2021年5月18日火曜日

No.11_焙煎中はF1カーレースのドライバーの心持ちなんです(^^;



既に何度かお越し頂いたお客様から『焙煎しているところ、見たことないですねぇ!?』と言った問い掛けを頂くことがあります。実は焙煎は毎朝開店前の時間帯で行っています。ですからその光景をお客様にお見せすることが出来ないんですねぇ...

これは別に内緒で行っているわけではなくて、一瞬の隙も気が抜けない集中が必要な為なんです。お店の入り口にはシャッターが降りますが、焙煎中も本当は開けた方が店内明るくて良いのですが、やはり集中するため締め切ったまま行います。さながら『焙煎中はF1カーレースのドライバーの心持ちなんです』...はぁ?何?ですよね!(笑)

流石にF1カーは運転したことはありませんが(^^;、T V観戦は昔から好きです。昔...セナ、プロの時代からです!キャメルに中嶋悟さんやピケが所属していた時代で、僕はマンセルがお気に入りでした。彼は時々ポカはするもののキレッキレの時は、誰も太刀打ち出来ない速さとテクニックを見せてくれました。F1レースは305km相当の周回をしてその順位を競いますが、スタートした瞬間からチェッカーフラッグが振られる(トップのドライバーがゴールする)瞬間まで一瞬たりとも気が抜けません。例えば運転中、ブレーキ操作が少しでも遅れれば、コースから外れたり、前の車に激突してしまいます。タイヤ交換でピットに入る間も1/100秒を短縮するため、必要な作業や確認を猛スピードで行います。

これが焙煎中の心持ちと似ているんです(と、思っているんです)。スタートは最初の生豆を焙煎機の窯に投入した瞬間。チェッカーフラッグは全ての豆の焙煎が終了して焙煎機の火を消した瞬間です。1回の焙煎自体は生豆投入後、概ね20数分で完了しますが、その間、釜の中の温度は時間の経過と共に刻一刻と上昇し続けます。焙煎中行う動作は、言うなれば火力の調節だけです。ただし、最適な焙煎を完璧な再現性を持って実施するには上昇する温度10℃毎の目標通過タイムを±10秒以内の誤差で制御していく必要があります。これにはデジタル温度計とデジタル時計の両方を見比べながら(睨みながら)その日の天気、温湿度、豆種毎に変わる条件変動も取り込みながら調整して行かなくてはなりません。焙煎は毎朝数窯(ロット)焙きますが、そのロット間も息抜き時間ではなくて、釜の温度下降状況を横目で見ながら、次の豆の軽量、焙煎ノートを広げて、進め方の確認、方針決定そして所定の温度で再点火、再投入、そして先ほどの集中が再びスタートします。頭の中ではグルグルいろんなことを考え、計算しながら進めますが、これを見た目淡々と冷静に進める。正にF1レーサーです! と、こんな大風呂敷を広げちゃうとF1レーサーに怒られちゃいますね(^^;...でも日々こうして、なりきりで取り組んでおります。


いろどりこーひーは珈琲豆を通して、皆様の心豊かな生活に“彩り”をお届けします。

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