2024年12月17日火曜日

No.200_世は〆切


おかげさまで、この“店主のつぶやき”も開店以来、200回目を迎えることが出来ました。

本当に時々ではありますが、お客さまから「読んでますよ〜」と声を掛けて頂いたり、「この間書いてあった◯◯ですが...」と会話のきっかけになることもあり、そんな励みを頂きながら気が付けば200回となりました。

店を始めるのに先立ち「ちゃんとしたホームページ(HP)を作りたい」との思いがありましたので、その制作実務はプロの方にお願いしました。制作着手段階の打ち合わせでその構成、コンテンツの過半は僕自身の思いを伝えて始まりましたが、そのプロの方から強く勧められたのがこの“店主のつぶやき”のコーナーでした。「月一でも月二でも良いので、定期的に掲載を続けるとHPにアクティブ感が生まれ、お客さまとのコミュニケーションにも役立ちますよ」とのことでしたので、「わかりました。先ずはやってみます!」と、この掲載が始まりました。

書き始めるにあたって以前読んだ山本夏彦さんの『世は〆切』というコラムが思い出されました。

今回、今一度、その本を引っ張り出してきたので、以下、少し引用させて頂きます(斜体文字部分)。

『(前略)毎月また毎週〆切が追いかけて来て、その都度切り抜けているうち、いつしか10年、20年になったのである。「世は〆切」というよりほかはない。(中略)月間「室内」の連載「日常茶飯事」は410回、指折り数えると34年2ヶ月になる。私は無遅刻無欠勤を心がけて1回も休んでいない。滅多に出来ないことだと言われるが、なに心にそれと決めれば出来ないことではない。(中略)世は〆切というのは何も原稿のことばかりではない。浮世のことは全てそうだと言うつもりで紙幅が尽きた。賢明な読者はお察し下すったことと思う。』

そしてあとがきにもこんなことが書いてあります。

『私はこれまで〆切をかたく守ってきた。遅れると次の〆切が追いかけてきて、〆切が重なって困るのは私自身だからである。それは原稿のことだけではない。冷蔵庫の無かった昔は、魚屋は今朝仕入れた魚を売り尽くして、夕方は店のたたきに音を立てて水を流して、ゴシゴシ洗って無事一日を終わった。魚屋のあるじは後は枕を高くして寝るばかりである。誠に一日の苦労は一日で足れりである。明日のことは思い煩うなとは至言である。よって今回は「世は〆切」と題して自ら戒めた。』

読んだ時は、「いやはや痛快!」と思いました。

そしてその中にあった『滅多に出来ないことだと言われるが、なに心にそれと決めれば出来ないことではない。』を思い出しながら、この“店主のつぶやき”を書き始めたわけです。最初の年は不定期に(週一以上)掲載していましたが、次の年からは毎週火曜日に掲載しようと決めて現在に至ります。〆切がある生活に身を置くと言うのもなかなかいいものです。^ ^

 

いろどりこーひーは珈琲豆を通して、皆様の心豊かな生活に“彩り”をお届けします。

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