2025年11月4日火曜日

No.246_コーヒー産地インドネシア 🇮🇩


今回のテーマは、コーヒー産地としてのインドネシアです

先ず、インドネシアという国ですが、“大体あの辺”と、ご存知かとは思いますが、フィリピン、ベトナム、マレーシアの南側、そしてオーストラリアから見るとその北側で赤道直下に位置します。“大体あの辺”というのも、それもそのはず1万7千以上の島から成り立っているそうで、東西の距離は、なんと5,100kmにも及ぶとのことです。そして人口は、2億8千万人超え、日本の2倍以上、世界第4位を誇ります

コーヒー産地としては、ブラジル、ベトナム、コロンビアに次ぐ、世界第4位の生産国です。インドネシア国内での割合は、スマトラ島が主要産地で国内生産の6割強を占め、次いでジャワ島1割強、他にスラウェシ島、バリ島でも生産されています

銘柄としては、スマトラ島のマンデリン、スラウェシ島のトラジャ(国内生産の2%程度)がよく知られています

ここからはいろどりこーひーでも扱っているマンデリンについて、もう少し掘り下げてみます

マンデリン(Mandheling)は、スマトラ島(北スマトラ、トバ湖南側のリントン・ニフタ周辺)で生産される高品質なアラビカ種コーヒーです。標高は1,400〜1,600mに位置し、昼夜の寒暖差が大きく、火山性の豊かなミネラル分を含む土壌も相まって、あのマンデリンの風味を育みます。実はインドネシアで生産されるコーヒーの9割はカネフォラ種(ロブスタ種)で、アラビカ種の割合はほんの1割です。ちなみにこのマンデリンという名は、地名ではなく、この地域に暮らす先住民族“マンデリン族”の名に由来しています

マンデリンの魅力は、世界中どの国のコーヒーにも無い、独特のボディ感と風味にあります。その風味はアーシー(Earthy)と表現されたりします。一方、このアーシーな風味を言葉の例えでお伝えするのは少々難しいです。大地っぽい、土っぽい、ハーバル(草)っぽい、木(Wood)ぽい...ただ、こう言われてもあまり美味しそうには聞こえないでしょうか...(苦笑)。少しだけ情緒的に表現すると「雨上がりの森のような落ち着いた香り、シルキーなマウスフィールと黒糖のような甘い余韻」いかがでしょうか?えっ?ますます分かりづらくなった?(^^;;

と、言うわけで、僕としては、是非是非、「一度体験してみて頂きたい!」が偽らざるところです。きっと「おっ!これがマンデリンか!」と感じていただけるはずです

このユニークな風味の秘密は、他の国では見られないインドネシア独自の精製方法にあります

その精製方法は、通称“スマトラ式”、他にはウエットハル(Wet Hulled:ハルは脱殻の意味)、又はギリング・バサ(Gilling Basah:インドネシア語で湿ったままの脱殻の意味)とも言われ、半乾き脱殻、再乾燥のプロセスがその特徴です

これはインドネシアの気候特性と小規模農園が多い条件下で、工夫、生み出された精製方法といえます。というのも赤道直下で熱帯多雨湿潤な気候のインドネシアでは、天日でじっくり乾燥させることが難しく、また小規模農園が多いので十分な乾燥スペースを確保したり、乾燥設備を持つことが困難なため、各農園では果肉をパルピング(剥いた)後、一日ほど水槽につけ(発酵を促し)、果肉を洗い流し、先ず一次乾燥させます。そして、水分量が30〜40%になったあたりで脱殻し、出荷します(通常の精製では12%程度まで乾燥させてから脱殻します)

その後、半乾きの生豆を集荷した中間処理業者が、二次乾燥を行い、12%程度まで乾燥させたのち、出荷(輸出)されます。小規模農園からすると迅速にコーヒー豆を市場へ出荷し、早めに現金化できるというメリットもあります。そう言う意味ではスマトラ式はコーヒー農家の方々の生活の知恵から生まれた精製方法ともいえます

インドネシアにオランダからコーヒーが伝搬したのは、1696年とのことですが、その後しばらくは他国同様、ナチュラル式(天日による自然乾燥)が行われていたようです。そして、精製方法でスマトラ式が普及し始めたのは、意外にも1970年代とのことですから、ほんの50数年前からのまだまだ“新しい伝統”といえます

ユニークなのは精製方法、風味だけではありません。生豆の見た目もとてもユニークです。一般的に生豆は白っぽいというか、薄いベージュ色をしていますが、マンデリンのそれは深い緑色です

以上、マンデリンを中心にコーヒー産地インドネシアをご紹介させて頂きました

マンデリンはシングルコーヒーとして多くの根強いファンがいらっしゃるとともに、その個性的な風味は、いろどりこーひーのブレンドづくりにおいても欠かせない要素です

まさに、いろどりこーひーに無くてはならないキャラクターです

 

いろどりこーひーは珈琲豆を通して、皆様の心豊かな暮らしに“彩り”をお届けします

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P.S.

・コーヒー産地 コロンビアエチオピア

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・アラビカ種、カネフォラ種のお話は、コチラ