焙煎は生豆(ナママメ)を窯の中に投入して20数分間でヤキ上がります
大雑把に言うと前半の水分抜き、中盤のデベロップ(化学変化)、後半のロースト(ヤキ深め)の流れで進みますが、出来上がりの豆をより美味しくするため、この間「変化し続ける豆の状態を全て把握したい!」そう思いながら、かれこれ4年間、ずーっと豆をヤキ続けています
今回の写真は焙煎機の前面に取り付いているサンプルスプーンと呼ばれるものですが、そのスプーンは通常、直径3cm程の穴に伏せた状態で差し込まれています。焙煎中、そのスプーンを上下180°回転させて引き抜くことで、焙煎途中の豆を目視したり、香りの変化を確認することが出来ます。(焙煎中は窯内の円筒状のドラムが回転し続けているので、サンプルスプーンを上向きすることで空中の豆がキャッチ出来る仕組みです)
ただ、これをしても「こんな色に変化してきたか... 」、「香りが変化してきたな... 」と感じるだけのことなので、それを以てタイムリーな焙煎コントロールを行うのは不可能だと思っています。僕の場合は新素材をヤクときのみ、補助的に確認しますが、日常的には使用しません
欲を言えば、ヤキ進む豆の表面温度は?中心温度は?表層の水分量は?中心部の水分量は?... それら刻々と変化し続ける状態(≒数値)を継続的に把握し続けたいのですが、現実には不可能です
と言うのも焙煎は「この色にヤキあげれば、この味になる」と言ったシンプルなものでは無いからです。焙煎中、それぞれのフェーズで過不足無くカロリーコントロールして行かなくては、デベロップ(化学変化)も不完全となり、決して美味しい豆にはなりません
そこで僕は窯内温度→≒豆の表面温度→≒豆の状態と解釈して(⭐️下欄補足)、生豆投入からヤキ上がりまでの経過タイムと窯内温度の関係を管理することが、「豆の今を知る」上での最善な方法との考えに至りました
とお伝えしても、もしかしたら「ん?だんだん話が見えなくなってきたぞ?」でしょうか...(苦笑)
とにもかくにも仮説検証とカッピング(≒味見)の繰り返しが美味しい豆作りへの道と心得、ひたすらそれを探求する毎日を送っています(^^)
いろどりこーひーは珈琲豆を通して、皆様の心豊かな生活に“彩り”をお届けします。
⭐️の補足...窯の中には金属の棒状の温度感知器が設置されていて、そこで感知した温度は手元のデジタル温度計で0.1℃単位で逐次把握出来る仕組みになっています。焙煎中は回転するドラム内でバラバラ舞っている豆がこの金属棒にカチカチ当たり続けていて、この接触熱も拾う(感知する)ので、近似値的にこの温度を豆の表面温度と解釈して焙煎コントロールに利用しています