2022年1月25日火曜日

No.49_立川志の輔さんと共感


年始に渋谷PARCO劇場で『志の輔らくご』を観てきました。毎年恒例ですが、昨年はコロナ渦中で止むなく中止になりましたので、2年前のPARCO劇場柿落としの『志の輔らくご』以来、2年振りに志の輔さんにお会い出来ました。

No.33の小三治さんに関する”つぶやき”の時も記載しましたが、志の輔さんも僕にとっては観に行く、聴きに行くを超えた「会いに行く」存在の方です。公演の最後はこれも毎年恒例の三本締めでお開きとなり、『さぁ、今年も一年がスタートしたぞ!』、そんな思いを胸に刻みました。

今年も志の輔さんのパフォーマンスは、痛快、圧巻、最高でした。公演はまだ続いていますので、ネタバレにならないよう内容には触れませんが、志の輔さんの芸はまた一歩上の域というか更に外側の域というか、また新たなスゴイ領域を切り開かれたなぁと、いつもいつも感心、感動します。3本やった演目は、いずれも志の輔さんが書き下ろした新作落語ですが、そこに出てくる登場人物、出来事、心持ちは、『あるある!』、『そうそう!』、『そんな人居る!』と共感する場面の連続で、クスッと笑ってしまうのでした。

『共感』...最近と言うか、店を始めてから自身、いろいろな場面で実感することが多くなったような気がします(対象の事柄も回数も)。これは、その人と同じ体験、同じ心持ち、同じ気構え、同じ興味等何かが重なることで起きるんじゃないかと思っています。そう言う意味では店を始めて、僕自身の環境は一変しましたし、心持ちの対象が変わったことも、共感の幅が広がった要因なのではと感じています。

一方、共感を与える側というか、受ける側の志の輔さんは、新作落語を書き下ろす、そして演じるに当たり、きっと日頃の生活から卓越した洞察力や、感性、思いやりと言ったものを持ち合わせている故、なせる技なのではないかとも思うのです。

こうしたことも最近すぐ自分の店のことに重ねてしまうのですが、僕もお客様から共感を得られるよう、自身がお客様の立場になって、どんな商品(風味)があるといいのか、どんな接客サービスがあるといいのか、しっかり考えながらやっていきたいと思っています。似たような言葉に『お客様のために』と言うのがありますが、この言葉は『店側が客に施す』みたいな響きがあって、僕自身、その客の立場に置き換わるとあまり好きな言葉ではありません。むしろ僕自身が客になった思いでいろどりこーひーを眺め、共感出来るような、そんなお店になれることを目指して、今年も一年邁進致します。

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2022年1月18日火曜日

No.48_水のお話し


お店でのお客様との会話はコーヒーに関するものが殆どですが、水に関する質問も時々頂くことがあります。

『コーヒーを美味しく飲むために水に関して気を付けることはありますか?』、『コーヒーを淹れる水は軟水、硬水どちらが良いですか?』、『出来れば水道水ではなく購入した水が良いのでしょうか?』、そして先日は『ふるさと帰郷時も飲み慣れたいろどりこーひーの豆を持って行くんですが、そこで淹れたコーヒーはさらにぐっと美味しくなるんです!水の影響って大きいですね!』といったとても興味深いお話も伺いました。

先に総論を申し上げてから、少し各論をお話しさせて頂きますが、コーヒーを美味しく頂くには、

①    水の硬度は軟水が望ましいです。(水道水でOK)

②    水として飲んで『美味しい水』で淹れた方がコーヒーもより美味しく頂けます。

①については、クセがなく円やかな口当たりの軟水は、料理の世界でも和食の旨味を引き出したり(出汁を取ったり)、お米を炊くにも適しているとされています。方やミネラル成分が多い硬水はブロック肉をしっかり煮込む時など型崩れし辛く、アクを抜きながら柔らかく仕上げたり、そしてパスタを茹でる時はコシを出すのに、またパエリアでお米の食感を残すのに適しています。その特性からするとコーヒー成分を(日本茶も同様です)しっかり抽出するには軟水の方が適しています。一方、日本の水道水はヨーロッパと違い、軟水ですので、特段気にすることなく、水道水利用で構わないと思います。

②については、コーヒーを飲んだとき美味しいと感じる要素の一つにマウスフィール(口当たり)が有りますが、水として飲んで美味しいと感じる水は間違いなく良質なマウスフィールが備わっており、これで淹れたコーヒーも同様にその効果を発揮します。これが前述の『ふるさとの美味しい水で淹れたコーヒーが美味しい』ことと大きく関連しています。また、美味しい水という意味で水道水は、硬度的には全く問題ありませんが、消毒効果を保つため残留塩素があるので、これがカルキ臭としてニオイや味で気になることもあります。その場合は浄水器を通すとほぼ気にならなくなります。(因みにお店の試飲コーヒーに使用している水は水道水を浄水器を通してから使用しています。)

こうしてお客様と水に関するお話をしながら、『コーヒーを美味しく頂きたい!』との熱き思いを受け止め、それを自身のエネルギーに変えながら毎朝焙煎に勤しんでおります。

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2022年1月11日火曜日

No.47_飛行機の着陸と焙煎


本日のテーマは『飛行機の着陸と焙煎』です。まず、何のこっちゃ?ですね(笑)

この年末年始、ほんと久しぶりに飛行機に乗る機会があり、席は翼がよく見える窓際でした。そして着陸態勢に入って以降、翼がパタパタと操作されている風景を目にして、『こりゃ、パイロットの方は僕の焙煎中と同じ心持ちじゃないか?』と思ったんです。ここまで書いても何のこっちゃ?ですね(笑笑)

ここから記載する飛行機の操縦、パイロットの方の心持ちは『僕の想像』とお断りした上で記載させて頂きますが...着陸態勢に入ってから着陸するまでの間はきっと1本の線を引いたように航路が決まっているんじゃ無いかと思ったんです。着陸時から逆算して何十秒前の自分(飛行機)の位置は、上下も左右も前後も角度もスピードもこうでなきゃならないと言うことが決められていて、それらの微妙なズレを全ての神経を集中させて調整(操縦)しているんじゃ無いかと。刻々と時間が進み、飛行機も進む中、やらなければならないことはいつも一緒(同じ航路を同じように通過すること)だけれど、日々天候も風向きもその強さも、気温も異なる環境下でそれを実現させる。『この心持ちは焙煎と一緒だ!』って思ったんです。

焙煎は窯内に豆投入後、そこの温度上昇が刻一刻と進む中(飛行機が飛んでいるような状況下で)、10℃毎の窯内温度の通過タイムを±6秒以内を目指してカロリー(火力)コントロールを続けていきます。季節によりそして日々気温、湿度、且つ豆種が違っても!その辺の心持ちに共通点を感じた次第です。

もちろん飛行機の操縦の方が操作しなければならないこと、考えを巡らすことが信じられないほど多いのは容易に想像できます。一方、焙煎の場合は出来上がったものをカッピングで(味見ですね)、次なる微調整を考えると言う工程も必要です。

飛行機自体は何度も乗ったことはありますが、店開店後は初めての搭乗でしたので、自身の環境、心持ちが変わるとこんな気づき、発見もするのかとちょっとだけ面白い体験が出来ました。(^^)

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2022年1月1日土曜日

No.46_新春を飾るブレンド、ブライト・スマイルのご紹介


明けまして、おめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

今年最初の季節のブレンドは、とにかく『眩しいくらい、明るく、晴れやかなブレンドをお届けしたい!』そんな思いで昨年末は色々な組み合わせや、その割合を変えながら、試行錯誤を続けていました。

最初に浮かんだテーマ、若しくは背景は、『昨年、更には一昨年来、世の中は新型コロナ禍状況下に置かれ、幾度の緊急事態宣言下も経験し、どこか重たい雰囲気、不自由さ、やるせなさを感じ続けてきた2年間でした。そして2022年こそ、そのトンネルを抜けて、晴れ晴れ、明るい、新たな穏やかな常態が訪れてほしい!』、そんな思いを込めて、そしてそんな気持ちになれるブレンドを作りたいというものでした。一方、新型コロナ禍以前の状態、生活、心持ちに完全に戻ることは残念ながら無いのかもしれません。戻る必要の無い事柄、新たなスタイルも発見出来た新型コロナ禍でした。その上で新常態として、必ず穏やかな日常は訪れる!そう願い、そう信じています。

ブレンド名にはBright(ブライト)を使いたいと思いました。Brightから受ける僕の印象は、眩しいほどの輝き、明るい、晴れ晴れ、華やか、生き生き、元気...それにSmile(スマイル)を重ねて、ブライト・スマイル!ちょっとベタかな(笑)とも思いましたが、願いを込めて!

そのBrightを表現するベースは、グァテマラです。そこにモカ・ハマ、タンザニアをブレンドしました。この3つを掛け合わせたことで、シングルだけでは感じられない、風味の複雑さ、奥深さが表現出来たと思っています。また、モカ・ハマの風味が、優しく尾を引く、心地よい余韻を演出します。このブレンドは、コーヒーが冷めていく過程でも様々に表情を変えます。是非、冷める過程、更には冷め切った状態もお試しください。きっと次々と登場する新たな風味がお楽しみ頂けると思います。

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