2026年3月17日火曜日

No.265_乾熱調理としての焙煎


僕は焙煎を“調理”と捉えています

加熱調理は、その過程で水を使用するかどうかで①加水調理と、②乾熱調理に大別されます

①加水調理は煮る、茹でる、炊く、蒸す等の調理法です

②乾熱調理は焼く、炒める、揚げる等の調理法です

焙煎は、この②乾熱調理の“焼く”に該当します

①加水調理と比べた②乾熱調理の特徴は、100℃を超える高温調理(加熱が強力)/熱の伝わりが早い/素材の表面はすぐ熱くなるが、深部までは伝わりにくい/乾燥しやすい、等々です

これらの特徴は、焙煎においてはメリットにもなれば、デメリット(気を付けなくてはならないこと)にもなります

メリットは何といっても、高温調理ならではの生豆成分の化学変化により、えも言われぬ芳醇な風味と香りが生まれることです。これは主に糖分のカラメル化やメイラード反応といった化学変化によるものですが、これらについては過去のつぶやき(No.155No.197No.218)でも角度を変えて触れてきましたので、今回はデメリット(気をつけなくてはならないこと)について触れてみようかと思います

乾熱調理の特徴は、時系列に調理を積み上げていくところだと考えています。「調理を積み上げる?」ちょっとわかり辛いですね(苦笑)。言い換えると「状態を積み上げる」とでも言いましょうか...

大きな括りでいうと焙煎は、水分抜き→成分変化(デベロップ≒コーヒー豆の風味が生まれる)→香味調整といった段階を経ます

そしてさらに細分化していくと、「ある段階を迎える直前には、ある状態になっていなくてはならない」の繰り返しが求められます

例えばデベロップを迎える直前は、適正に豆全体の水分が抜かれていなくてはなりません

この“適正に”というのがとても大切で、仮にも豆の表面はしっかり水分が抜けていても、中心部に微小な水分が残っていては、デベロップは不完全なものとなり、微かであってもエグ味や雑味を持った豆が出来上がってしまいます

その逆に早い段階でカリカリに水分を抜きすぎてしまうと、豆の成分が既に破壊され、風味も香りも薄い豆となってしまいます

また、うっすらでも焦げが発生すれば(焦げの一歩手前になっただけで)、出来上がりの豆はコーヒーのダークな魅力とは別物の、焦げの苦さの雑味感をもたらします

要はどの一瞬であっても、やり過ぎ(エネルギー過多)、やり足りないこと(エネルギー不足)があってはならず、それは後工程では回復しようもないダメージ(傷を負うようなもの)となり、それがそのまま出来上がりの豆の味に反映されてしまう怖さがあります。一言でいうと、「一度のミスが回復できない」そんな怖さ、緊張感があります

それゆえ、窯内の温度上昇5℃毎の通過タイムを設定し、毎回その全段階を±6秒以内の誤差で通過するよう、エネルギー(火力)コントロールに注意を払っています

とはいえ、究極の再現性を確保することは美味しい豆づくりに向けた、入口でしかありません

『最高の美味しさ』を探求する旅は、入り口を超えたこの先もずっと続いていきます

だからこそ焙煎という作業は、どこまでも奥深く、面白いのだと思っています^^

 

いろどりこーひーは珈琲豆を通して、皆様の心豊かな暮らしに“彩り”をお届けします

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