2024年9月24日火曜日

No.188_ブレンドはアフターミックスします


アフターミックス...チョッと聞き慣れない言葉ですね...

ブレンドは、複数の豆を混ぜ合わせることにより作りますが、それぞれの豆を先ず焙煎して、その後、出来上がった豆を混ぜ合わせることを“アフターミックス”と言い、いろどりこーひーはブレンド作りにこの方式を採用しています。

これと対比されるのが、焙煎前の生豆の状態で混ぜ合わせ、それを一度に焙煎するのが“プレミックス”と称される方式です。

アフター(あと)とプレ(前)の違いは、ブレンドする(混ぜ合わせる)のが焙煎の「後か」、「前か」ということです。

アフターミックスを採用している理由ですが、これは一言で言うと「味のため」です。「焙煎するそれぞれの豆が“適正に”焙煎されていてこそ、ブレンドした時、シングルには無い風味の奥行きだったり、複雑さ、個性が表現出来る」との考えからです。

この“適正に”の意味ですが、「その豆(産地)の個性を最大限に引き出す焙煎」の意味合いです。焙煎前の生豆は、そのサイズも固さも、持っている成分も水分も豆種ごとにマチマチです。必然的に焙煎中の各フェーズで与える適正なカロリー(≒火力)は異なりますし、煎り止めの温度(窯から出す温度)も1℃単位で異なります。これがプレミックスだと違う豆種も全て同じヤキ方になるわけですから、そこにはどうしてもヤキの過不足が発生してしまいます。

では何故プレミックスという言葉(方式)があるかのというと、効率性の観点からのようです。全国のスーパーやカフェに大量のブレンドコーヒー豆を届ける大手コーヒー会社は、このプレミックスを採用しているそうです。

いろどりこーひーの自家焙煎は、あくまでも“クラフト”ですので、効率より優先されるのは“味”と考えています。

因みにこの“クラフト”という言葉ですが、辞書には『工芸品、手芸品』といった説明があります。そこから派生して、『手作り、技巧、技術』の意味合いも合わせ持っています。そしてそれ故、少量生産にならざるを得ませんが、それだからこそ追求していける味作りというものがあります。いろどりこーひーでご提供するコーヒー豆はそんな世界を目指しています。

 

いろどりこーひーは珈琲豆を通して、皆様の心豊かな生活に“彩り”をお届けします。

   バックナンバーは、コチラ

2024年9月17日火曜日

No.187_焙煎中のコーヒーの香り


『コーヒーの香り』と聞くと、どんな香りが最初に浮かびますか?

『コーヒーを飲もうと口をカップに近づけた時、ふっと香る香り』、『コーヒー豆を粉に挽くときに部屋中に広がるなんとも言えない幸せな香り』、『豆(or粉)が入っている袋(orキャニスター)を開けたときにふっと広がる香り』...どれもホットする、安らぐ、あ〜ぁ いいなぁ〜って香りですね!

これらの香りは僕もホント大好きです。(それ故、焙煎豆屋をやっていると言うのもあるのですが...)

そして実は...焙煎をしていると触れられる更なるコーヒーの香りと言うのがあります!

焙煎は100℃以下の窯内温度の時、生豆を投入し、(豆種により多少の差異はありますが、)200数十℃までヤキ進んだところで煎り止めして、窯から外に出します。

この間、165℃を過ぎた辺りからなんとも言えない“イイ香り”が、部屋の中に漂い始めます。

つぶやきNo.155_焙煎は化学!』にも少し書きましたが、焙煎中の一番肝になる化学変化(①糖分のカラメル化、②メイラード反応、③ディープフライフレーバー化)は、この辺りの温度(165℃〜180℃辺り)で集中的に起きます。この間漂う香りが本当に心地よく、開店前の朝、一人で店で焙煎しながら、(細やかな)『役得だなぁ〜』なんてつぶやきながら香りに浸っています。(笑)

そしてもう一場面、焙煎直後に行う豆の目視チェック(ハンドピック)作業中のことなのですが...

焙煎直後の豆は、焙煎機の冷却器(タライ状の部分)で撹拌しながら冷ました後、一旦、プラスチックケース(今回添付した写真)に移します。

その後、このケースの蓋を開け、(『つぶやきNo.72_焙煎直後の豆チェック』に写真掲載されている)取っ手付きカップで豆をスクって、その豆を盆の上に広げて目視チェックしているのですが、前述の『ケースの蓋を開け』のタイミングでフワッと広がるヤキたての豆のディープフライフレーバーは、えも言われぬ超大好きな香りです!!この時ばかりは、思わず鼻から胸いっぱい香りを吸い込んでしまいます(笑)。ちなみにこのディープフライフレーバーと言うのは、コーヒーに限ったことではなくて、寧ろフライ料理を揚げるときの香ばしさを伴った食欲をそそる香りとして、みなさん体験されていると思います。

と言うわけで、今回は普段お客さまは触れられない焙煎中の豆の香りについてご紹介させて頂きました。ここでイイ香りに仕上がると、ひいてはお客さまが手にする、そして口にするコーヒーの香りも(風味も)素晴らしいものになりますので、そんなことを胸に、自身も楽しみながら日々焙煎に勤しんでおります。^ ^

 

いろどりこーひーは珈琲豆を通して、皆様の心豊かな生活に“彩り”をお届けします。

   バックナンバーは、コチラ

2024年9月10日火曜日

No.186_フレンチプレス(コーヒープレス)の歴史とその特徴


今回はコーヒーを抽出する器具の“フレンチブレス”(コーヒープレス又は、プランジャーポットとも呼ばれます)の歴史と特徴に関するお話です。

まず、フレンチプレスがどういうものかその姿、形をご覧頂いた方が以下の話もイメージしやすいかと思いますので、参考までにbodum(ボダム)社の製品ページのリンクを貼ってみます。

■フレンチプレスの歴史

いきなり「歴史ですか〜!?」ですが、少しだけ...

19世紀中頃、フランス、ドイツでその原型が生まれた様です。そして1930年頃になるとイタリア人デザイナーが耐熱ガラスと金属部品を組み合わせたスタイリッシュなデザインを考案し始めました。そんな中のひとりファリエロ・ボンダニーニは1958年改良型で特許を取得し、フランスのマルタンSA社で「メリオール」とい商標名で生産、販売を開始。その手軽さが受けて、1950〜1960年代のフランスでは「一家に一台」と言われるほどの大ヒット商品になったそうです。このフランスでの大流行が、この器具が「フレンチプレス」という名で世に浸透することになった由来とのことです。その後、マルタンSA社は、デンマークのbodum(ボダム)社に買収されました。

方やアメリカに目を向けるとジョージ・ハウエルが、その浸透に大きな役割を果たしました。というのも彼は、1975年アメリカ、ボストンで“コーヒーコネクション”を設立し、上質なコーヒーをフレンチプレスで淹れて提供するというスタイルを初めて導入した人です。

また、ジョージ・ハウエルはクリーンカップという概念も提唱した人でもあります。クリーンカップというのは、「コーヒーの味は、雑味がなくクリアで味わい深いものであるべき」との理念です。このコーヒーコネクションは、その後、1994年にスターバックスに買収されましたが、アメリカでは今も家庭で淹れるコーヒーは、ハンドドリップ、コーヒーメーカー使用よりフレンチプレス使用が主流とのことです。

■フレンチプレスの特徴

粉を入れ、湯を入れ、その後4分待って、プランジャー(金属製のメッシュ)を押し込んだら出来上がり。とっても簡単、シンプルな使用方法です。それ故、粉量、湯量を同じにすれば、毎回風味はブレず、安定しているというのもイイところです。

そして肝心の味ですが、実はこの器具、“諸刃の剣”の一面があります。

ペーパードリップの様な濾過(ろか)抽出に比べ、粉を湯に浸す浸漬(しんせき)抽出ですので、一言で言うと”味が一番よく出る淹れ方”と言えます。先に“諸刃の剣”といった意味は、雑味の無い上質な豆を使用したときは、その風味を最高、且つストレートに味わえます。方や雑味を含んだ宜しくない豆を使用したときはその雑味も余すところなく抽出されてしまい、ペーパードリップでは飲めたものが、フレンチプレス使用では飲めない味になってしまうことも起き得る抽出器具といえます。

それ故、前述のジョージ・ハウエルも使う豆の質に拘ったんですね。

コーヒーオイルも含めた、豆本来の(テロワールとも言える本質的な)風味、滑らかな口触り(マウスフィール)、ミルクとの更なる親和性、相性の良さ、色々楽しみが増えるフレンチプレスでの抽出は、いろどりこーひーをお楽しみ頂くのに一押しの淹れ方です。

 

いろどりこーひーは珈琲豆を通して、皆様の心豊かな生活に“彩り”をお届けします。

   バックナンバーは、コチラ

P.S.

過去のつぶやき『No.55_フレンチプレスでもう一つ先の風味まで!』にも関連の投稿があります。もし宜しかったら、ご参照下さい。

2024年9月3日火曜日

No.185_ケニア🇰🇪キリニャガのご紹介



この度、いろどりこーひーでは初お目見えのケニアの豆をご紹介させて頂きます。

いろどりこーひーで扱っている豆は、その材料となる生豆をバイヤー(世界の産地から買付ける)、インポーター(買い付けた生豆を輸入する)の方経由、仕入れています。

仕入れに先立ち、インポーターの方からサンプルクロップ(焙煎済みの少量のコーヒー豆)を提示頂いて、それをカッピング(謂わゆる味見)した上で、気に入ったものを購入(年間使用分予約)する仕組みです。

コーヒー豆は農作物ですから、一つの産地に限って言うと年に1回輸入され、その時期は毎年決まっています。一方、産地は北半球、南半球、多岐に渡りますので、全豆種という意味では輸入時期はそれぞれで、年中入れ替わり輸入されます。

サンプルクロップは、同じ産地、同じ農園の同じ品種であっても、前述の農産物という意味ではニュークロップ(コメで言う新米の様なものです)が輸入された時点でも都度、提示を受けます。

そして今回提示を受けたケニアの豆数種の中でも取り分け魅力的でこれは美味しい!と言うものに巡り合いましたので、日頃いろどりこーひーをご愛顧頂いているお客さまに是非お楽しみ頂きたいと、この度、購入を決めました。

そして幾度かの焙煎調整を経て、ベストなポイントが見つかりました。その風味のイメージは“濃いオレンジ色”です。コーヒーで濃いオレンジ色?ん?ですね...きっと(苦笑)

コーヒーの風味を表現する時、“フルーティ”なんて表現をすることがありますが、それを想起させるフルーツにも色々なものがあります、ピーチ、アプリコットなんて時もありますし、ラズベリー、ブルーベリーといったベリー系の時もあります。更にはフレッシュな柑橘系も。そして今回のケニアは濃いオレンジ...ジューシーな甘さが特徴の【ブラッドオレンジ】の印象です。その酸味は角がなく、濃厚、芳醇とさえ言えます。

もちろんコーヒーの風味は一つ(一言)では表現出来ませんが、このケニアのコーヒーを印象付ける心地よさは【甘さに包まれた濃いオレンジ感】です。

ここで産地情報も少しご紹介させて頂きます。

先ず『キリニャガ』というのは、ケニアの中の地名です。ケニア中央部にはケニア山(標高5,199m)がそびえ立っていますが、キリニャガはその南側の麓に位置する標高1,600m〜1,700mのエリアです。因みに原住民(キユク族)の間では、ケニア山のことを『神の山』の意味でキリニャガと呼ぶそうです。首都ナイロビから見ると北東20数kmのところに位置します。このエリアの土壌は火山灰性、赤色の肥沃な沖積土で、 前述の高地の気候(昼夜の寒暖差がしっかりある)も相まって、この上質、リッチな風味が育まれています。また、周辺の水源環境にも恵まれ、コーヒーノキの生育および、果実から種子を取り出す生豆精製作業もウォッシュド方式でクリーンに安定して営まれているとのことです。(今回の写真はバイヤーの方からご提供頂いた産地の写真〈脱殻前の種子を天日乾燥してるところ〉です。)

このケニア・キリニャガのコーヒー豆の【上質な甘さに包まれた角の無い優しいオレンジ感】を是非、お楽しみください。

 

いろどりこーひーは珈琲豆を通して、皆様の心豊かな生活に“彩り”をお届けします。

   バックナンバーは、コチラ