焙煎前の生豆ですが、豆種によってその固さが異なります。
(いきなり余談ですが...)ここで【かたさ】を表記するのに【固さ】、【堅さ】、【硬さ】、どれを使うかすごく悩みました。色々調べてみたんですが、『放送用語委員会記録』に以下の様な記載がありました。【堅い】:「中まで詰まっていて形が変わらない状態」これがイメージに近いと思ったのですが、対義語が【もろい】とあってなんか違うなぁ...。【固い】:「固体の物理的なかたさ」、対義語が【ゆるい】、【柔らかい】とあって、これもなぁ...。【硬い】:「力を加えても変わらない状態」対義語が【軟らかい】、違うなぁ...そして最後の注意書きに「固、堅、硬の何れにするかに迷った時は固を使う。更に迷う時はひらがなもおすすめ」なんてありましたw。 と言うわけで以下では、ひらがなを多用させて頂きます(苦笑)。
このかたさの違いは組織の蜜実さの違いとも言い換えられます。(蜜実な生豆の方がかたく、そして重い)
では、この蜜実さの違いはどこから来るのか?ですが、これは産地=生育環境の違いから来ます。
先ず以てコーヒー豆は、コーヒーノキの果実に育まれる種子だと言うことです。さくらんぼのタネのイメージですが、さくらんぼが開花後、2ヶ月程度で収穫期を迎えるのに対して、コーヒーノキは開花後、小さな緑の実が出来てから、実も大きく成長しながら次第に黄色味掛かって、オレンジ色味掛かって、最終的に赤く熟して収穫出来るまで6〜9ヶ月もの月日を要します。(因みにこれはいろどりこーひーで扱っているアラビカ種の話で、ロブスタ種は更に月日を要します。また、黄色く熟す品種もあります。)
この6〜9ヶ月と3ヶ月もの幅があるのは、生育環境(主に気温、他に雨量、日射、土壌)によるところが大きいです。
朝夕の寒暖差にさらされる環境で育った豆(種子)は、実の生育に月日を要し、かため(重め)、比較的温暖な気候下でスクスク早めに育った豆(種子)は、やわらかめ(軽め)になります。
突飛な例えですが、極寒のシベリアに生育する針葉樹の木と温暖な気候のところに生育する広葉樹の木のかたさ、重さに違いがあることと理由は似ています。シベリアの針葉樹は低温の厳しい環境下で生育がゆっくりなので年輪も細かく、組織が密実で、かたく、そして重い木になります。
ここで昼夜の寒暖差が大きいところ(比較的高地)で生育した豆と、小さいところ(比較的低地)で生育した豆の違い(傾向)を箇条書きにすると以下の様になります。
①比較的高地、昼夜の寒暖差大:生育遅め、種子の組織蜜実、かため、重め、焙煎時の火力は強め、ゆっくり生育する過程で個性的且つ、豊かな“酸”が醸成され、それが華やかで魅力的な風味を演出、いろどりこーひーでは赤い袋に詰められた華やか系。(一方でこの「かたい」と言うことは高温のヤキにも耐え、且つ“酸”のボリュームが深煎りのコクともバランスするので深煎りにも向いています。)
②比較的低地、昼夜の寒暖差小:生育早め、種子の組織疎、やわらかめ、軽め、焙煎時の火力は弱め、早い生育のため“酸”の醸成も少なめでまろやかで優しい風味、いろどりこーひーでは白い袋に詰められたまろやか系。
因みにここで記載した“酸”は、ネガティブな風味の酸っぱさのことではなく、ポジティブな美味しさ(フルーティ、フローラル、スッキリ感、キレの良さ等)に結びつく、上質な“酸”のことです。コーヒーには大なり小なり含まれています。これはコーヒーは工業製品ではなく、果物!と捉えると分かりやすいかもしれません...
と言うわけで少し長くなってしまったので今回はこの辺で。
次回、いろどりこーひーにおける具体例として①グァテマラ(かため)、②ブラジル(やわらかめ)を通して、生豆のかたさと風味の傾向についてもう少しご紹介させて頂ければと思います。^ ^
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