今朝の新聞でセブン&アイHD元会長鈴木敏文さんの訃報を知りました
鈴木敏文さんは、僕自身、いろどりこーひーという店をやっていて、密かに商いの“師”と仰ぎ、その著書もいくつも拝読させて頂いた方なので、訃報を知り、本当に残念で、寂しい思いが込み上げてきました
鈴木敏文さんは、コンビニエンスストアという業態、そして現代型フランチャイズシステムを日本に根付かせ、人々のライフスタイルを劇的に変革し、社会インフラへと育て上げられた流通業界の偉大な先駆者です
その間、家で作るものとされていたおにぎり、弁当を商品ラインナップの中心に育てたり、共同配送の仕組みを発想し、流通革命を起こし、POS(販売時点情報管理)システムをいち早く取り入れ、POSデータを活用した高度な単品管理を確立・普及させ、また、店舗内にATMを設置、セブン銀行立ち上げと、鈴木敏文さんが創造したモノ、コトは枚挙にいとまがありません
それらのモノ、コトにはただただ驚くばかりですが、僕が鈴木敏文さんの著書をいくつも読んだ一番の理由は、商いに対する考え方、真髄に触れることが出来たからです
◾️顧客の立場に立つ
似たような言葉に「顧客のために」というものがありますが、これには売り手の押し付け、エゴが透けて見えると鈴木敏文さんは明確に使い分けておられました
◾️絶対価値を追求する
競合他社の動向を気にする「相対価値」ではなく、顧客がその価格に対して「本当に価値がある」と認める「絶対価値」を追求していました
そして「我々にとって最大の競争相手は同業他社、他店ではありません。世の中の変化であり、絶えず変化して止まないお客さまの要求なのです。その変化こそが最大の競争相手なのです。この変化への対応力を失った時、いかなる過去の強者、覇者といえども破綻は免れません」とおっしゃっています
セブン―イレブンでは役員が毎日昼食時に集まり、自社商品を試食し、意見を出し合うという習慣があるそうですが、以下のエピソードはとても印象に残っています
その日のチャーハンはパラっとした仕上がりとは程遠かった。「そこそこ売れている」と聞いて、それこそ問題だと担当者にこう問うた。「売れているからいいのか。この程度のチャーハンが売れていることにこそ危機感を持つべきだ。売れれば売れるほど、信用が失われていくんだ」
この考えはいろどりこーひーで販売する商品(コーヒー豆)においても強く自戒しています。僕がイマイチだと思うような豆は絶対に販売しません。仮にそんな豆を販売して、そこそこ売れてしまおうものなら、それこそ「売れれば売れるほど、信用が失われていくんだ」と
◾️成功体験を捨てる、仮説と検証の徹底
これはPOSの利用方法についても、「ここ最近、◯◯が売れているから、◯◯の発注を増やそう」は通用しない。例えば明日の天気一つをとっても「明日は気温がグッと上がるから、△△の仕入れを増やそう」と顧客の心理を読み解いて、仮説を立てて実行。その上で、検証にPOSを利用するのだ」というものでした
このように鈴木敏文さんは、「何事においても過去の延長ではなく、未来から顧みて何をすべきかを考え、挑戦すべし」と、“ブレイクスルー思考”を徹底していました
そして「朝令暮改(ちょうれいぼかい、朝出した方針が夕刻にはもう変更されること)を恐れるな!むしろ朝令暮改せよ!」と、必要と気付いたことは即座に変える柔軟性こそが商いには必須と説いています
◾️凡事徹底
セブンイレブンが創業以来、現在も全店舗に求め続けている“4つの基本”があります
- 品揃え(ほしい商品がいつも常にあること)
- 鮮度管理(新鮮で安全なものを置くこと)
- クリンリネス(店内が常に清潔であること)
- フレンドリーサービス(気持ちの良い接客をすること)
鈴木敏文さんの商いは、一言で言えば「人間の心理にどこまで誠実に向き合えるか」の追求でした
日経“私の履歴書”の最後には、
「毎日が瀬戸際と思い、1日1日を精一杯生きる。当たり前のことを当たり前に、ただし徹底してやり通す。これが私の生き方だと思っている」
と結ばれていました
僕自身も、日々の焙煎、接客、豆選びという“当たり前”を、これからも徹底して、精一杯やり通していきたいと思います
いろどりこーひーは珈琲豆を通して、皆様の心豊かな暮らしに“彩り”をお届けします