2025年2月25日火曜日

No.210_焙煎中変化し続ける豆の状態を全て把握したい


焙煎は生豆(ナママメ)を窯の中に投入して20数分間でヤキ上がります

大雑把に言うと前半の水分抜き、中盤のデベロップ(化学変化)、後半のロースト(ヤキ深め)の流れで進みますが、出来上がりの豆をより美味しくするため、この間「変化し続ける豆の状態を全て把握したい!」そう思いながら、かれこれ4年間、ずーっと豆をヤキ続けています

今回の写真は焙煎機の前面に取り付いているサンプルスプーンと呼ばれるものですが、そのスプーンは通常、直径3cm程の穴に伏せた状態で差し込まれています。焙煎中、そのスプーンを上下180°回転させて引き抜くことで、焙煎途中の豆を目視したり、香りの変化を確認することが出来ます。(焙煎中は窯内の円筒状のドラムが回転し続けているので、サンプルスプーンを上向きすることで空中の豆がキャッチ出来る仕組みです)

ただ、これをしても「こんな色に変化してきたか... 」、「香りが変化してきたな... 」と感じるだけのことなので、それを以てタイムリーな焙煎コントロールを行うのは不可能だと思っています。僕の場合は新素材をヤクときのみ、補助的に確認しますが、日常的には使用しません

欲を言えば、ヤキ進む豆の表面温度は?中心温度は?表層の水分量は?中心部の水分量は?... それら刻々と変化し続ける状態(≒数値)を継続的に把握し続けたいのですが、現実には不可能です

と言うのも焙煎は「この色にヤキあげれば、この味になる」と言ったシンプルなものでは無いからです。焙煎中、それぞれのフェーズで過不足無くカロリーコントロールして行かなくては、デベロップ(化学変化)も不完全となり、決して美味しい豆にはなりません

そこで僕は窯内温度→≒豆の表面温度→≒豆の状態と解釈して(⭐️下欄補足)、生豆投入からヤキ上がりまでの経過タイムと窯内温度の関係を管理することが、「豆の今を知る」上での最善な方法との考えに至りました

とお伝えしても、もしかしたら「ん?だんだん話が見えなくなってきたぞ?」でしょうか...(苦笑)

とにもかくにも仮説検証とカッピング(≒味見)の繰り返しが美味しい豆作りへの道と心得、ひたすらそれを探求する毎日を送っています(^^)

 

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⭐️の補足...窯の中には金属の棒状の温度感知器が設置されていて、そこで感知した温度は手元のデジタル温度計で0.1℃単位で逐次把握出来る仕組みになっています。焙煎中は回転するドラム内でバラバラ舞っている豆がこの金属棒にカチカチ当たり続けていて、この接触熱も拾う(感知する)ので、近似値的にこの温度を豆の表面温度と解釈して焙煎コントロールに利用しています

2025年2月18日火曜日

No.209_いろどりこーひーが粉挽き細かめ、熱湯を推す理由


いろどりこーひーでは商品をご購入いただいた際、お勧めの淹れ方、保存方法等を掲載したA6サイズ2つ折りのペーパーを添えさせて頂いています

これは単にコーヒー豆と言う“モノ”を売っているわけではなく、「“コーヒーのある生活”を(イメージしながら)売っている」の思いから来ています

その淹れ方の部分には、「粉の挽き方は細かめ、注ぐ湯は沸騰したての熱湯、蒸らし無しでゆっくり注ぎ続けて」と言ったことが書かれています

今回はその根拠と言っては堅苦しいですが、そこにある思いの様なものに触れてみたいと思います

根っこの思いとしては、先ずは「美味しいコーヒー豆をご提供する」と言うことです。僕の考えている美味しいコーヒー豆とは、雑味がなく、どんな淹れ方をしても美味しく頂けるコーヒー豆と言うことです。こう言うと、「美味しいと言ったって、人それぞれ好みがあるのでは?」と言うご意見もあるかもしれませんが、「美味しいコーヒーを飲み比べた先にお好みのコーヒーがある」と思っています

“美味しいコーヒー豆”の対極は“美味しくないコーヒー豆”と言うことなのですが、この“美味しくないコーヒー豆”は僕の中では“雑味のあるコーヒー豆”と位置付けています

すると雑味とは何?雑味の原因は?となるのですが、雑味があるコーヒーは飲み口が悪く、取り分けあと口(余韻)に嫌な感覚が舌の上や喉の奥に残ってしまいます。原因は素材(生豆)起因(未熟豆、過熟豆の混入や精製、流通過程での品質管理不足によって起きます)もありますし、焙煎起因(ほんの少しの焦げ感や芯部のヤキ残り、不完全なデベロップによって起きます)もあります

このような雑味のある豆で淹れたコーヒーは、前述の好き嫌い以前に、著しければ体が受け付けないと言う反応が起きます。ヒトの体にはその生存のため、体に悪いものを拒絶、排除する機能が備わっていますが、雑味はその入り口の様なもので、それがあると「口にしたくない」と言う形で、ヒトは拒絶反応を示すわけです

厄介なのは少量の雑味を持ったコーヒー豆です。これは前述の拒絶反応までは起きなくても「いまいち美味しくないな」とか「あんまり好きじゃないな」という反応で感じることもあるからです

そこで登場するのが「私はコーヒーを美味しく淹れられます」と言う人たちです。この人たちは、この雑味を抑えるのに長けた人たちで「粉は細かく挽き過ぎると雑味が出やすいので中細、粗挽きで」とか「熱湯を注いだのでは、雑味もそのまま出てしまうので、90℃で!85℃で!」とか、粉と水の配分は、淹れるスピードは、何回に分けて注いで等々...

これは雑味のあるコーヒー豆を使った時、美味しい方向(飲める方向)に向かわせるには一定の真理を伝えているとは思いますが、いろどりこーひーではご家庭での楽しいコーヒーライフを念頭に置いているので、「お手軽に美味しく」頂ける、雑味のないコーヒー豆のご提供を一番に考えています。

冒頭、「粉の挽き方は細かめ、注ぐ湯は沸騰したての熱湯、蒸らし無しでゆっくり注ぎ続けて」と記載しましたが、これは「美味しく淹れるにはこうしなければならない」と言うことではありません。先ずは、「どんな淹れ方をしても、どんな道具を使っても美味しくいただけます」があった上で、「よりそのコーヒー豆の持ち味、個性を楽しむためには、是非お試しください」の意味合いです

お手軽に美味しく!それが、いろどりこーひーが、そして僕が描く豆作りの世界です

 

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2025年2月11日火曜日

No.208_焙煎における必要条件と十分条件


焙煎中に必要条件と十分条件なんて言葉が急に浮かんできました...

焙煎は開店前の朝、店正面のシャッターを下ろし切ったまま、一人で集中して行うのですが、その最中も「そうだ、ここはこうしよう!」、「なるほど、これだ!」みたいな閃きが突如浮かぶことがあります。そんな時に「焙煎にも必要条件、十分条件に当たるものがあるなぁ...」なんて浮かんだりしました

これを習ったのは中学だったでしょうか?、高校だったでしょうか?

「必要条件(A)が整った上で、十分条件(B)も満たされると、ある事柄が成立する(成就する、目的達成)」みたいな関係だったでしょうか? または「ある事柄が成立する為には、先ずは必要条件(A)が満たされた上で、十分条件(B)も整う必要がある」、「A→B」の様な...

「A→Bとその逆、B→Aも同時に成立するなら、AとBは共に必要十分条件となる」、「逆もまた真なり!」と、当時自信満々に言い切っていた先生の姿が印象的でした...なんか武士のセリフみたいだなぁと🤣

で、焙煎に置き換えるとどうなの?の話ですが、2種類思いつくことがありまして...

①必要条件A「毎回同じ味にヤケる(味再現性のメソッドがある)」→十分条件B「ヤイタ豆をカッピング(≒味見)判断して、次の焙煎進行に反映(≒試行)して行ける(味覚力がある)」= 美味しい豆が出来る

仮にも味覚力が無いところで、味再現性があったとしても、美味しくない豆を作り続けるだけですから、これには前述の「逆もまた真なり。この両者は共に必要十分条件の関係!」というのが、当てはまるかもしれません

②必要条件A「良い素材(生豆)を使用する→十分条件B「ちゃんと(適正に)焙煎する」= 美味しい豆が出来る

この二つの質が高められると(研ぎ澄まされて行くと)、より美味しい豆が出来る!と信じています。これからも精進して行きます!

 

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2025年2月4日火曜日

No.207_季節のブレンド 春Ver. “春うらら”と”プルミエ-2025-”のご紹介


季節のブレンド春Ver. “春うらら”と”プルミエ-2025-”のご紹介です。

■最初に“春うらら”のご紹介です

こちらは新作のブレンドで、「春の昼間の柔らかな日差し、草花の芽吹きが近いことを予感させる心地よいポカポカ陽気」、そんな情景をイメージして作ったブレンドです

風味の特徴は、【柔らかな飲み口とまろやかで優しい風味】です

とにかく優しく、柔らかく...そんなイメージを膨らませながらブレンドしました

■次に“プルミエ-2025-”のご紹介です

プルミエは昨年も発売し、ご好評頂きましたが、コンセプトはそのままに、今年は配合を(使う豆も)少し変え、コクとキレがさらに際立ちました

前述の“春うらら”は文字通り、春のイメージそのものですが、“プルミエ-2025-”は、チョコレートやスイーツとの食べ合わせをイメージして作ったブレンドです

風味の特徴は、【ビターな味わい深さ、心地よく豊かな口当たり】です

そのしっかりした風味は、チョコレートの油脂分や生クリーム乳脂肪分をしっかり受け止め、ビターなキレがスイーツの次の一口を更に誘う!そんなブレンドに仕上がりました。牛乳との相性が良いので、カフェオレにしてもバッチリです!牛乳の持つ甘さが、牛乳単独で飲む以上に心地よく感じられます。是非、お試しください

さぁ、春です! “春うらら”と共に「終日(ひねもす)のたりのたりかな」もイイですし、時にはスイーツをお共に“プルミエ”で、コーヒーブレイク!なんてのもイイですね!

 

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