いろどりこーひーでは、様々な産地のコーヒー豆を扱っていますが、時折お客様から「この豆、なんだか明るくて果物みたいですね」とか「こっちは飲みやすくて、優しい味」といったお声をいただくことがあります
実はそれ、コーヒー豆が育った“ふるさと”の違いによって生まれた風味なのです
「国ごとの味の違い」...なんて言い方をすることもありますが、それが起こるのも「その国が地球上のどんな場所(主に緯度)で、どんな地形のところか」が、味の傾向を大きく左右します
中でも、とくに大きな影響を与えるのが「標高」です。標高が高い場所ほど、昼と夜の気温差(寒暖差)が大きくなります。すると、コーヒーの木はゆっくりと実を育んでいくようになります。その“ゆっくり”の中で、果実の中にはしっかりとした酸が育ち、それが「フルーティ」「フローラル」「ジューシー」といった、個性的で華やかな風味につながっていくのです
因みにコーヒーの木は開花後、数ミリの小さな緑の実を結実します。その後その実はゆっくり成長し、やがて黄色からオレンジ、そして真っ赤に熟していきます。こうして開花から収穫までには8〜9ヶ月もの月日が掛かります
そこで高地の産地は例えば以下のような国々です:
エチオピアやケニア、タンザニアなどアフリカの国々
中米の中でも、標高の高いグァテマラなど
こうした場所の豆は、まさに「香りを楽しむコーヒー」とも言えるような華やかさや、果実のような酸が魅力です。(「酸」と言っても決して酸っぱさの度合いではなく、これら質の良い酸がそれぞれの魅力的な風味を演出します)
一方で、標高がそこまで高くない産地――たとえばブラジルなどは、気候も穏やかで昼夜の寒暖差もさほど大きくありません。コーヒーの実も健やかに育ち、収穫までの時間も比較的短くなります。そのため、酸の成分がじっくり醸成される時間も少なめ。その結果、まろやかで、やさしく、落ち着いた風味になる傾向があります。「酸味がちょっと苦手…」という方にも、親しみやすい味わいです
つまり、コーヒーの特徴的な味は——
産地ごとの「気候」や「地形」、「育ち方」そのものの違いが映し出されているんですね。これはワインの世界で言われる“テロワール(気候や土壌など育った環境の個性が味の個性につながっている)”と同じで、植物(果実)としてのコーヒーの物語が、カップの中にそのまま込められているとも言えます。そんなロマン(ちょっと言い過ぎかな...)が一杯のコーヒーには詰まっているんですね
今日のコーヒーは、どこの国?、どんなところで育ったんだろう?...そんなことにフッと思いを寄せるのも時にはイイですね。ふとした一杯がまるで旅するひと時に誘ってくれる——コーヒーでぜひ、色々な旅をお楽しみください^^
いろどりこーひーは珈琲豆を通して、皆様の心豊かな暮らしに“彩り”をお届けします
過去の店主のつぶやき『No.77_テロワールをお届けしたい』にも今回のテーマに関連した記載がありますので、宜しければご参照ください