コーヒー豆は、僕が一人で選び、一人で作っているように見えるかもしれません。でも実際には、その一袋の裏側には、多くの人との信頼関係があります
つぶやき『No.268_素材選びへのこだわり』の中で、「焙煎の原料である生豆は、バイヤー兼インポーターの方から仕入れる」と記しました。そして提示されたサンプルをカッピングし(素材を見極め)、「僕自身が納得したものを購入する」ことも記しました
一方でこのバイヤーの方が仕入れてくれる生豆はどれをとっても“高品質”なので、その中から「いろどりこーひーのコンセプトにマッチした生豆を選択している」というのが実際に行っている作業です(良し悪しを選別しているわけではなくて)
ここで“高品質”というのは、単に“高級品”という意味ではありません。言葉にしてお伝えるすのはなかなか難しいのですが、敢えて言葉にすると「クリアーで、明るく心地よい酸を持っている素材」といったところでしょうか
クリアーというのは、「雑味がない」とも言い換えられます。雑味は、完熟実以外の未熟実や過熟実を混ざったまま収穫したり、精製過程(果実を乾燥、脱殻して生豆を取り出す過程)で、過発酵が起きたり、乾燥期間が短過ぎたり、長過ぎたり、生豆製造後の保管や輸送中の状態がよろしくないと発生します
明るく心地よい酸は、良い土壌、風通しが良い土地で丁度良い日射、降雨を受けて、且つ施肥や剪定を適切に行い、真っ赤に熟した完熟実だけを丁寧に収穫する過程で育まれます
「クリアーで、明るく心地よい酸を持っている素材(生豆)」を作り出すのは、それに関わる方々の並々ならぬ熱意、努力、労力の賜物といえます
ところでバイヤーの方というのは、産地にふらりと出向いて、サッと買い付けてくるわけではありません。それぞれの国に継続して取引している農園や農協組織や生産者組合のような団体があって、それらの方々と長年の信頼関係を積み上げてきて初めて、高品質な生豆の提供が受けられるとのことです。この話は、バイヤーの方から直接教えて頂きました
バイヤーの方が、産地の方と信頼関係を築くためには、一定量以上を継続して買い続けることも重要です。産地の方から見れば、「この人は毎年うちの豆を正当に評価して、必要としてくれる」という安心感があるからこそ、最高の品質を優先的に確保してくれるわけです
それを実現するにはバイヤーの方も日本国内に多くの顧客(焙煎会社、焙煎店)を持つ必要があります
ここにも信頼関係が存在します。焙煎店からすると「この人が販売する生豆の質は確かだ」、バイヤーさんからすると「この会社、この店は毎年一定数量購入してくれるおかげで、自分も産地の方と良好な関係が築ける」と
コーヒー業界の中では、【From Seed to Cup】なんて言葉があります。直訳すると「種(タネ)からカップまで」となりますが、これは「農園での一粒の種が芽吹き、生育・収穫・精製・輸送・焙煎・抽出を経て、一杯のコーヒーになることを意味しています。そしてその全てのプロセスの品質管理により、美味しい一杯のコーヒーが生まれるといった、主に“品質管理”の観点で述べられている言葉です
しかし僕は、この【From Seed to Cup】という言葉を“信頼関係の連鎖”の観点で捉えています
[農園⇄バイヤー⇄いろどりこーひー]の信頼関係の連鎖です
そして僕の先には、
[いろどりこーひー⇄お客さま]の信頼関係があります
一つの例ですが、いろどりこーひーでは豆を200g袋と500g袋で販売していますが、常連さんの多くは、新発売するシングルであれ、ブレンドであれ、躊躇なく500g袋で購入してくださります。これは本当にありがたいことです
この「ありがたい」というのは、単にいっぱい買ってくださるからという意味ではありません。初めて試す豆を500g袋で買うというのは本来勇気がいることです。それを躊躇なく500g袋を選択頂くというのは「いろどりこーひーで売られている豆は、自分の嗜好の一定基準以上にあるから、新種が出たというなら試してみよう」という信頼があるからこそ、起きることだと、僕は「ありがたく」捉えています
この信頼は絶対に裏切れません
信頼の連鎖で届いた生豆を僕が焙煎し、それをお客さまへ信頼の連鎖と共にお届けする。これは非常に尊いことだと思っています
これからも、農園からバイヤーへ、バイヤーからいろどりこーひーへ、そしていろどりこーひーからお客さまへ。そんな信頼の連鎖を、丁寧につないでいきたいと思います
いろどりこーひーは珈琲豆を通して、皆様の心豊かな暮らしに“彩り”をお届けします
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