2025年7月29日火曜日

No.232_コーヒー産地エチオピア🇪🇹


前回のつぶやきでは『No.231_コーヒー産地コロンビア』を投稿しましたが、今回はエチオピアがそのテーマです

エチオピアで先ず触れなければならないのは“コーヒー(アラビカ種)発祥の地”ということです

正確な起源は定かではありませんが「カファ地方の山羊飼いカルディの伝説(*下欄に補足)」にもあるように、コーヒーはこの地で自然に自生していたものを、人々が飲み物として活用し始めたのが始まりだとされています(そして現在も自生しているコーヒーノキがあるそうです)

エチオピアのコーヒーノキが、栽培や収穫の目的で世界に広まり始めたのは1600年代頃から。そして、ブラジルにコーヒーノキが渡ったのは1700年代とのことです

“エチオピア”という国の観点で捉えると、エチオピアはアフリカ東部に位置し、国土は日本の約3倍、人口約1億3000万人です。10年前1億人を超えた人口は今や1.3億人に達し、且つ世界銀行のデータによればGDPも近年6〜7%台の成長率を続けており、人口も経済も成長し続けている国です。そして標高2,000m級の山岳地帯が広がるこの国は、気候的にも文化的にも非常にユニークな存在です

特に首都アジス・アベバ(標高2,350m)は、交通インフラの整備やIT分野の成長などが著しいようです。実際、いろどりこーひーの豆を輸入してくれているバイヤーの方に伺うと、「近年はアジス・アベバを訪れるたびに新しいビルが建設中で年々変化しており、まちはとても活気にあふれている」とのことでした。この首都の急速な都市化は、実はコーヒー産業とも密接に関係しています。たとえば物流や品質管理の仕組みが整備されつつあり、より良質な豆が安定的に輸出される基盤が築かれています。海に直接面していない、エチオピアは輸送網の整備もコーヒーの流通、そして国の発展に重要な役割を果たしているとのことです。このように都市の発展が、遠く離れた日本の私たちのカップにまで影響していると思うと、感慨深いものがあります

一方で、農村部では今も変わらぬ暮らしと伝統が息づいており、そのコントラストもまた、エチオピアの魅力といえるでしょう。エチオピアは、ブラジル、ベトナム、コロンビア、インドネシアに次ぐ世界第5位のコーヒー豆輸出国です。その上「コーヒーノキの生育、収穫、精製に関わる生産システムは年々バージョンアップ、工夫が凝らされている」(前述のバイヤーさん談)そうで、それは仕入れた生豆を焙煎、カッピングしていてもそのクリアーさ、フレッシュさ、美味しさの観点でなる程!と思わせてくれます

現在、いろどりこーひーではエチオピアの豆を2種類扱っています

ゲデブ ナチュラル

こちらはイルガチェフ地方のゲデブ地区で収穫された豆をナチュラル精製したもので『完熟フルーツの豊かな甘さ。アプリコット、ピーチの余韻』が魅力のコーヒーです

モカ ハマ

こちらは同じくイルガチェフ地方ですが、コチャレ地区ハマエリアで収穫された豆をウォッシュド精製したもので、『華やかなフローラル感、エレガントな飲み口』で、まるで紅茶のアールグレイを思わせるようなエレガントな余韻が魅力のコーヒーです

共通しているのは、原種を起源とする華やかな香りと明るい酸で、この綺麗な酸の個性が様々なフルーティさを演出し、なんとも明るく華やかな気分にさせてくれるコーヒーです。そしてこのコーヒーの“ふるさと”から届く一杯は、ただ美味しいだけでなく、どこか敬意すら感じさせてくれる風味です

そんなエチオピアのコーヒーと共に、どうぞ贅沢なひと時をお過ごしください^^

 

いろどりこーひーは珈琲豆を通して、皆様の心豊かな暮らしに“彩り”をお届けします

   バックナンバーは、コチラ■ 

 

*「カファ地方の山羊飼いカルディの伝説」の補足

この伝説が語られるようになったのは、13世紀頃から15世紀頃とされています

ただしこれは“コーヒーが飲み物として人々に知られ始めた時代”を指すもので、カルディという人物自体が歴史上実在したかどうかは定かではなく、口承による寓話的なものと考えられています

舞台は現在のエチオピア南西部にあるカファ地方(Kaffa)。この地名が、のちの「コーヒー(Coffee)」という言葉の語源になったとも言われています

『ある日、山羊飼いの少年カルディは、自分の飼っている山羊たちが普段より元気に跳ね回っていることに気づきました。「どうしたんだろう?こんなに興奮してるなんて…」よく見ると、山羊たちはある赤い実のなる木の葉や実を夢中で食べていました。その後も山羊たちは、夜になっても眠らず、元気よく動き回り続けたそうです。不思議に思ったカルディは、その赤い実を少し持ち帰り、近くの修道士に見せました。修道士は最初その実を怪しみましたが、試しに実を煮出して飲んでみたところ――なんと、眠気が吹き飛び、精神が冴え渡るような感覚に包まれたのです。それからというもの、この実は修道士たちの間で重宝されるようになりました。夜通し祈りを捧げる修道生活において、この覚醒作用のある飲み物は、非常にありがたいものだったのです。こうしてコーヒーは、修道院から人々の間へと広がっていった…』

というのがこの伝説のあらましです

2025年7月22日火曜日

No.231_コーヒー産地コロンビア🇨🇴


店でお客さまと会話する中で、一番多い話題はコーヒーそれぞれの「風味の特徴」についてですが、時には産地の話にまで広がることもあります。その産地というのは生育している場所の場合もありますし、国の場合もあります

そこで今回のテーマはいろどりこーひーが開店以来ずっと扱っているコロンビアについて、その国、産地についてのお話をさせていただこうかと思います

まずコロンビアですが南米の国であることはご存知ですね。ただ、その位置となるとなかなかピンとこないでしょうか?今回の写真にも掲載しましたが、コロンビアは南米の中では最北に位置します。とはいえそこは赤道直下、国土は日本のおよそ3倍、人口は約5,270万人です

ところでコーヒーの栽培地は、地球の“コーヒーベルト”と呼ばれる南北緯25度以内の高地に分布しています。赤道直下にあるコロンビアは、より高地の標高1,200〜2,200mの山岳地帯に農園があり、平均気温は年間を通して17〜23℃、且つ昼夜の寒暖差が大きく、アラビカ種コーヒーの栽培には最適です

地勢(地形)的な観点では、コロンビアは南米を縦に貫くアンデス山脈の北端に位置し、且つこのアンデス山脈が3本の嶺に別れていることも、地域ごとに様々な気候特性、土壌特性を持つことにつながり、これが多様な風味のコーヒー生豆を生産することを可能にしています

また、赤道直下に位置するという地理的特徴から、コロンビアでは年2回の収穫が可能です。(これは赤道直下にあることで季節の移り変わりが穏やかで、花が咲く時期が地域によって少しずつずれることによります

主な収穫期の豆は「メインクロップ」と呼ばれ、概ね10〜12月頃に収穫されます。そしてもう一方の副収穫期の豆は、ミタカ(Mitaka)クロップと呼ばれ(またはフライクロップ、サブクロップとも呼ばれます)、4〜6月頃収穫されます

コーヒー輸出国の観点で眺めるとコロンビアは世界第3位の輸出国です(1位ブラジル、2位ベトナム)。それをアラビカ種コーヒーに限るとなんと世界第1位です

因みにいろどりこーひーで扱っているコロンビアのコーヒーは「ナリーニョ」という地域産で、コロンビアの南部、エクアドル国境近くの火山地帯(有機物を多く含む肥沃な土地)で、標高は1,800〜2,200mとコロンビア内でも更に高地のエリアです。高地であるがゆえにチェリーはゆっくりと熟し、その間に甘みと質のよいフレッシュな酸がじっくりと育まれます

また、高地(山岳地帯)なので農家は小規模で、完熟実を丁寧に手摘みで収穫しています

そしていろどりこーひーのコロンビアはその風味を「トロピカルなフルーツ感を包み込む深いコク」と紹介しています。この“トロピカルなフルーツ感”は前述の「高地産で甘さと質の良いフレッシュな酸が熟成され」に起因します。また、「高密度で固い種子が出来」ゆえ、高温までの深い焙煎に耐え、そのロースト感が丸みのあるビター感を生み、そしてトロピカル感とバランスする...そんなスペシャルな美味しさを生み出しています

これら生産国や産地の話しはコーヒーを飲む上で、必ずしも知る必要はありませんが、一方で頭の片隅に少しでも描ける世界があると、いつもの一杯から物語を感じ取られるようになり、不思議と心がほっこりと豊かになるものです

というわけで、これから他の国についてもこの“つぶやき”でご紹介させて頂ければと思います

 

いろどりこーひーは珈琲豆を通して、皆様の心豊かな暮らしに“彩り”をお届けします

   バックナンバーは、コチラ■ 

2025年7月15日火曜日

No.230_コーヒーの香りに誘われて


コーヒーの香りと聞いて、どんなこと、どんな情景が思い浮かびますか?

一言、「コーヒーの香り」と言っても、豆袋を開けた時の香り、豆から粉に挽く時の香り、カップから立ち上がる香り、口に含んだ時、そこから鼻に抜ける香り等々いろいろありますね

他にも(お客さまはあまり触れる機会はないと思いますが)、焙煎していてもフェーズ毎に香りは変わりますし、また、焙煎したての豆の香りはえも言われぬイイ香りがします

コーヒーの魅力はいろいろありますが、その入口はいつも“香り”だなぁと思うのです

「香りって、不思議ですよね!」

お客さまとの何気ない会話で、そんな話題になったことがありました

「コーヒーの香りがすると、なぜかホッとするんです」

そう話されたお客さまは、少し微笑みながら、続けてこうおっしゃいました

「特に朝、豆を挽いた瞬間にふわっと立ち上るあの香り、そしてそれが部屋中に広がって...“あ、今日も一日が始まるな”って思えるんです!」と

世の中いろいろな食べ物があり、それぞれにいろいろな香りがありますね。そして、調理中の「美味しそうな香り」というのもイイですね

逆に“香り”から入っていくと、食べ物以外にも世の中、香りに溢れています。例えば歩いていて、フッと金木犀(キンモクセイ)の香りが飛び込んでくると僕はいつも「おっ!金木犀の香りだ!どこどこ!」と、つい探してしまいます。そうして秋の訪れを感じたり...

そういう意味ではイイ香り、好きな香り、素敵な香り、美味しそうな香りは、それぞれが、それぞれの時間を、やさしく包み込んでくれます

そしてコーヒーにはそれらの感覚に加えて時として更に、活力が湧く、ホッとする、癒される、心がほぐれる、リラックスできる...そんな思いまで抱かせてくれます。コーヒー以外の香りでこれだけ多種多様な心地よい気持ちにさせてくれるものはそうそうないんじゃないかと思ってしまうのですが...

だからこそ、いろどりこーひーでは“香り”をとても大切にしています

実は「香りの良いコーヒー豆を作る」というのは、良い素材を使って、ちゃんと焙煎して「雑味の無いクリーンなコーヒー豆を作る」と同義なところがあります

こうしてコーヒー豆が、お客さまの“香り体験”、“香りの記憶の一部”になってくれたなら――僕にとってこの上ない喜びです

そんなことを願いながら、今日も焙煎しています

 

いろどりこーひーは珈琲豆を通して、皆様の心豊かな暮らしに“彩り”をお届けします

   バックナンバーは、コチラ■ 

2025年7月8日火曜日

No.229_嗜好品としてのコーヒー 〜日々の暮らしに、ほんの少しの“ゆとり”を〜


「コーヒーって、なくても生きていける。でも、あるとちょっと豊かになれる」そんな言葉を、お客さまとの会話のなかでふと思ったことがあります

ある日、お店で豆を選んでくださっていたお客さまが、ふとこんなことを話してくださいました

「朝起きて、身支度しながら、慌ただしくコーヒーを淹れてるんですが、それでもコーヒーの香りが立つと、不思議と『今日も一日が始まるなぁ』ってスイッチが入るんです」と

その何気ない一言に、僕自身の毎朝の感覚とぴったり重なって、思わずうなずいてしまいました

コーヒーは「嗜好品」と言われます。必ずしも“必要”ではないけれど、“好きだから”、“楽しみたいから”という気持ちで選ばれるもの...ちょっとした“ゆとり”や、“気持ちの切り替え”をもたらしてくれるもの、あると心が整うもの...

日々の暮らしのなかで、どんな風にコーヒーがあるのかーー

それは人によって様々ですが、きっと共通しているのは、「ちょっと立ち止まる時間」のそばにあるということなんじゃないかな...と感じるところがあります

前述のお客さまのように、朝の目覚め、一日の始まりの活力に一杯

あるいは家事や仕事の合間のひと息、一杯

ときには誰かと一緒に、何気ない会話とともに...

そんな“ひととき”を、ちょっぴり豊かにしてくれるのがコーヒーの魅力だと思います

コーヒーを「嗜好品」として捉えたとき、僕が大事にしたいのは、お客さまそれぞれのスタイルに合わせた“自由な楽しみ方”です

淹れ方も自由、楽しみ方も自由(香りを愉しむのもいいし、深く味わいを探求するのもいい)、正解も不正解もなく、自分なりの“好き”に委ねて...それこそが嗜好品としてのコーヒーのいいところだと思っています

いろどりこーひーの珈琲豆がお客さまのそのような“コーヒー時間”にそっと寄り添えたら...そんなことをいつも願っています


いろどりこーひーは珈琲豆を通して、皆様の心豊かな暮らしに“彩り”をお届けします

   バックナンバーは、コチラ■ 

2025年7月1日火曜日

No.228_いろどりこーひーは珈琲豆を通して、皆様の心豊かな暮らしに“彩り”をお届けします


『いろどりこーひーは珈琲豆を通して、皆様の心豊かな暮らしに“彩り”をお届けします』

いろどりこーひーがお届けしたいもの...

それをこの言葉に込めています

いつもはこの“店主のつぶやき”の最後の締めに記載しているこの文書ですが、これが今回のテーマです

この“店主のつぶやき”...ありがたいことに継続的に読んでくださっている方が何人かいらっしゃるようで、お店でも時々、お客さまから「この間、書いてあった◯◯ですが...」と会話のキッカケにもなることもあります

そんななか「締めのあの文書、いいですねぇ!今度、それをネタにしたつぶやき書いて下さいよ〜」なんてホッコリするお話も頂いたものですから、すっかりその気になり、今回はその題材で書き始めた次第です(苦笑)

いろどりこーひーがお届けしたいもの...それは単にコーヒー豆という“モノ”ではなくて、お客さまのコーヒーのある“暮らし”とでも言いましょうか

ところでこの店主のつぶやきで、たびたび登場する“お客さま”の言葉ですが、これは“世の中でコーヒーを飲むひと”...ではなくて、“いろどりこーひーのコーヒーを飲んでくださっているお客さま”を思い浮かべた言葉です

そのお客さまのコーヒーのある“暮らし”です

さらに暮らしのイメージですが、一人の方をとってもシチュエーションによって多岐に亘るとは思いますが、穏やかな、リラックスした、それでいて活力に満ちた、豊かな、丁寧な...そんな暮らしです。そこにいろどりこーひーのコーヒーが寄り添っている...何とも幸せな“彩り”に満ちた暮らしです

この彩りに満ちた暮らしに更なる彩りをお届けしたい...これがまさに店名を“いろどりこーひー”とした所以です

そうしたお役に立てるためには、先ずは①美味しいこと、次に②お手軽なことを大切にしたいと思っています

①美味しいこと

美味しさの追求、探究は、このつぶやきの中でも幾度となく書いてきました。これは自家焙煎豆屋としての当然のせきむで、その探究は尽きることがありません

②お手軽なこと

これにはいくつもの要素がありますが、そのすべてが大切だと思っています

・雑味のない美味しい豆がご提供できれば、(雑味を抑えるための)淹れ方の工夫は不要となり、お手軽につながると思っています

・お店でも、ネットでもお買い求めの過程が分かりやすく、応対もスムーズでストレスフリーになれば、これまたお手軽につながります

・また、適正な価格であること、この美味しさでこの価格ならお手頃...これもお手軽と感じて頂けるための重要な要素だと思っています

上記①、②をお客さまとのやりとりを通して、深め、創造して行けるというのは、僕にとっても大変やり甲斐があり、楽しく、幸せなことなのです

 

これまでも、そしてこれからも――

いろどりこーひーは珈琲豆を通して、皆様の心豊かな暮らしに“彩り”をお届けします

   バックナンバーは、コチラ■