2025年1月7日火曜日

No.203_辻井伸行さんの音色(ねいろ)の様なコーヒー豆をお届けしたい


2025年が明けました。本年もどうぞよろしくお願いします。

年が明けるというのは色々気持ちも新たになるものですが、“思い”としてはそう変わるものではないですね...『お客さまに必要とされる店になりたい』、開店当初掲げた“思い”は今もそのままです。そして今まで同様『ありがたいなぁ』の思いに包まれた1年を過ごして行けたら、今年も素敵な1年になりそうです。

そんな中、今回の唐突なテーマ『辻井伸行さんの音色(ねいろ)の様なコーヒー豆をお届けしたい』ですが...

実は先月、辻井伸行さんのソロリサイタルを紀尾井町ホールで拝聴してきました。

辻井さんのソロ演奏を鑑賞したのはこれで2回目になりますが、辻井さんが織りなす音色(ねいろ)は本当に綺麗で、澄み切って、優しくて大好きです。

今回のメイン演目は、ベートーヴェンのピアノソナタ第29番、通称『ハンマークラヴィーア』です。

辻井さんは昨年4月ドイツ・グラモフォン社とアルバム制作に関わる専属契約を結びました。グラモフォン社は、125年の歴史を持つ世界最古のクラシック音楽のレコードレーベルです。そして昨年11月29日に全世界同時に発売された辻井さんのグラモフォン デビューアルバムに収録されたのがこのハンマークラヴィーアです。このハンマークラヴィーアは辻井さんが2009年ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールで優勝した際、セミファイナルで演奏したことでも知られます。(その映像がYouTubeにありました)

当日はこのハンマークラヴィーア演奏の前段にドビュッシー、プロコフィエフの曲の演奏もありましたが、ドビュッシーの曲の演奏中に一時演奏が中断され、辻井さんが立ち上がり、場内に向けお話しされる出来事がありました。

(一言一句は異なるとは思いますが主旨としては...)『先ほど演奏中に弦が1本切れてしまいまして...僕もこのままでは集中して演奏できないものですから、調律師の方に直して頂こうかと思います。大変申し訳ありませんが、少々お待ちください』といった説明でした。

そして辻井さんは一旦ステージを離れ、調律師の方が一人、弦と調律の道具を持って登場し、(言葉は不適切かもしれませんが)衆人環視の様相で観客全員が固唾を飲んで見守る中、修復が進みました。そうして15分間くらい経ったでしょうか、調律師の方が作業を終えてステージの裾に引き上げる際は、思わず場内の全員が拍手を送りましたが、調律師さんもあの様な拍手喝采を浴びるのはなかなか無い経験だったのではないでしょうか...(苦笑)

そして再び辻井さんが登場。演奏再開に先立って『みなさま大変お待たせしました。僕もびっくりしましたが、これも生の醍醐味ということで、これからの演奏もお楽しみください』と挨拶があり、場内割れんばかりの拍手に包まれました。思いがけないハプニングでしたが、辻井さんの肉声も聞け、むしろ貴重な体験をさせてもらいました。ピアノは弾く(ひく)と書きますが、弾く(はじく)とも読めるこの字を使うのに改めて合点がいった次第です...

辻井さんの演奏は、速弾きの超絶テクニックの場面でも、激しいとか荒々しいといった形容は似つかわしくなく、あくまでも音色の綺麗さが心を揺さぶってくれる、そんなすごい迫力が押し寄せます。

リサイタルの日がクリスマス前だったということもあり、アンコールでは坂本龍一さんの戦場のメリークリスマスを演ってくれましたが、ピアノってこんな澄み切った音が出るものかと、思わずグッときてしまいました。

そして全ての演奏が終わった時、なんとも言えない幸せな気持ちに包まれました。

それと同時に辻井さんの奏でる音色(ねいろ)、演奏を形容するにふさわしい『綺麗な、澄み切った、優しい、幸せな気持ちになる...』そんなコーヒーをお客さまにご提供出来たら、そしてお客さまがそう感じてくれたら、なんて素晴らしいことだろう...職業柄、そんな思いがフッと浮かんでしまいました。😅

と言うわけで、そんな思いを胸に、2025年がスタートしました。

本年もどうぞよろしくお願いします。


いろどりこーひーは珈琲豆を通して、皆様の心豊かな生活に“彩り”をお届けします。

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