2023年10月31日火曜日

No.141_熊川哲也さん


先週の店休日、東京文化会館でK -BALLET TOKYO“眠れる森の美女”を観てきました。

実は僕...見掛けに依らず(苦笑)、バレエ好きでして...20代の頃からバレエは時々観に行ってます。ボリショイ、マリインスキー、ロイヤル、パリオペラ座...これら来日情報、公演情報をチェックしては気になる演目を見つけて観に行くわけですが、演目はやはりクラシック寄りです。とりわけ白鳥の湖、ジゼルがお気に入りです。とは言いながら日本のバレエ団は今回初めて観に行きました。一方で、熊川哲也さんには兼ねてから興味があり(“興味”は失礼ですね、惹きつけられるものがあり)、熊川さんが主宰しているK -BALLET TOKYOも一度観てみたいと思っていました。

僕がバレエを好きな理由は、何より「美しいなぁ」、「素敵だなぁ」、「いいなぁ」って気持ちに浸れるところです。テレビ放送もよく録画して観たり、特に気に入ったものは保存しているものもありますが、やはり生で観るのは格段に心揺さぶられるものがあります。バレエに限らず、芸術の類は(絵画を観るのも、舞台も、寄席だって...)、正直「無いと生きていけない」と言うものではないかもしれませんが、あると、そして触れると何とも心が、生活が豊かになるものだと感じています。

ところで先月、NHK“あさイチ”のプレミアムトークに熊川さんがゲスト出演されていたのでこれも録画して観ましたが、その中で“眠れる森の美女”の振付練習でのやり取りがとても興味深かったです。熊川さんは『振り付けに関しては事前の制作ノートとか予習なんかはない。そもそもバレエには崇高なクラシック音楽がまず上位にあって、ダンサーはそれに操られる人形にならなくてはならない。つまり振付はそうした感性に動かされて体が動き、そして出来上がる。頭で考えてもイイことはない。』とのことでした。さらには『時空を超えて、先人たちと会話したい』ともおっしゃっていて、すごい世界観だなぁとびっくり、そして感心してしまいました。

そして先週、公演を観てきましたが、その言葉の通り本当に素晴らしく、心揺さぶられました。ダンサーの方々の踊る技術、美しさ、表現力もさることながら、舞台セット、衣装、音楽が一体化した美しい世界観に酔いしれました。

と言うわけで季節は秋、「芸術の秋」、「食欲の秋」真っ只中ですね。話は飛躍しますが(強引な結び付けかもしれませんが)、“美味しいもの”も単に空腹を満たすためとか、栄養のためと言うだけではなくて、「美味しいなぁ」、「いいなぁ」、「幸せだなぁ」と心が、そして生活が豊かになりますね。今年は酷暑の後の秋だけにより一層、芸術、食を楽しみたい気分です。^ ^

いろどりこーひーは珈琲豆を通して、皆様の心豊かな生活に彩りをお届けします。

   バックナンバーは、コチラ

2023年10月24日火曜日

No.140_コーヒーバッグのイイところ


コーヒーバッグは、2021年7月に3種類(カフェ・カルミア、カフェ・フォルテ、まどろみ)発売し、その4ヶ月後に2種類(マンデリン、モカ・ナチュラル)追加、計5種類になり、それを機にMIXパック5種類×2個ずつのパック)もラインナップに加わりました。

発売以来2年を経て、お陰様でとても多くのお客さまにご愛顧頂き、いろどりこーひーのラインナップに無くてはならない存在となりました。

その間、お客さまのとの対話を通じて、ご利用方法も色々な形が見えてきました。今回はそんな『お客さまの声』をご紹介させて頂きます。

◾️お手軽編

『淹れる道具不要でとにかくお手軽なのがイイです』、『淹れるのも簡単、捨てるのも簡単』、『キャンプ先でも湯を注ぐだけ出来上がるので便利です。』、『山登りに持って行って頂上で頂くのは格別です。嵩張らないのもイイです。』、『家ではドリップ、会社ではコーヒーバッグです。』、『在宅テレワーク中も合間の時間でさっと淹れられ重宝しています。』

 →紅茶のティーバッグの様な形をしていますので、淹れるのに道具不要で包から取り出したらマグカップにポイと入れてあとは熱湯を注いで4分で出来上がりです。取り出したパックもそのままゴミ箱にポイです。色々な場面で使えるので豆購入時、コーヒーバッグをセットでご購入されるお客さまも多いです。

◾️贈答利用編

『豆や粉を贈ろうとすると相手の方が淹れる道具をお持ちかどうか確認する必要がありますが、コーヒーバッグはその必要が無く、贈りやすいです。』、『相手の方のコーヒーの好みが分からなくてもMixパックなら色々楽しめるのでイイですね。』、『異動の際、部署の方へのお礼に小分けにして添えました。』

 →ご自身でのご利用だけでなく、ご贈答利用頂く機会も多いです。

◾️味編

『美味しいです!』

 →これは本当に嬉しいお言葉です。実は僕自身、このコーヒーバッグスタイルを選択した理由は、前述のお手軽さもありますが、何より“美味しく頂けるスタイル”と言うことが重要なポイントでした。ドリップするタイプ(組み立てて、カップの上にセットしてから湯を注ぐタイプ)を経験されている方からは『コーヒーでこの形は珍しいですねぇ!』と言われますが、このドリップタイプは1人前の粉量に湯を注いでも、湯はあっという間に粉を通り過ぎて、しっかりとした風味を出すことは難しいと僕は感じていました。また、ドリップパックの粉量は7g入り、8g入りが多いですが、いろどりこーひーのコーヒーバッグの粉量は12g入りです。製造メーカーと最初打ち合わせした際、『粉量は8g〜12gの間で製造可能です。』と伺いましたので僕は迷わず最大の12g入りを選択しました。この粉量をしっかり確保したと言うことと、熱湯に4分間浸すと言う手順(フレンチプレスと同じです)により、コーヒーバッグはいろどりこーひーの味がしっかりお伝えできる商品となりました。

どうぞいろどりこーひーのコーヒーバッグを色々な場面で、色々なスタイルでお楽しみ下さい。

いろどりこーひーは珈琲豆を通して、皆様の心豊かな生活に彩りをお届けします。

   バックナンバーは、コチラ

2023年10月17日火曜日

No.139_焙煎機の蓄熱をコントロールする


今回のテーマ『焙煎機の蓄熱をコントロールする』ですが、きっとなんのことだろう?と言うテーマですね。実はこれ、僕が焙煎中、気に掛けていることの一つで、少々マニアックな焙煎論になりますが、宜しかったらお付き合いください...

僕が使っているPROBAT社の焙煎機は、その重量が340kgあります。これは焙煎中回転しているドラムを覆っている窯の鉄部が主にその重さを占めているのですが、この鉄は鋳物でとても分厚く、焙煎終了後、3時間以上経っても尚、触れると温かさを感じる程です。これは焙煎により窯の鉄部が温められたこと、つまりそこに蓄熱されたことによります。

この蓄熱は焙煎中も進行にとても大きな影響を与えます。

何も対策を講じないと1窯目より2窯目の方が窯の鉄部は熱を持ちます。(1窯ヤイタ熱で鉄部が熱せられ蓄熱するためです。)

因みに焙煎はガスの火力(実際はその火力で熱せられた熱風)で豆をヤイテ行きますが、細かなことを言うとドラムを覆う鉄部の蓄熱と相まったエネルギーでヤイテいるんですね。

そこで焙煎をいつも安定した(同じ)進行にするため、実は1窯目の焙煎前に予熱を行います。これは2窯目スタート時と限りなく同じ蓄熱状態にすることを目的としています。具体的には焙煎終了温度(豆を窯から出す温度)まで加熱し、ガスの火を種火に切り替え、ドラム内温度が約3/4まで下がったら再び点火して再加熱、そして先ほどの温度まで上がったら又種火にする。再び3/4の温度まで下がったら点火して...これを3回繰り返します(この高低二つの温度は予め定めた温度があります)。そしてこの一連のルーティン(予熱)には約30分の時間を要します。

実はここまでやっても1窯目の蓄熱状態は2窯目以降と微妙に違うので(2窯目以降は安定します)、1窯目にヤク豆は3種類程限定して1窯目用と2窯目用2種類のプロファイル(火力調整の進行標準)を持つようにしています。(それ以外の豆は必ず2窯目以降にヤキます。)

以上、自分では分かり易くお伝えしたつもりですが、まだまだ伝わりきらないですね...きっと。

そうだ!

ホットケーキを焼く時、2枚目以降は上手く綺麗に焼けるのに1枚目はマダラで綺麗に焼けないって経験は有りませんか?アレです、アレッ!あれもフライパンやホットプレートの蓄熱が1枚焼くことによって安定するからなんですね!

 

いろどりこーひーは珈琲豆を通して、皆様の心豊かな生活に彩りをお届けします。

   バックナンバーは、コチラ

2023年10月10日火曜日

No.138_焙煎機とAI


まず今回の写真ですが...先日行ってきた箱根彫刻の森美術館にある『幸せを呼ぶシンフォニー彫刻』と名が付いた、円筒状の建物内観です。高さ18m、内径8mで、建物内中央の螺旋階段を上って屋上に上がることも出来ます。外壁はステンドグラスで覆われていて、下から見上げるととっても美しく幻想的で素敵な空間でした。中央の螺旋階段は上り用、下り用、一方通行2本の階段が組み合わせられていながら、途中、共用の踊り場もあるので後ろの人をやり過ごしたり、上まで登れないと思ったら引き返すことも出来る様に工夫されていて、こちらにも感心しました。

さてさて、今回の突拍子もないテーマ『焙煎機とAI』ですが...昨今、新聞紙上でAI、生成AIに関する記事を見かけない日はありません。そしてふと、それが焙煎機に組み込まれるようなことがあるのだろうかと言う思いが頭をもたげたものですから、それをテーマにしてみた次第です...

とは言いながら、僕自身、AIについては全く詳しくないので、以下、見当違いなことや絵空事かもしれませんが、どうか“つぶやき”レベルとご容赦ください。

とってもざっくりと受け止めるとAIは『“行為”の自動化』が主たる目的で、生成AIは『新しいコンテンツの生成』が目的とのことですので、僕のやってる“焙煎”という“行為”は、もしかしたらAIと相性がいいのかもしれません。

つぶやきNo.133_感と勘の世界』でも少し触れましたが、焙煎中は(実は朝、店に入った瞬間から焙煎直前迄の準備もそうですが)、五感を使って情報、状況をインプットし、感と勘を使って操作する(アウトプット)ということを毎ロットの焙煎でやっています。既に世には少量焙煎する自動マシーンなるものはありますが、[豆の今]を五感で感じながら対処していく操作はそれとは一線を画していると思っています。とは言え、このインプット、そしてアウトプットするためのロジカルをAIに学習させれば、同様の操作は可能であろうというのが僕の見立てです。

但し...

但しです。ここまでの記述は操作論ですが、その操作の妥当性を担保するのは、あくまで出来上がった豆の美味しさ!味だ!と言うことが大切なポイントです。その美味しさを創り出す味覚力があってこそのロースティングプロファイル(温度、時間、火力等の進行標準)でなくてはならない。それが焙煎の奥深さだと思っています。

ところでこの“ロースティングプロファイル”(料理になぞらえると“レシピ”と言っても良いかもしれませんが)、この世で共通認識されているものはありません。それぞれの焙煎人や珈琲製造会社が独自に持っている、若しくは今も追求している世界です。

と言うわけで操作、進行のAI化は出来ても『美味しい豆を作る』ことまで包括した“真の焙煎”のAI化は難しいのではないか?と言うのが僕が今の所、思っていることです。それとも現在の人智を超えた最強マシーンがいつか登場する日は来るのでしょうか?

いろどりこーひーは珈琲豆を通して、皆様の心豊かな生活に彩りをお届けします。

   バックナンバーは、コチラ

2023年10月3日火曜日

No.137_美味しいものが日常にある幸せ


初めてご来店頂くお客さまから『私、コーヒー、素人なんですが〜』とか、『コーヒーの味のこととか全く分からないんですが〜』と言ったお話を冒頭頂くことがたまに有ります。

『いやいや、コーヒーを飲むのに素人も玄人もないですよ〜』がお伝えしたい内容なんですが...ご本人は謙遜なさっていたり、そうで無くとも自身の好みを言葉で伝えることの難しさ、もどかしさがあることは容易に推測出来ますので、気持ちはよく分かります。(僕自身も思うことなので)

この様におっしゃる方々も、自身の好みはうまく伝えられないけれど、『でも、美味しいコーヒーが飲みたいんです!』と言う気持ちはしっかり伝わってきます。“美味しいものを求める気持ち”すごく共感できます。コーヒーに限らず、美味しいものを口にすると言うのはなんとも幸せなことですね!

美味しいものの話をし始めると会社勤め時代、九州支店(福岡)にいた頃を思い出します。福岡は、そして九州はホント美味しいものに溢れていました。僕自身は北海道出身なのでウニ、カニ、ホタテ、いくらの美味しさは知っていたつもりですが、それらとは被らない白身の魚やひかりものの魚がどれもこれも本当に美味しく、いつも感激しながら頂いていました。肉類も牛も、豚も、鶏も本当美味しい料理がいっぱいありました。そしてそれらがとてもお手頃価格なので日々の食事で味わうことが出来る。なんとも幸せでした。

幸せ、ハッピーって、何か成し遂げた時もそれはそれでハッピーですが、そうそうあることではないので、結局は毎日の食で『あー、美味しいなぁ』と過ごせることが何よりだなぁってつくづく思います。

冒頭『私、コーヒー、素人なんですが〜』とおっしゃっていた方の“日常の食のハッピー”にも、いろどりこーひーのコーヒーが加わることが出来るとしたら、これほど嬉しいことはありません。

いろどりこーひーは珈琲豆を通して、皆様の心豊かな生活に彩りをお届けします。

   バックナンバーは、コチラ