2025年8月26日火曜日

No.236_お店ではコーヒー生豆の麻袋を無料で差し上げています


お店ではご希望されるお客さまに、コーヒー生豆の麻袋を無料で差し上げています。この麻袋ですがコーヒー業界では、「アサブクロ」ではなく、「マタイ」と呼んでいます

レジ台の横には、その旨及び「お声がけください(^^)/」と掲示してありますので、時々、お客さまからお声掛け頂き、お好みのものをお持ち帰り頂いています

そもそも麻袋ですが、各国の「産地から輸入される生豆を入れる袋」ですので、とっても頑丈、強固な作りになっています。産地にもよりますが、30kg〜70kgのサイズで出荷されます(いろどりこーひーで扱っているものは殆ど30kgサイズです)

因みに麻袋の中には生豆が直接入っているのではなく、グレインプロと呼ばれる多層ポリエチレン袋に先ず入れられ、防湿、防虫対策が施された二重包装になっています

ここで素材に関する小ネタを一つ。麻袋の素材は文字通り、麻(アサ)ですが、殆どがジュート(黄麻:コウマ)と呼ばれる植物の繊維がその原料となっています。他にサイザルと呼ばれる植物繊維も使用されますが、こちらは強度はさらに高く、ツヤツヤ、ゴワゴワした硬い素材です(いろどりこーひーではコロンビアの麻袋がサイザル製です)

麻袋には産地の国名、地方名、時に農園名、そして銘柄などが印字されているほか、特有のイラスト、柄などもスタンプされていて、眺めて楽しいものです。そして途中の税関チェックや重量確認のためか、麻袋にはサインペンで数値やマークが無造作に書き込まれています(一見すると落書きです^^;)

こうして産地で生産され、出荷され、いろいろな人の手を渡り、長い船旅を経て店まで届いた過程を思いやると、ちょっとしたロマンさえ感じます^^

僕自身はコーヒー豆産地に行ったことはないですが、インポーターの方から伺っている産地の作業風景なんかがフッと重なることもあります。それ故、この大切な生豆を丁寧に焙煎して、お客さまに丁寧にお届けしたい...そんな思いにさせてくれます

麻袋をお持ち帰りになるお客さまは、「えーっ!いいんですかー!」、「◯◯に使おーっと!」と、皆さまワクワクお持ち帰り頂くので、こちらも「どーぞ、どーぞ」と嬉しくなります

使用用途、目的も様々で、「ガーデニングをやってるんですが、その鉢包に使います」とか、「この生地でポーチを作ります」、「物置の物の整理に」、「別荘の薪ストーブの薪収納に」、「猫の寝床に使ったら、猫の大お気に入りの場所になりました!」なんてお話も^^

そんなお客さまのワクワク体験を聞かせていただくのは、僕にとってもほんわか和む、素敵なひとときです

この麻袋、もし興味がありましたら、ぜひお店で気軽にお声掛け頂き、一度ご覧になってみてください(^^)/


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2025年8月19日火曜日

No.235_丸の内線のCBTC(無線式列車制御システム)と焙煎


先日何気なくテレビをつけていたら、「東京メトロ丸の内線でCBTC(無線式列車制御システム)が導入されたことで、車両運行がよりスムーズになり、遅延証明書発行数が半減した」とのニュースを見かけました

その中で従来システムとの違いも概略説明され、鉄道ファンでもない僕ですが...「なるほどねー」と興味が湧いたものですから、少し調べてみました

「CBTCは、Communication-Based Train Controlの略称。列車運行を制御する信号保安システムの一種で、無線通信を利用して、列車の位置や速度情報を地上と車上でリアルタイムにやり取りし、きめ細かい運行制御が可能」とのことです

これに対して従来の(現在、ほとんどの)方式は「固定閉塞方式」というそうで、「線路をいくつかの区間に分けて、その中に1本の列車しか入れない方式」とのことです。しかしこの方式では先行車両との正確な間隔は把握出来ず、遅延してもそれを詰めるには限界がありました

方やCBTCは無線通信で列車の位置をリアルタイムに1m単位で追跡、管理可能とのことで、前述の「区切りで管理する方式」に対して、「実際の位置で管理する方式」と言えそうです

この導入により、結果として輸送力増強」、「定時性向上」、「運行の柔軟化」 が実現されるとのことで、2026年度には日比谷線、2028年度には半蔵門線にもそのシステムが導入されるようです

ところでなぜ、コーヒーにも焙煎にも関係なさそうなこの話題に触れたかというと...

実は、「僕が焙煎でずっと取り組んでいることと、切り口が一緒だなぁ」と感じたためです

焙煎は窯への生豆投入から煎り止め(窯から出す)まで20数分掛かりますが、その間、目指す進行を正確にトレースする(なぞる)必要があります。その作業が列車の定時運行と重なって感じられたものですから...

焙煎はその日の状況に応じてその進行に微妙なブレが生じますが、それがズレまでに至らないように、都度、火力調整して、収めていく(制御する)ことが肝となります(このブレとズレについては、宜しければ、つぶやきNo.178も参照ください)

以下、僕の感じた列車定時運行の肝と、焙煎進行の肝の対比です

①定時管理

列車は「各駅をこの時刻に通過しなければならない」という定時が定められている

 →焙煎は上昇し続ける「窯内温度5℃毎に、生豆投入後、何分何秒で通過しなければならない」という通過タイムを秒単位で定めている

②ブレの調整

列車はある駅の通過時刻が遅延したら、次の駅の到着時刻を定時に近づけるため、通常より加速を強めて、又は減速を緩くして遅れを取り戻す(逆に早過ぎたら加速を弱めるか、減速を早める)

 →焙煎で所定の経過タイムが遅延したら、次のフェーズの設定火力を少し強めて、遅延解消に努める(逆に早過ぎたら、火力を絞る)

③滑らかな制御

列車は上記②で更なる加速、更なる減速をする時にも乗客の安全確保、快適性実現のため、急加速、急ブレーキは厳禁。そーっと滑らかな操作が必要

 →焙煎で進行回復するため、火力を強めるとそのフェーズは厳密にはカロリー過多になり、弱めるとカロリー過少になる。それが極端だと次工程の豆の適正な化学変化に支障をきたす(味が変わる)。急な調整は豆に無理をさせることになるので、常に“そーっと”が大切

焙煎の最中に火力調整を“そーっと”行うとき、思わず運転士が乗客を気遣ってハンドルを握っている姿を重ねてしまいます(実際は自動制御かもしれませんが^^;)。運転士は乗客を!そして僕は豆を!常に気遣っています

④飽くなき改善

列車では今回の丸の内線でのCBTCシステム導入のようによりスムーズな運行、より安全な運行に向け、飽くなき改善を続けている

 →焙煎進行を毎回限りなく同じにするための飽くなき改善を開店以来、ずーっと積み重ねています

具体的には当初10℃毎のチェックを5℃毎に/チェックポイントの進捗誤差(秒)の記録/チェックポイント間のインタバル時間(秒)を記録の上、その間のカロリー過多を把握/これにより進行のリアルタイムの加速感、減速感を把握/それを次工程の調整への反映といった改善、改良に取り組んできました

飽くなき取り組み、挑戦...というのは、どうも僕の性分に合っているようです^^;

 

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参考:CBTCについて(NHKから)

2025年8月12日火曜日

No.234_焙煎は部屋全体の空間でヤク


前回『No.233_焙煎機の構造は“ドラム式洗濯機”と“サイクロン式掃除機”を組み合わせた様なもの』を書いていながら、もう少しだけご説明したいなと思いながら紙幅の制約もあり、書けなかった内容が、今回の『焙煎は部屋全体の空間でヤク』です

焙煎職人談義...みたいな内容で、ちょいと退屈かもしれませんが、よろしければお付き合いください

前回No.233ではサイクロンの説明として、『焙煎機のサイクロンもドラム側から空気を吸い込み、煙突側へ押し出す仕組みになっています』と記載しました

この『ドラム側の空気を吸い込み』の部分ですが、更にその手前の段階では、『焙煎機が設置されている部屋の空気がドラム下部のガスの火で加熱されながらドラム内に吸い込まれ』ということが起きています

ここで再びドラム式洗濯機の引用ですが、ドラム式全自動洗濯乾燥機の場合、洗濯が終了して、乾燥が始まるとドラム突き当たりの通気口から熱風が注ぎ込まれます。これも焙煎機の仕組みとかなり近くて、焙煎機のドラム突き当たりにもパンチング状の穴がたくさん開いています。サイクロンで空気を吸引すると前述の熱風がそこから勢いよくドラム内に取り込まれます

つまり生豆はこの熱風でヤかれていくということです(厳密にはドラム鉄板との接触熱、窯を覆う分厚い鉄板からの遠赤外線輻射熱も加わります)

それ故、『部屋の中の空間、空気も焙煎に少なからずや影響を与えている』というわけです

焙煎を数窯続けて行うと、部屋の温度も1窯目、2窯目と上昇していきます。すると同じ火力を与えても2窯目以降はより高温の空気を吸い込み、それを加熱することになるので、窯内温度も若干高くなるということが起きます。実際にはそれが起きないように微妙に火力を絞るということを行うのですが、そのメカニズム(大局観)を頭に描いて掛かるのとそうでないのでは、自ずと制御の精度が変わってきます

また、仮にも気密な部屋で焙煎すると、屋外に空気が吸い出され続けているので、その室内は負圧になります(部屋の空気は吸われ続けると負圧、逆に詰め込まれ続けると正圧になります)

負圧が生じるとサイクロンで吸い込もうとする空気量に制御が掛かり(通気量が少なくなり)これまた、焙煎に影響が出ます(通気量が下がると窯内温度は高温側に触れます)

いろどりこーひーではこれを解消するため、部屋の換気口を開放し、対面側に設置した換気扇を運転して部屋の空気を流通させ、負圧が起きないよう配慮しています(冬は寒気、夏は暖気を呼び込みますが、一定の部屋圧にする方を優先させています)

出来ることなら、空調制御された体育館のような大きな空間で焙煎できるのが望ましいのですが、それは不可能なので、安定した焙煎のため、前述の配慮をしています(いろどりこーひーは天井高さが3mで14坪ありますので、空間としては比較的恵まれている方だと思います。逆に焙煎室のような小部屋を作っての焙煎は非常にリスキーです)

というわけで、「部屋全体の空間を使ってヤク」のポイントは、

①吸い込まれる空気の温度差を最小限にする(春夏秋は適正に冷房を入れる。冬は暖房を入れない)

②吸い込まれる部屋の空気の圧力差を最小限にする(換気口、換気扇を有効に活用する)

いやはや、今回はあまりにもマニアックなテーマで失礼いたしました^^;

 

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2025年8月5日火曜日

No.233_焙煎機の構造は“ドラム式洗濯機”と“サイクロン式掃除機”を組み合わせた様なもの


店の中には大きな焙煎機が置いてありますので、お客さまからも時々、「あれで焙煎するんですか?」、「大きいですね〜」と言ったお声掛けを頂くことがあります

そして「店に何度か来ていますが、焙煎しているところ見たことないですね〜」、「どうやって焙煎するんですか?」といった話題にも及ぶことも...

焙煎中は上昇し続ける窯内温度の進行時間をコントロールするため、一瞬たりとも目が離せません。そのため、この作業は開店前の朝、入口のシャッターを下ろした状態で、ひとり静かに進めています。それもあってお客さまに焙煎している僕の姿をお見せする機会がないものですから、前述のようなご質問、興味を頂いた時、他にお客さまがいらっしゃらなければ、焙煎機の横までお越し頂いて、その流れをご説明させて頂いています

その説明のスタートなのですが、「焙煎機の構造はドラム式洗濯機とサイクロン式掃除機を組み合わせた様なものです」という話から始めます

すると殆どのお客さまは、「えっ?」、「はぁ〜?」と言った反応、リアクションをされます(苦笑)

この最初の説明、“ウケ狙い”とか、先ずは“掴みを”と決してふざけているわけではなく、日常生活の中で馴染みのあるものを引用することで、よりイメージしやすくなれば、との思いでお伝えしています

焙煎される豆は焙煎機の中の“ドラム”と呼ばれる部分でヤかれていきます

この“ドラム”がドラム式洗濯機のドラムと非常によく似ています

焙煎機には円筒状の鉄製の筒が水平に配置されていて、そのドラムの内側には羽状の鉄板がいくつも付いています。焙煎中、このドラムは回転し続けていますので、そこへ投入された生豆は宙へ掻き上げられ、バラバラ、シャカシャカ舞いながらヤかれていきます

このドラムの下で都市ガスを熱源とする火が焚かれるのですが、この火元とドラム全体を包み込むように分厚い鉄板と断熱材が覆っていて、この全体を“窯”と呼んでいます。これが丁度、ドラム式洗濯機本体のイメージです

ドラム内の熱は煙突を介して屋外に放出されるのですが、ドラムと煙突の間にサイクロンと呼ばれるパーツが組み込まれています。これがサイクロン式掃除機のサイクロンと同様の働きをします

ここで『サイクロン式掃除機の仕組み』と検索すると以下の様な記載がありました

【サイクロン式掃除機の仕組みは、吸引した空気とゴミを本体内で高速回転させ、遠心力でゴミを分離してダストカップに溜めるというものです。この遠心分離の過程で、ゴミは空気よりも重いため外側に押し出され、サイクロン内の壁に沿って下に落ち、きれいな空気だけが排出されます】

焙煎機のサイクロンもドラム側から空気を吸い込み、煙突側へ押し出す仕組みになっています。そしてその過程でチャフと呼ばれる焙煎によって剥がれ落ちた豆の薄皮をキャッチし(取り除き)、綺麗な空気だけ放出するという機能も併せ持っています

これを実機の前でお客さまにご説明すると「なるほど〜」、「ホント、洗濯機と掃除機ですね!」と、驚き、感動と共に(ちょっと大袈裟ですね😅)、ご理解頂けて、説明していても楽しいです

一方、このつぶやきを読まれている方は、文字だけの、しかも突飛な例えの説明なので、どこまでお伝え出来たか、いささか不安ではありますが、雰囲気だけでも伝われば嬉しいです^^

 

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