前回の「No.250_焙煎と排気」に続き、今回も焙煎論みたいな話で恐縮ですが、よろしかったらお付き合いください^^;
先ず、焙煎のキモとして、コーヒー豆を一粒のサイズで捉えた時、表層も中央部も「均質に焼かれていること」がとても大切なこととなります
表層に熱が加わり過ぎて豆の表面が少しでも焦げようなら、それで淹れたコーヒーは焦げ感の苦味を味わうことになります
逆に豆中心部がしっかり焼けていない時は、エグ味といったネガティブな風味を味わうことになります
焙煎のプロセスは、大まかに前半の①水分抜きフェーズ、中盤の②デベロップフェーズ、後半の③ローストフェーズと進みます
突飛な例えですが、ハンバーグだと表層がしっかり焼けていて、ナイフを入れると肉汁、ジュワーっと!はサイコーですね!しかし、コーヒー豆の場合、これに近い状態は風味にダメージを与えます
①水分抜きフェーズを少し補足します
先ず、焙煎前の生豆ですが、こちらには10%前後の水分が含まれています。これを水分抜きフェーズで、豆の表層から中心部まで均等に水分が抜けた状態に持っていく必要があります
(出来れば前回のつぶやきNo.250_焙煎と排気も並行してご覧頂きたいのですが、)このフェーズで排気過多、火力過多になると豆の表層だけが、カリッと水分が抜けて、中心部にほんの少し水分が残ることがあります(前述のジューシーハンバーグの様に)。この状態で②デベロップフェーズに突入してしまうと、豆全体で均等な化学変化が起きず、その豆で淹れたコーヒーは、明るさが欠け、重く濁った印象の風味になってしまいます。(これを「ウォータリーな味」と表現します)
この水分抜きフェーズで、強過ぎず弱過ぎずの風速で、強過ぎず弱過ぎずの火力で優しくカロリーを与え続けると、豆の表層から中心部まで均等に熱が伝わり続け、均等に水分が抜けていきます。つまり水分抜きと言いながら、豆が持っている水分を利用して、中心部まで熱を伝えることで均等な水分抜きが出来るのです。(表層だけ先にカリッとなるとそこの熱伝導率が下がり、中心部へ適正に熱が入らず、水分が抜けきらないことが起きます)
②デベロップフェーズを少し補足します
このフェーズは豆成分の化学変化が起きるフェーズです。焙煎の過程で疎かにできるフェーズはありませんが、豆の味が決定づけられると言う意味ではこのフェーズが一番キモかもしれません。この化学変化には大きなエネルギーを必要としますので、焙煎中は前後の火力より強い火力を与え、化学変化を促進させます。
最後に③ローストフェーズです
このフェーズも①フェーズより強い火力を与えます。この火力は、豆種毎に適正な火力が異なり、大雑把にいうと硬い豆は高め、軟い豆は低めの火力で追い込みます。「追い込みます」と、思わず表現しましたが、各豆毎に1℃単位で定めた窯出し温度(煎り止め温度)がありますので、そのタイミングの直前は窯の蓋を開けるレバーに手をかけながら、窯内温度を示すデジタル温度計を凝視し、今だ!というタイミングで蓋をグッと開け、豆がザーッと桶状の冷却器に放出します
以上、各フェーズごとに表層やけを気にしながら焙煎している様子を紹介させていただきました。表層やけは一旦それが起きてしまうと、その後の取り返しは効かず、全て出来上がる豆のネガティブな風味に結びついてしまいます
それだけに焙煎中はいっときも気が抜けない真剣勝負の時間です
そして今日も美味しい一杯のために、窯の前で向き合っています
いろどりこーひーは珈琲豆を通して、皆様の心豊かな暮らしに“彩り”をお届けします
