2026年3月31日火曜日

No.267_おかげさまで開店5周年を迎えることができました (^^) 


いろどりこーひーは2021年3月25日に開店しました

おかげさまで先週、開店5周年を迎えることができました

当時は新型コロナ禍真っ只中で、開店から間もない4/23には第3回目の緊急事態宣言が発令されるなど、先の見えない時期のスタートでした

この5年は、ほんの2、3年かと思うくらいあっという間だったようにも感じますし、一つ一つ振り返ると、確かに5年の重みも感じます

この“つぶやき”の中でも都度、紹介してきましたが、店のお向かい葛西小学校2年生の子どもたちが、“まちたんけん”という社会科授業の一環で、毎年秋に入れ替わり店を訪ねてくれています。そして2021年に来てくれた子どもたちは、先週卒業式を迎え、4月からは中学生となります

子どもたちの成長を目の当たりにしていると、自分もまた、しっかり歩み続けていかなくてはと感じさせてくれる、そんな思いとともに過ごしてきた5年間でした

この5年間で変わらないこともあれば、変わってきたこともあります

変わらないことは、ホームページの“店主のごあいさつ”にも記載している、

①珈琲豆を通して、皆さまの心豊かな暮らし、丁寧な暮らしに“彩り”をお届けしたい

②地域に根ざした、地域の皆様から愛される、そして必要とされるお店になりたい

という思いです

元々、このお店を始めるにあたり、『“ピークのない商い”をしたい』と考えていました。いっときの物珍しさ、流行りで終わるのではなく、長く、静かにお客さまの日常に溶け込みたいと

幸いにしてお店やネットショップを訪ねてくださるお客さまの数は、この5年間、微増を続けています

とりわけリピートして下さるお客さまが増えるというのは、“必要とされるお店”に一歩ずつ近づいていく感があり、本当に嬉しく、ありがたい思いでいっぱいです

逆に変わってきたことは、より美味しい豆づくりへ向けた『味覚の世界のマスタリー(熟達)への道』において、一歩一歩前進してきた手応えはあります

そして店運営の面で『お客さまにとって使い勝手が良い』を目指して、マイナーチェンジをいくつも積み上げてきた点は、変わった(進化した)ところといえるかも知れません

お客さまにとって『いつも変わらぬいろどりこーひー』であり続けるために、いろどりこーひーはこれからも静かに進化していきます

 

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2026年3月24日火曜日

No.266_焙煎進行中のブレ調整の勘所


前回のつぶやき『No.265_乾熱調理としての焙煎』の中で、

『窯内の温度上昇5℃毎の通過タイムを設定し、毎回その全段階を±6秒以内の誤差で通過するよう、エネルギー(火力)コントロールに注意を払っています』

と記しました

焙煎中は、この「数秒の“ブレ”」に神経を使い続けています(“ズレ”までいかないように)

この最中は、【遅れ、進みの兆候を把握→対処】を繰り返すのですが、【遅れ、進み】のブレ(目標通過タイムからブレた秒数)が小さいほど、目標進行に沿っていることになりますので、それが出来上がった豆の風味の再現性を高めます

【遅れ、進みの兆候の把握】については、単に「その秒数を把握する」だけではなく、その秒数が表している意味「現在どのような状況下にあるか?」を体で感じることが大切です(その辺の心持ちはつぶやきNo.262でも触れました)

そこで今回のテーマは、それを把握した上での対処に関する勘所のお話です

これは少し例を示した方が、お伝えしやすいかもしれません

例えば窯内温度150℃通過時、6秒の遅れが生じた時、150℃〜155℃間の火力は、予定火力よりほんの少しあげて155℃のチェックポイントでその回復を図るのですが、いきなり±0(遅れなし)を目指すのではなく、その時点では-3秒だけ回復させて、その先の160℃のチェックポイントで±0になることを目指します

この例で仮に150℃〜155℃で-6秒短縮し155℃で±0を達成したとすると、その間与えた多めの火力がドラムにも、それを覆う分厚い鋳物の窯にも、そして排気系統までにも作用し(温め)、それら全体が多めに蓄熱します。するとこの余計な蓄熱が次のフェーズで進行を早める方向に作用し、今度は逆に6秒早過ぎの様な事態を招きます(急ブレーキ、急発進できない電車運転のイメージです)

これではフェーズ毎に早過ぎ、遅過ぎ、早過ぎ、遅過ぎを繰り返すような...飛行機の挙動に例えるなら“ダッチロール(不安定な蛇行)”の様なものです。これは焙煎の進行コントロールとしては一番よろしくありません

この様な進行を経た場合、たとえ最終的な全体時間が予定通りでも、また焼き色が同じに見えても、豆の風味は確実に違ったものとなります

それは、前回のつぶやき『No.265_乾熱調理としての焙煎』でも触れた、

『乾熱調理の特徴は、時系列に「調理を積み上げていく」ところ、言い換えると「状態を積み上げる」ということ』

に拠ります

また、上記の例の150℃〜155℃の様に5℃刻みに切り出したフェーズで捉えた場合、その間の経過時間が計画時間より短ければ、「その間、与えた熱量が多かった」と捉えます。逆に長ければ、「与えた熱量が少なかった」と捉えます

ここで気付かれたと思いますが、「ブレてしまった6秒も、意図的に戻した6秒も出来上がりの豆の風味にとっては、同じく影響を及ぼす」と言うことです

つまり焙煎とは、“後からの帳尻合わせが一切効かない世界”なのです

だからこそ、ブレは最小限に!、ブレの絶対値の合計秒数も最小化!

これが、豆の風味の再現性を高めていく上では、極めて重要なことになります

焙煎とは、「今この瞬間の積み重ねが、そのまま味になる作業」なのだと感じています

それ故、焙煎中はいっときもその場を離れられませんし、気がつけば僕自身が焙煎の流れの中に完全に入り込んでいる、そんな「没入」の世界です

 

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2026年3月17日火曜日

No.265_乾熱調理としての焙煎


僕は焙煎を“調理”と捉えています

加熱調理は、その過程で水を使用するかどうかで①加水調理と、②乾熱調理に大別されます

①加水調理は煮る、茹でる、炊く、蒸す等の調理法です

②乾熱調理は焼く、炒める、揚げる等の調理法です

焙煎は、この②乾熱調理の“焼く”に該当します

①加水調理と比べた②乾熱調理の特徴は、100℃を超える高温調理(加熱が強力)/熱の伝わりが早い/素材の表面はすぐ熱くなるが、深部までは伝わりにくい/乾燥しやすい、等々です

これらの特徴は、焙煎においてはメリットにもなれば、デメリット(気を付けなくてはならないこと)にもなります

メリットは何といっても、高温調理ならではの生豆成分の化学変化により、えも言われぬ芳醇な風味と香りが生まれることです。これは主に糖分のカラメル化やメイラード反応といった化学変化によるものですが、これらについては過去のつぶやき(No.155No.197No.218)でも角度を変えて触れてきましたので、今回はデメリット(気をつけなくてはならないこと)について触れてみようかと思います

乾熱調理の特徴は、時系列に調理を積み上げていくところだと考えています。「調理を積み上げる?」ちょっとわかり辛いですね(苦笑)。言い換えると「状態を積み上げる」とでも言いましょうか...

大きな括りでいうと焙煎は、水分抜き→成分変化(デベロップ≒コーヒー豆の風味が生まれる)→香味調整といった段階を経ます

そしてさらに細分化していくと、「ある段階を迎える直前には、ある状態になっていなくてはならない」の繰り返しが求められます

例えばデベロップを迎える直前は、適正に豆全体の水分が抜かれていなくてはなりません

この“適正に”というのがとても大切で、仮にも豆の表面はしっかり水分が抜けていても、中心部に微小な水分が残っていては、デベロップは不完全なものとなり、微かであってもエグ味や雑味を持った豆が出来上がってしまいます

その逆に早い段階でカリカリに水分を抜きすぎてしまうと、豆の成分が既に破壊され、風味も香りも薄い豆となってしまいます

また、うっすらでも焦げが発生すれば(焦げの一歩手前になっただけで)、出来上がりの豆はコーヒーのダークな魅力とは別物の、焦げの苦さの雑味感をもたらします

要はどの一瞬であっても、やり過ぎ(エネルギー過多)、やり足りないこと(エネルギー不足)があってはならず、それは後工程では回復しようもないダメージ(傷を負うようなもの)となり、それがそのまま出来上がりの豆の味に反映されてしまう怖さがあります。一言でいうと、「一度のミスが回復できない」そんな怖さ、緊張感があります

それゆえ、窯内の温度上昇5℃毎の通過タイムを設定し、毎回その全段階を±6秒以内の誤差で通過するよう、エネルギー(火力)コントロールに注意を払っています

とはいえ、究極の再現性を確保することは美味しい豆づくりに向けた、入口でしかありません

『最高の美味しさ』を探求する旅は、入り口を超えたこの先もずっと続いていきます

だからこそ焙煎という作業は、どこまでも奥深く、面白いのだと思っています^^

 

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2026年3月10日火曜日

No.264_デカフェの製造方法(ブレーメンウォーター方式)


前回のつぶやきNo.263で、「デカフェ コロンビア」をご紹介しましたが、発売して1週間が経ちました

店では、“本日の試飲コーヒー”として、2種類のコーヒーをご提供していますが、この間、一つはデカフェコロンビアをお試し頂き、たくさんのお客さまから感想や質問を頂きました

感想としては、「デカフェは聞いたことありましたが、初めて飲みました」、「デカフェに対して勝手に薄味のイメージを持っていましたが、しっかりした風味がありますね」などなど

質問として一番多かったのは、やはり「デカフェってどうやって作られるんですか?」というものです

他にも「デカフェとカフェインレスコーヒーは同じ意味ですか?」「デカフェを作るには何か薬品を使うんですか?」、「カフェインを抜くときに風味も抜けるのですか?」といった質問もありました

他にも「デカフェにする焼き方があるんですか?」と、焙煎でカフェインを抜くのかしら?と質問いただいた方もいらっしゃいましたが、「生豆の段階でカフェイン除去されたものを仕入れているので、焙煎は通常と変わりないんですよ」とお伝えさせていただきました^^

さて、今回いろどりこーひーで採用したデカフェは、ドイツのブレーメンに本社を置く、その名も“カフェイン・カンパニー社(Coffein Compagnie)”で製造されたものです。同社は1930年代からカフェイン除去技術を手がけてきた、世界でも歴史ある専門企業のひとつで、コーヒーだけでなく、紅茶やカカオなどの脱カフェイン処理も行い、長年にわたり技術改良を続けてきました

そこでは、ブレーメンウォータープロセス と呼ばれる方法でカフェイン除去を行なっており、それはその名の通り、“水”を主体とした方法で、安全性、風味の良さの点でとても優れた製造方法です

今回の豆はコロンビアで生産されたスプレモ規格(最大サイズの等級)で、それがドイツのカフェイン・カンパニー社に輸入され、カフェイン除去された後、日本へ輸出されているので、このデカフェはかなりの長旅をしてきたわけです

ところで、コーヒー豆の中には、香りや甘さ、酸味、コクを生み出す数百種類以上の成分が含まれています。通常、カフェインはその成分の1〜1.5%といわれていますが、デカフェ製造の難しさは、「カフェインだけを取り除き、風味成分は出来るだけ残す」という点にあります。単純に成分を抜けばよい、という話ではありません。ここに各製法の技術力の差が現れてきます

ではここからは、ブレーメンウォータープロセスのお話です

・まず生豆を温かい水蒸気で蒸し、豆の内部を膨張させて成分が外へ移動しやすい状態にします

・次に、その膨張した生豆を水に浸し、豆の中の成分を水中へと移動させます

・その後、成分が染み出した液体を活性炭フィルターに通すことで、カフェイン分子だけ選択的に取り除きます

・こうしてカフェインだけが取り除かれた液体は、すでにコーヒーの風味成分(コーヒーエキス) で飽和している状態になっています

・この液体に新しく膨張させた生豆(同じ種類の豆)を浸すと、豆の内外の成分バランスの違いによって、カフェインだけが外(液体)へと移動していきます

これによりカフェインは99%以上除去されるとされています(詳細は公表されていませんが、この過程で加熱、加圧も効果的に作用させているとのことです)

・そしてこの溶液は再びカフェイン分子のみ除去され、同種豆のデカフェ化に再利用されていきます

このようにブレーメンウォーター方式は水とフィルターを主体にした製法で、有機溶媒などの薬品は使用していない安全な製造方法です

かつてデカフェは「味が薄い」「香りが弱い」と言われることも多く、コーヒー好きの方ほど敬遠される存在でもありました。しかし現在は技術が進み、風味をできるだけ残す製法が開発され、品質は大きく向上しています

前述の通り、カフェイン・カンパニー社はカフェイン除去処理の老舗とも言える会社ですが、今回のデカフェは、2021年に同社が確立した新しい製造ラインによるものと聞き、その魅力的な風味にも、なるほどと納得した次第です

というわけで今回ご提供するデカフェコロンビアは、

「デカフェなのに、こんなに美味しい!」というより、

「この美味しいコロンビア、デカフェなの?」そう驚くほどの美味しさです!

”デカフェが必要なお客さま“に加え、”デカフェである必要はないけど、美味しいコロンビアが飲みたいお客さま“ にも、ぜひ楽しんでいただければと思います ^^

 

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2026年3月3日火曜日

No.263_デカフェ コロンビアのご紹介


「美味しいなぁ!」

デカフェ コロンビアのサンプルを初めてカッピングした時の、僕の率直な感想です!

いろどりこーひーで新豆を採用する際は、先ずは豆のバイヤー兼、インポーターの方から、サンプル(豆10g)を送っていただき、それをカッピングします。そして気に入ったものを価格も考慮しながら、年間使用分として取り置き依頼(発注)します

これは継続使用している豆も同様で、作付け年度が変われば再度サンプルカッピングを行い、改めて年間使用量を発注します

以前からお問い合せの多かったデカフェですが、その風味と価格のバランスから採用を見送ってきました

しかし今回のロットは違いました

デカフェにありがちな、風味が少し抜けたような物足りなさはなく、しっかりコクと甘みが感じられ、「これは美味しい!」と感動したのです

通常、コーヒー豆には1〜1.5%程度のカフェインが含まれていますが、このデカフェはそれを99%除去しています。妊娠中や授乳中の方はもちろん、「コーヒーは大好きだけど、夜飲むと眠れなくなる……」と我慢されていた方にも、安心してお楽しみいただけます

今回のデカフェは、ウォータープロセス(水抽出法)でカフェインを除去しています。その過程で化学薬品を使用しない安全性に加え、最大の特徴は、「豆本来の風味を損なわない」という点です

デカフェの素材(豆種)はコロンビアのスプレモ規格です

スプレモというのは、コロンビアの豆の輸出規格における等級(格付け)で、最大サイズの豆に与えられる称号です

その風味の特徴は、

【マイルドな飲み口、しっかりしたコーヒー感】 です

デカフェとしてはもちろん、“美味しいコロンビア”としてもお勧めできる一杯です

どうぞ、お楽しみください

 

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P.S.

次回、デカフェの製造方法(ウォータープロセス)について、お話させていただきます