理由と思い、店名をいろどりこーひーとした理由、コーヒーの木の果実収穫からコーヒー豆が出来るまでの流れ等をお話ししました。前段では、HP“店主のごあいさつ”にも記載がある、『珈琲豆を通して、皆様の心豊かな生活、丁寧な生活に“彩り”をお届けしたい』、『地域に根ざした、地域の方から必要とされるお店になりたい』に関わる内容を優しく噛み砕いてお話ししました。

その後のコーヒー豆が出来るまでの流れは、PowerPointに写真を貼り付けて、コーヒーの木の実を収穫している風景、その真っ赤な実を天日の下、乾燥させている風景、焙煎前後の豆の写真、そして店の焙煎機の写真を映して、生豆投入、焙煎、窯出し、冷却とこちらはサラッと説明しました。やはり産地で木に赤い実がなっている写真はすごく興味があったようです。

その後、質問タイムになりました。これがかなり楽しかったです。『お勧めの豆はなんですか?』、『コーヒーは世界のどこで出来るんですか?』、『日本でもコーヒーは採れるんですか?』、『コーヒー豆は何種類ありますか?』、『お客さんは1日何人来るんですか?』、『人気はありますか?』、『豆の色が違うと味も違うんですか?』、『コーヒー豆を美味しく作るにはどうしたら良いですか?』、『どうしてコロナなのにお店をやったんですか?』等々...全て丁寧に応えさせて頂きました。

合わせて焙煎前の生豆、焙煎後の珈琲豆を持って行きましたので、引き続き、現物を見て、触って、匂いも嗅いで貰いました。見た目の違いの驚きや、生豆の穀物臭さ、焙煎後の豆の香りに『いい匂い〜』と言ってくれる子や『これ、家でお父さんがコーヒー飲んでいる時の匂いだぁ』と言った感想も聞かれ楽しかったです。

最後に先生が、『では皆さん、今日のお話を聞いて感想を言って下さい。』とお話しされて、『◯◯が分かりました』という感想が多かったですが、特に面白かった(失礼...印象深かった)のは、『今日、いろいろお話を聞いて、早く大きくなっていろどりこーひーのコーヒーを飲みたくなりました。あと20年は続けて下さい!』という女の子の感想でした。なんで10年ではなくて、20年?って一瞬思いましたが、思わず『はい、分りました!』って応えてしまいました。(^^)?/

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2021年10月18日月曜日

No.34_秋の日は釣瓶落とし


“秋の日は釣瓶落とし”とはよく言ったものですね。先月から今月にかけてホント日に日に、日が短くなっています。と言っても若い方々はこんな諺は日常では使わないですかね(笑)。そういう僕も手動ポンプで井戸水を汲み上げた経験はありますが、使用中の釣瓶は見たことないです...

今日のブログを書き始めて少しだけ調べてみましたが、薄明時間(日没後もぼんやり明るい時間帯)も6月よりも30分ほど短くなっているようです...それもあっという間に暗くなると感じる要因かもしれません。

一方、こんなことを感じる僕自身の大きな要因は、『お店をやりながら体験する初めての秋』というのがあります。開店から既に半年が経ちましたが、店の中から外を眺めていると、それが如実に感じられます。店の入口はガラス扉が8枚連なっていて壁一面ガラスなので、良く見えるんです。外から店内も良く見えますが...笑(本日のサムネイル写真はその外観です)

店の外看板照明は店の前を明るく照らす役割もありますが、最近は17:00前には点灯しています。ほぼ同じ時間に店の真向かいの葛西小中学校グラウンドのナイター設備も点灯され、閉店の18:00頃は既に真っ暗、ナイター設備に照らされた子供たちが元気に部活動を続けています。

街路樹も少しずつ葉が色付き始め、秋の深まりを感じる今日この頃です。

コーヒーもホットが美味しい季節ですね^^

 

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2021年10月11日月曜日

No.33_柳家小三治さん


柳家小三治さんの訃報が飛び込んで来ました。

本当に本当に悲しくて、本当に本当に残念でなりません。

店主のつぶやき_No.22』の最後にも記載しましたが、小三治さんは僕が数十年に亘って心酔し、追い続ける三大ヒーローのお一人です。僕が初めて小三治さんにお目に掛かったのは約30年前、前職の設計監理の仕事で札幌の菓子店舗が竣工したときでした。そこの社長がお店のオープン前、2階の喫茶フロアに高座を設え、懇意にされていた小三治さんをお招きして、『柿落としの一席を設けるので観にいらっしゃい』とお誘いしてくれたのがきっかけです。その時は正直『お仕事付き合いの社長が声を掛けて下さったので行かなくちゃ』くらいの思いで伺いましたが、小三治さんが高座に上がり、お噺が始まったとたんに魅了され、終演後も『なんだこの世界は!凄過ぎる!素晴らし過ぎる!』と、僕はすっかり小三治さんのとりこになってしまいました。

その数年後、僕は東京に帰任しましたが、そこから寄席通いが本格化しました。東京には4箇所の寄席がありますが、それぞれのスケジュールをネットでチェックしては、小三治さんがトリで出演する日に足を運ぶ様になりました。出演者は10日毎に入れ替わりますが、小三治さんが出る席(10日毎の1スケジュールを席といいます)では2度以上足を運ぶこともありました。(本日のサムネイル写真は新宿末広亭に小三治さんが出演した時のものです。)

寄席では小三治さん登場の出囃子が三味線で奏でられると、いよいよだぁ!といつもワクワク、ゾクゾクしました。『待ってました〜!』と言う感じです。そしてマクラ(本演目の前のよろず話)がまた最高に楽しい!思わずクスッと笑っちゃいます。時折見せる小三治さんの口を真一文字に結んだ表情や、お茶目な笑顔は本当に大好きです。そしていつの間にか演目が始まり、そこから先、小三治さんはその登場人物にしか見えなくなります。

今にして思うと寄席へは『小三治さんに会いに行ってたんだなぁ』と思います。観に行く、聴きに行く、笑いに行くでもなく、小三治さんという人に惹きつけられ、会いたくて、会いに行ってた...そしてお会いした後は、いつも本当に温かくハッピーな心持ちで帰宅の途に着けました。

けれどコロナ禍になってからは1年以上、小三治さんにお会い出来ない日々が続いていました。そんな中、年末12/14の店休日に江戸川総合文化センターでの小三治さん出演予定の江戸川落語会のチケットが取得出来ていましたので、緊急事態宣言も明け、いよいよ久し振りにお会い出来ると楽しみにしていた矢先の訃報に、本当に残念で、寂しく、悲しい思いでいっぱいです。

でも、今まで本当にありがとうございました。お陰様でいつもハッピーな心持ちにさせて頂きました。

どうぞゆっくり、おやすみくださいませ。

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2021年10月5日火曜日

No.32_ナママメⅡ


10月に入って緊急事態宣言も明け、そして新内閣も誕生しました。なかなかコロナ禍以前の雰囲気には戻れませんが、少しずつ普通の日常が戻りつつあるのは嬉しいことです。

さて、前回の投稿『No.31_ナママメ』でブラジルの説明が出来ずに終わってしまいましたので、今回はその続きです。

前回、生豆は見た目だけでも微妙な違いがあり、それは産地の違いもさることながら、精製方法でも違いが出ることをお話ししました。

その“産地の違い”ですが、とっても奥が深く、実はなかなか手短にお話しするのが難しい世界です。産地の違いというと先ず思いつくのは国の違いですね。もちろん国毎の緩やかな風味の特徴・傾向はあります。しかし、それを造り出すのは結局その土地の天候(寒暖、降水量、日射、雨季乾季有無他)、標高、地形(山岳、台地、海岸からの距離等)、土壌、栽培方法、収穫方法、精製方法、他にも諸々...且つそれらが複雑に絡み合います。

世界最大のコーヒー生産国ブラジルに話を戻します。ブラジルのコーヒー生産量は世界総生産の1/3を占めます(1920年代はさらに多く80%を占めていました)。そしてその産地の多くは世界の産地と比較するとやや低地のエリアに位置し、且つファゼンダと呼ばれる巨大農園で、大型機械を使って収穫することが特徴です(それがこの生産高を支えているとも言えます)。この『比較的低地の温暖な土地で生育する』ということがブラジルの豆の風味特性に大きく影響しています。それは温暖な気候の為、成長が早く、それゆえ豆質はやや柔目、風味も穏やかです。(樹木の年輪幅が熱帯地域では広く、柔らかく軽いのに対して、方や寒冷地域では狭く、硬くて重いことと要因としては似ています。)そして、コーヒーの個性的な酸味は寒暖にさらされながらゆっくり成長するほど醸成されるため、ブラジルはむしろ穏やかが特徴になっています。

今回ご紹介した4種類だけでも豆のサイズ、硬さ、水分量他違いがあります。焙煎ではこれらの違いがあっても同じ進行になるように焙煎中のカロリー(火力×時間)コントロールを行い、雑味の無い、クリーンなコーヒー豆に仕上がるよう日々取り組んでいます。この”違い”に取組むことが難しくもあり、楽しいところです!

そしてこの”違い”をお客様にも風味として楽しんで頂けたら、これほど嬉しいことはありません。

 

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