2026年5月26日火曜日

No.275_鈴木敏文さん


今朝の新聞でセブン&アイHD元会長鈴木敏文さんの訃報を知りました

鈴木敏文さんは、僕自身、いろどりこーひーという店をやっていて、密かに商いの“師”と仰ぎ、その著書もいくつも拝読させて頂いた方なので、訃報を知り、本当に残念で、寂しい思いが込み上げてきました

鈴木敏文さんは、コンビニエンスストアという業態、そして現代型フランチャイズシステムを日本に根付かせ、人々のライフスタイルを劇的に変革し、社会インフラへと育て上げられた流通業界の偉大な先駆者です

その間、家で作るものとされていたおにぎり、弁当を商品ラインナップの中心に育てたり、共同配送の仕組みを発想し、流通革命を起こし、POS(販売時点情報管理)システムをいち早く取り入れ、POSデータを活用した高度な単品管理を確立・普及させ、また、店舗内にATMを設置、セブン銀行立ち上げと、鈴木敏文さんが創造したモノ、コトは枚挙にいとまがありません

それらのモノ、コトにはただただ驚くばかりですが、僕が鈴木敏文さんの著書をいくつも読んだ一番の理由は、商いに対する考え方、真髄に触れることが出来たからです

◾️顧客の立場に立つ

似たような言葉に「顧客のために」というものがありますが、これには売り手の押し付け、エゴが透けて見えると鈴木敏文さんは明確に使い分けておられました

◾️絶対価値を追求する

競合他社の動向を気にする「相対価値」ではなく、顧客がその価格に対して「本当に価値がある」と認める「絶対価値」を追求していました

そして「我々にとって最大の競争相手は同業他社、他店ではありません。世の中の変化であり、絶えず変化して止まないお客さまの要求なのです。その変化こそが最大の競争相手なのです。この変化への対応力を失った時、いかなる過去の強者、覇者といえども破綻は免れません」とおっしゃっています

セブン―イレブンでは役員が毎日昼食時に集まり、自社商品を試食し、意見を出し合うという習慣があるそうですが、以下のエピソードはとても印象に残っています

その日のチャーハンはパラっとした仕上がりとは程遠かった。「そこそこ売れている」と聞いて、それこそ問題だと担当者にこう問うた。「売れているからいいのか。この程度のチャーハンが売れていることにこそ危機感を持つべきだ。売れれば売れるほど、信用が失われていくんだ」

この考えはいろどりこーひーで販売する商品(コーヒー豆)においても強く自戒しています。僕がイマイチだと思うような豆は絶対に販売しません。仮にそんな豆を販売して、そこそこ売れてしまおうものなら、それこそ「売れれば売れるほど、信用が失われていくんだ」と

◾️成功体験を捨てる、仮説と検証の徹底

これはPOSの利用方法についても、「ここ最近、◯◯が売れているから、◯◯の発注を増やそう」は通用しない。例えば明日の天気一つをとっても「明日は気温がグッと上がるから、△△の仕入れを増やそう」と顧客の心理を読み解いて、仮説を立てて実行。その上で、検証にPOSを利用するのだ」というものでした

このように鈴木敏文さんは、「何事においても過去の延長ではなく、未来から顧みて何をすべきかを考え、挑戦すべし」と、“ブレイクスルー思考”を徹底していました

そして朝令暮改(ちょうれいぼかい、朝出した方針が夕刻にはもう変更されること)を恐れるな!むしろ朝令暮改せよ!」と、必要と気付いたことは即座に変える柔軟性こそが商いには必須と説いています

◾️凡事徹底

セブンイレブンが創業以来、現在も全店舗に求め続けている“4つの基本”があります

  • 品揃え(ほしい商品がいつも常にあること)
  • 鮮度管理(新鮮で安全なものを置くこと)
  • クリンリネス(店内が常に清潔であること)
  • フレンドリーサービス(気持ちの良い接客をすること)

鈴木敏文さんの商いは、一言で言えば「人間の心理にどこまで誠実に向き合えるか」の追求でした

日経“私の履歴書”の最後には、 

「毎日が瀬戸際と思い、1日1日を精一杯生きる。当たり前のことを当たり前に、ただし徹底してやり通す。これが私の生き方だと思っている」

と結ばれていました

僕自身も、日々の焙煎、接客、豆選びという“当たり前”を、これからも徹底して、精一杯やり通していきたいと思います

 

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2026年5月19日火曜日

No.274_“コーヒーフェス”に初めて出店しました


いろどりこーひーを始めて以来、初めて“コーヒーフェス”に出店しました

それは、“コイワでコーヒーフェス”というもので、JR総武線小岩駅南口の駅前ロータリーに面したFIRSTAⅡ前広場で開催されました

その日、葛西の店舗は妻に任せ、フェスは僕一人で参加しました

このフェスに参加することになったきっかけは、先月末、フェス実行委員の方から、店舗のメールアドレス宛、1通のメールを頂いたことが始まりです。その翌日には、ご担当の方がわざわざ店まで足を運んでくださり、いろいろご説明いただいた上で、熱心なお誘いを受けました

僕自身もフェスというものに興味はあったものの、いざ出店するとなると、どのようにしたものかと躊躇もありましたが、何よりお声掛け頂いたことに感謝し、何事も経験と思い、参加を決意しました

ちなみにこのフェスは、「こ[5]・い[1]・わ[8]」の語呂合わせにちなんだ5/18「こいわの日」を含むイベントの一環で、今年が2回目の開催だそうです

当日はワンオペということもあり、その場での抽出や粉挽きは、お客さまを待たせてしまうことになり難しいと判断し、前日作り置いたアイスコーヒーと手軽に楽しめるコーヒーバッグに絞ってお届けすることにしました

ところで江戸川区には北からJR総武線、都営新宿線、東京メトロ東西線、JR京葉線と 4つの路線がありますが、いずれも東西に運行していて、縦(南北)に走る路線がないものですから、その間の移動はやや不便です

いろどりこーひー最寄駅の東西線葛西駅から小岩駅までは、直線距離だと8km余りで、仮に電車が走っていれば、ほんの数分のところ、実際に車移動、電車乗り継ぎ移動するとなると30分余り掛かってしまいます。僕自身も「ちょっと遠い街」へ行くような心持ちで朝、会場へ向かいました

結果的に今回の出店ではとっても多くの方とお話出来て、ご利用もいただきました

一方で多くの方から「いろどりこーひー?聞いたことないわね、どちらにあるの?」と聞かれ、「葛西です」とお応えすると、「葛西!?行ったことないわね〜」と...そんな洗礼とも言える(苦笑)やり取りも幾度かありましたが、裏を返せば、多くの方々にいろどりこーひーを初見頂けた良い機会になりました

そして前述の辛口トーク(^^;;を含め、皆さま、温かく、素敵な方々ばかりで、10:00〜17:00の営業は瞬く間でした

そんな中、何よりも嬉しかったのは、葛西のいろどりこーひー常連さんが、「元気にやってるか見に来たよ〜!」と何人もわざわざ訪ねてくださったことです。これには思わず目頭が熱くなりました

また、当日は主催の方々や他の店舗の方々にもいろいろサポート、アドバイス頂いて、本当にありがたかったです。普段接することのない方々とも、新たなご縁を頂けたことがありがたかったです

というわけで、なんとか大過なく、そして楽しい一日を過ごすことができました。お会い出来た全ての皆さまに感謝申し上げます。ありがとうございました

 

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2026年5月12日火曜日

No.273_暮らしの中のコーヒー


いろどりこーひーが大切にしていることのひとつに、“暮らしの中のコーヒー”があります

これは言い換えれば、「いろどりこーひーのコーヒーが、お客さまの日常の風景に溶け込んでくれたら嬉しいな」という願いを込めて、日々店を営んでいるということです

それは、コーヒー豆という単に“モノ”を売っているわけではなく、お客さまの“暮らし”の一端を売っている。そんなイメージです

“暮らし”を売っているとは、国語的には妙な表現ですが、“暮らしに寄り添う”そんな心持ちです。そしてお客さまがいろどりこーひーのコーヒーをご自宅、または職場で飲まれている情景を頭に描きながら毎日の焙煎、そして店作り、日々の接客に向き合っています

別の業種でいえば、“ケーキ屋さん”も、きっとそういうお仕事ではないでしょうか

パティシエさんも、そしてそれを販売される方も、それを食べて頂いた方に「ああ、美味しい!」と喜んでもらいたいと期待しているのは当然として、その先にある情景までもイメージして、大切に、丁寧に作り、大切に、丁寧に販売されているのではないか...と、僕は想像します

「このケーキは自分へのご褒美!」なんて頂く方もいらっしゃるでしょうし、ママが(パパが)「今日はケーキを買ってきたよ!」と家で箱を開けた瞬間、子どもたちの歓声がワーっと上がる――そんな情景までも...

そしていろどりこーひーがご提供するコーヒー豆も、きっとそんな側面を持っている、もしくは担いたいと僕は思っています

そのためにも僕、焙煎人は先ずは美味しい豆作りを行い、その上でお客さまがお気軽、お手軽に利用できるお店作りに磨きをかけていかなくてはならないと心しています

お客さまの多種多様な暮らしのシチュエーションの中で、いろどりこーひーのコーヒーがお供して、

「美味しいなぁ〜」、「ホッとするなぁ〜」、「くつろぐなぁ〜」、「リフレッシュするなぁ〜」、「元気が湧くなぁ〜」...

と、ほんの少しでも感じて頂けるひとときがあるとすれば、これほど嬉しいことはありません^ ^

 

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2026年5月5日火曜日

No.272_焙煎は仮説と検証の繰り返し


ときどき、お客さまから焙煎についてご質問を頂くことがあります

「あの(焙煎機の)操作は大変なんですよね?」、「焙煎は何分かかるんですか?」、「焙煎は豆ごとに違うものなのですか」、「豆はどのように焼かれていくんですか?」、「季節が変わると焙煎も変わるものなのですか?」、「焼き方には決まった基準があるんですか?」、「焼く人が異なると味も変わるんですか?」、「焙煎中は何をしているんですか?」、「失敗しないんですか?」...他にも色々

ご質問いただいた時は、できるだけ分かりやすくお応えさせていただいております

今回は、そんないろいろな質問の中から、「美味しい豆を作るというのは大変なんですよね?」について、触れてみようかと思います

実は「美味しい豆を作る」以前に「毎回同じ味が作られる」ということが、大切です(絶対条件です)。それが出来て初めて、より美味しい豆作りへの取り組みが始められます

美味しい豆作りは、仮説と検証の繰り返しです

仮説とは、「焙煎進行中、あることをピンポイントで試した時、味がこうなるのではないか?」といった予測をたてることです

検証は、カッピング(味チェック)です。カッピングの物差しは、自身の“味覚”です

仮説と検証の間に、実施(焙煎)が入ります

仮説→実施→検証と進む場合もありますし、検証→仮説→実施と思考、そして試行が進む場合もあります

いずれにしてもこの3つを来る日も、来る日も回し続けることで、より美味しい豆づくりへの頂を登り続けます

仮説は例えば、豆を窯から出す(煎り止め)温度を「1℃あげることで、ロースト感がさらにバランスして、甘さに包まれた質感が増すのではないか?」とか、「1℃下げることで、この豆が本来持っている酸がクリアーに現れて、明るさ、フレッシュさが増して、エレガントな風味になるのではないだろうか?」というようなことを考えます

この際の1℃の差というのは、時間にするとおよそ6秒程度窯内に長く(短く)とどめるかといったわずかなものですが、確実に味の違いとして現れます

これは、なにも煎り止め温度だけの話ではなくて、「窯内温度150℃〜160℃の間、火力を少しアップして、進行時間を6秒短縮したら、あの風味がこうなるのではないだろうか?」のように思考、試行のポイントは、無限にあります

一方でこの試行は、複数項目同時に実施すると、どの変更が、その風味変化に影響を与えたのか、絞り込めないので、微細な変更はピンポイントで与えて、検証していきます(そのためにもその他全体は、いつもの通りコントロール出来るということが大切なわけです)

というわけで、「美味しい豆を作る」というのは、日々の地道な(実に地味な?^^;;)、作業の繰り返しなんです

 

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