2024年8月27日火曜日

No.184_信頼できる相棒のPROBAT


いろどりこーひーで安定した焙煎が出来るのも“信頼できる相棒”のPROBATが居るおかげです。『居る』なんて表現しましたが、ホントそんな感じに思っています。

本日の写真は、その焙煎機を前の方から撮影したものですが、どこか愛嬌のある表情をしていると思いませんか?(笑)

いろどりこーひーで使用している焙煎機はドイツ製のPROBAT(プロバット)です。ドイツは昔から自動車を始め、優れた様々な工業製品を世に出している国ですが、焙煎機もそんな伝統を汲んでいるのでは...と思ってしまいます。

この焙煎機は1回に5kgの豆をヤクことが出来ます。(因みにこの5kgと言うのは、投入する生豆の重量で、焙煎を経て出来上がるコーヒー豆はその間の乾燥もあり、約80%(約4kg)になります。)

焙煎の基本は先ずは、【毎回『同じ進行』で『同じ味』のコーヒー豆を作ること】です。これはきっと、ラーメン屋さんでもカレー屋さんでも同じなのでは?と思っています...食品作りの基本ですね。その基本が達成されて初めて『更に美味しいものを!』と言う取り組みが可能になるわけです。

焙煎の流れは、過去のつぶやきでも何度かご紹介させて頂きましたが、上昇し続ける窯内温度の経過時間をコントロールすることで進めていきます。その間、煎り止めする200数十℃まで10℃毎に定めた目標通過タイムがあります。そしてその目標通過タイムを仮にピッタリ通過した場合、次のプラス10℃までのガス圧(火力)は、幾つにしようと定めた設定値があるので、火力は10℃毎調整します。

一方で実施タイム(進捗)は、目標経過タイムに対し微妙にブレるので、10℃毎の火力調整のタイミングで設定ガス圧よりほんの0.1メモリ高くしたり、低くしたりで、修正を掛けていきます。

温度フェーズで多少の違いはありますが、例えば、ガス圧を+0.1メモリ修正(火力を上げる)を掛けると、次の+10℃までの経過時間を3秒縮める効果があります。逆に-0.2メモリの修正(火力を下げる)は、次の経過時間を+6秒遅らせる効果があると言うように、非常に微妙な調整が効くのがこのPROBATの信頼性の高さです。

この微妙な調整が効くのもこのPROBATが約350kgの重量を持ち、窯周りが重たい鋳物(鉄)で覆われて、蓄熱性に優れていること、そして纏まった豆量をヤイテいることも関係していると感じています。

何れにしてもホント、信頼出来る、頼りになる相棒です。

 

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2024年8月20日火曜日

No.183_コーヒーを淹れる時の水と粉の量


店ではお客さまからいろいろなご質問を頂くことがあるのですが、『水と粉の量はどんな割合で淹れるのがおすすめですか?』と言うご質問が、正直一番ご回答に苦慮してしまいます...(^^;

最終的には、『お客様のお好みです』となってしまうのですが、こう即答したのでは、身も蓋もない、にべもない...もっと言うと不親切な回答になってしまうので、『水200ccに粉は10〜12g程度がおすすめとなりますが、淹れる量、粉の細かさ、注ぐ湯温によっても濃さ、風味は変わって来ますし、お客さまそれぞれのお好みも違うので、正直申し上げると最終的には“お客さまのお好みで”となってしまうんです...』と少々、歯切れの悪い回答になってしまいます。

するとお客様は『そりゃそうですよね〜』と笑ってお応え頂くことが多いですが、お時間が許すようでしたら続けて、『とは言え、お客様にとって“これが好みの割合”と見つけて頂くのはとても大切なことですし、コーヒーをお楽しみ頂く上で素晴らしいことですので、是非ご自身のお好みの水の量と粉の量の目安を見つけて頂いて、毎回同じように淹れて頂くと宜しいかと思います。』と、お伝えしています。

水の量、粉の量は必ずしもスケールで何グラムと量る必要はないので、水は“デキャンタのこのメモリ”とか、粉の量は“計量スプーンでこのくらいの盛りで何杯”のような感じで十分かと思います。

それを見つけ出す過程での些細な目安ですが、

 ①水200ccに対し、粉10〜12g程度から始めてみる

 ②水量2倍で粉量2倍にすると少しだけ濃いめになるので、淹れる量一定で粉量を定められると、より良いと思います。

 ③注ぐ湯温は熱い方が濃く出るので、熱い方が粉少なめ、湯温が低くなると粉多めになります。

 ④粉への挽き方は、細かい方が濃いめに出るので粉少なめ、粗めは粉多めになります。

関連の話題として、No.181で『粉の挽き目と注ぐ湯温の関係』に触れましたので、宜しかったらそちらも参考にされてください。

ぜひ是非、皆さま自身のお好みの水量、粉量の割合を見つけて、素敵なコーヒーライフをお楽しみください。

 

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2024年8月13日火曜日

No.182_焙煎前半の水分抜きの大切さ


今回は焙煎論みたいな少々お堅い、そしてイメージし辛いお話ですが、宜しかったらお付き合いください...

焙煎は焙煎機の窯(回転するドラム)に生豆を投入して、20数分のヤキを経て、煎り止め(窯から放出)に至ります。

20数分のヤキの間には、緩やかにフェーズ(段階、局面)が有って、前半が今回のテーマでもある『①生豆の水分抜き』のフェーズです。その後、『②デベロップ(豆の組織に化学変化が進む段階で焙焦反応とも言います)』のフェーズ。そして終盤、ヤキを深める『③ロースト』のフェーズへと進みます。

焙煎前の生豆は凡そ10〜12%程度の水分を含んでいます。焙煎により、その水分が減少していくのですが、その様子を1粒の豆に着眼してみると...

焙煎の加熱により豆の表層が先ず温度上昇していきます、豆の熱伝導率は金属に比べて数千分の一とのことですが、豆中心部の温度も表層の後を追うように上がっていきます。

①水分抜けもこの温度上昇に追随して豆の表層から抜けていき、中心部の水分も表層側に吸い寄せられるように抜けていきます。

前述の通り、②デベロップのフェーズは、豆の組織に様々な化学変化が起きてコーヒーらしい風味が出来上がる重要なフェーズですが、それを迎えるタイミング(窯内温度170〜180℃辺り)の「豆の状態」が、これまた、とっても重要です。

その「豆の状態」で最も重要なのが、「水分抜きの程度」なのです。

デベロップ前の豆は、「豆の表層も芯部も均質に、乾いた状態である必要があります。(一方、水分0%の枯れた状態もいけないという微妙なもので、実際、焙煎後のコーヒー豆には1%程度の水分が含まれています。)

この状態をイメージして頂くためにも、逆にダメな状態をいくつか紹介しますと...豆の表面だけ乾いていて、豆の芯部に多めの水分が残っている状態/豆の芯まで乾燥させようとするあまり表面焦げが始まっている状態などです。

水分抜きが甘いと極端な場合、エグ味を招きますし、軽度でも重たい風味になる、明るさに欠ける、マウスフィール(口触り)が劣るなど、ネガティブな風味を招いてしまいます。逆に抜き過ぎてカリカリに枯れた状態や表層焦げ兆候に至ると、適正な化学変化は起きず、結果、コーヒー本来の美味しさも創り出されず、飲み口、後味も悪いコーヒーになってしまいます。

少しだけ化学的な補足をすると、生豆中の成分でクロロゲン酸というものがあるのですが、適正な水分抜き下で化学変化を起こすと、クロロゲン酸ラクトンに変質して、コーヒーらしい香気成分が作られます。一方、水分抜きが不十分な状況下で化学変化を起こすと、これが加水分解を起こして、カフェー酸、キナ酸に分かれ、前述のネガティブな風味を作ってしまうのです。

焙煎ではどのフェーズも疎かに出来るフェーズはありませんが、今回は前半の水抜きフェーズの大切さをご紹介させて頂きました。

 

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P.S. 

上記で【ヤキ】とカタカナ表示している理由ですが...一般的にヤキというと【焼き】と言う漢字を当てると思います。ただ、焙煎におけるヤキは前述の通り、単に「火で焼いている」訳ではなくて、そのフェーズ、フェーズに応じた変化を促すため「カロリーを与えている」との思いがあるものですから、【焼き】と言う漢字表記がどうもしっくり来なく、カタカナ表記させて頂いた次第です。可能であれば、焙煎の焙の字を使って【焙き(ヤキ)】とでも表記出来ると良いのですが...

2024年8月6日火曜日

No.181_粉の挽き目と注ぐ湯温の関係


いろどりこーひーでは粉の挽き目は“細かめ”、注ぐお湯は沸騰したての“熱いお湯”をお勧めしています。(ハンドドリップ、フレンチプレス等共通。湯温調節機能があるコーヒーメーカーは高温を選択ください。無ければ『挽き目細かめ』だけで結構です。)

一方で『細かめってどの程度ですか?』と言うご質問も頂くので、店では『このくらいです』とご提示出来る、挽いた粉サンプルも用意しています。ご希望頂ければチャック付きの小さなポリ袋で挽き目サンプルをお渡ししています。

■ここで挽き目、①細かめと②粗めの関係ですが、

 ・同じ粉量でも、風味は、①は濃いめ(しっかりめ)に出る、②は薄め(あっさりめ)に出る

 ・同じ濃さのコーヒーを作るには、①は粉量少なめOK、②は粉量多め必要

■次に注ぐお湯の温度との関係ですが、A.沸騰したての熱いお湯、B.85℃〜90℃程度のお湯を比較すると、

 ・同じ粉量でも、風味は、A.は濃いめ (しっかりめ)に出る、B.は薄め (あっさりめ)に出る

 ・同じ濃さのコーヒーを作るには、A.は粉量少なめOK、B.は粉量多め必要

ここまで、粉の挽き目や注ぐ湯温が、『風味の濃さ』に与える影響についてのお話でしたが、飲む立場からすると、その上でどうしたら『より美味しくなるだろう』というところが一番の問題(肝心なところ)ですね。

これは、『使う豆に依る』となるのですが、これでは応えになっていませんね...この曖昧さがきっと淹れる方、飲む方が迷っているところ、苦労しているところなのではないかと思慮しています。

ここで『使う豆に依る』と言った意味は、産地や銘柄の話ではなくて、(抽象的な表現ですが )『良い豆」か『宜しくない豆』かという意味です。

『良い豆』とは、クリーンで雑味の無い豆、『宜しくない豆』とは、雑味の有る豆と言い換えられます。

『良い豆』は、その持っている風味を余すところなく抽出すると、より美味しさが楽しめますので、前述の①細かめ×A.高温】の淹れ方をお勧めします。

方や『宜しくない豆』は、【①細かめ×A.高温】で淹れると、その雑味まで全て出てしまうので、その制御を考えた【②粗目×B.低温】となるのですが、それにより雑味は抑えられますが、同時に風味も抑えられてしまうので、どこか折り合いの良い挽き目、そして折り合いの良い注ぐ湯温の組み合わせを試行して、味を確認しながら、見極めて行くことになります。

でも...

これは大変だし、面倒ですね。これはバリスタにお任せした方が良さそうです...

ところで、バリスタですが、『バリスタ=コーヒーを美味しく淹れられる人(味覚のプロ)』です。例えばある豆を使って淹れるとした時、カッピング(ワインで言うテイスティング)で、前述の『良い豆』〜『宜しく無い豆』の程度、風味を自身の味覚で見極め、その豆で一番美味しく頂ける最適な粉の挽き目、最適な湯温を見出せる人です。豆の質に応じて最適な淹れ方と言うものは変わるのです。使う豆の質を把握せずに、『これが美味しい淹れ方です』と画一的にやるとしたら、それはパフォーマンスでしかありません。

バリスタはそれくらいシビアな、味覚のプロの世界ですから、ご家庭で飲むコーヒーは、その様な世界に踏み込まなくても、【①細かめ×A.高温】で『お手軽に最高の風味が楽しめる豆をご提供したい!』と言うのが、いろどりこーひーが目指している世界です。そのため、『良質な素材(生豆)を厳選、使用すること』、『最適な焙煎をすること』を何よりも大切にしています。

 

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