今回のテーマ、ちょっと職人気質な内容で恐縮ですが、僕が焙煎を進める上で意識していること(大切にしていること)のご紹介です
それは“インタバル管理”です
と聞いても、何だそれ?...ですね(苦笑)
この“店主のつぶやき”の中でも何度か進行管理に触れてきましたが、概要を改めてお話しすると...①美味しい豆を作りたい→②毎回同じ味にヤキあげた上で微細な変化、工夫を積み上げ、美味しさを極めていく→③毎回同じ風味にヤキあげるには(味の再現性を確保するには)春夏秋冬、毎回同じ進行を実現しなくてはならない→④毎回同じ進行にするには焙煎に関わる総時間を管理するだけではなく、フェーズを細かく区切り、その経過タイムを揃えていく必要がある→⑤当初10℃毎の経過タイムを設定していましたが、今は5℃毎の経過タイムを設定してブレを最小限に制御しています→⑥経過タイムを揃えると言うことはフェーズ毎の“インタバル”を揃えると言うこと→⑦“インタバル”を揃える意味はフェーズ毎に与えるカロリー(≒エネルギー)を揃えることと同義で、それにより毎回同じ味が作り出されるというロジカルです
因みに上記で「揃える」と言う表現を使いましたが、これは「フェーズ毎、全て同じ時間にする」と言う意味ではなく、「フェーズ毎に設定した異なる適正時間を毎回再現する(揃える)」と言う意味です(この「フェーズ毎」というのは、「窯内温度を180℃→185℃→190℃と5℃上昇させる毎」の意味です)
そしてこの「フェーズ毎の異なる適正時間」が冒頭記した“インタバル”の意味です。それがマチマチなのはフェーズ毎に与えるべき適正カロリー(≒エネルギー)が違うということです
因みにこのインタバルは、この世にテキストがあるわけではなくて、自身の味覚を頼りに、上記の①→⑦、そしてその逆の⑦→①を何度も何度も繰り返して“収束”させてきた値(時間)です
焙煎の過程を豆の変化という観点で捉えると、❶水分抜きステージ(準備段階とも言えます)、❷デベロップステージ(風味の核を形成する化学変化の段階)、❸ローストステージ(味わいを仕上げる最終調整段階)と推移します
それぞれのステージで過不足無い進行(完璧な進行)を実現しないと、そこでのダメージ(香りが飛ぶ、甘さ、明るさ、軽やかさが無くなる等の風味低下)が避けられませんし、そのステージの進行の不完全が次のステージでのダメージに繋がることもあります(水分抜き工程が不十分だと次工程で完璧なデベロップは望めず、ドヨンと重たい風味になります。一方、水分抜きし過ぎてカラカラになっては香りが飛び、薄っぺらい風味になります。また、水分抜きステージを始め、全工程のほんの一瞬でも表面焦げが発生するとそれはもう取り返しが効かず、後味に纏わりつく嫌な雑味に繋がります)
それ故、上記❶、❷、❸を更に5℃上昇毎のフェーズに細分化して、その間に与えるカロリーコントロール(インタバル管理)をしているわけです(これは『No.220_焙煎中、加速度を捉えながら進める火力調整』の内容にも通じます)
そのその昔、僕が新入社員の頃、ISO、TQC(Total Quality Control)の一環で「後工程はお客さま」なんてことを教わっていましたが、そんな感じです(細かなことを述べてきた割に、最後の纏めが雑ですねぇ〜 ^^;)
結局のところ、“インタバル管理”の行き着くところは、(後工程と言っては甚だ失礼ですが、最終目的の)「全てはお客さまの『美味しい!』のために!」に、繋がっています
いろどりこーひーは珈琲豆を通して、皆様の心豊かな暮らしに“彩り”をお届けします